2014年11月25日火曜日

表千家 教授者講習会

 
 
 
しぽしぽと小雨が降る中、大船の鎌倉芸術劇場全館を借り切って行われた
『表千家 神奈川同門 教授者講習会』に出向いた。
 
朝9時、降り立った大船駅には
キモノに雨対策を施した大おばさまが大量に押し寄せ、
列をなして会場に吸い込まれていった。
 
その数、500~600名ほどだろうか。
 
私も同じお社中で教授免許を取得しようと研鑽をつんでいる仲間4人と
というか、先生の代教をなさっているサブの先生を始めとする、
古株のおばさまに混ぜていただき、初参加と相成ったのである。
 
この会は年1回行われ、
テーマを決め、あらかじめ選ばれた何名かにお点前を実際にしてもらい
それを担当の宗相が見て、注意したり解説したりする講座と
その宗相がテーマに添ったレクチャーをする講座の2部構成になっている。
 
今回の午前中のテーマは
『茶杓飾り』
『茶筅飾り』
『薄茶』の3つ。
 
今年の担当の宗相は『菅田浩行宗相』
昨年亡くなった宗相の息子さんだとかで、まだ60前後の若い宗相だ。
 
大ホールの舞台にはまるで歌舞伎の世話物みたいな二間続きの座敷がセットされ
宗相が二間の真ん中に座り
4人ひと組のパフォーマーのおば様達が座敷の外から席入りする。
3名は正客・次客・お詰めという役割のお客さんで、
1名は亭主という役割のお茶を実際に点てる人である。
 
この会のドレスコードは「キモノ着用のこと」なので、
どこを見ても男も女も老いも若きも、全員キモノ姿である。
それって現代日本にあって、かなり希有な光景だなと感心しながら
会は粛々と始まった。
 
パフォーマーの一挙手一頭足を宗相がつぶさに観察し
まちがった所作や意味をなさないやりとりなど
気になる点をを指摘していく。
 
舞台にあがって、ライトに照らされ、
500~600名の観衆にじ~っと見つめられた上に、
宗相に時折、「待った」をかけられる。
 
想像しただけで手は震えるようだが、皆、その心臓の高鳴りを押さえつつ
静かに粗相のないようお点前を進めていく。
 
しかし、中盤、亭主が萩焼の茶碗を両手で回しながら温めていると
宗相の手がいきなり伸びて茶碗をつかみ、
「今、本当に温めようと思ってなさいましたか」とおっしゃった。
 
亭主の心臓は一瞬止まったのではないかと想像するが、
要は「萩焼や楽茶碗のように温まりにくい焼き物を型どおり温めても温めきらない」
ということがおっしゃりたいらしい。
 
それを口でおっしゃらずに、滞りなく進めていると思っている亭主の手元の
茶碗にいきなり手を突っ込んで止めたのだから、会場はどよめいた。
 
言葉遣いは丁寧ながら、大きな男性の手がにゅっと伸び
「すべてはお客様に喜んでもらうため。
今のやり方では一番おいしい一服を差し上げようという心遣いが感じられない」と
怒られてしまったのだ。
 
そんな風に舞台の上のメンバーはドキドキな体験だと思うが
実際の所作を見ながら、所作にはすべて理由があるということを解説されると、
見ているこちらは大変分かりやすいし、納得がいく。
 
茶杓飾りの意味、茶筅飾りの意味もよく分かったので、
とても有意義な講座だった。
 
お昼ご飯と呈茶の一服(半生菓子とお抹茶)を挟んで
午後の講座は
『茶杓の歴史と有名な茶杓』
『歴代家元の花押とそれぞれの家元好みの道具』
『茶事の流れとしつらえの意味』
『七事式に用いる道具』という4つで
それぞれ問題集形式になっているテキストの答え合わせと解説だった。
 
同じ宗相の講義で2時間たっぷりお話を伺い、
なかなか充実の1日であった。
 
個人的にはお茶の教授者になる気はさらさらないのだが、
いざ教授者になろうと思ったら、茶の道はかなり遠く厳しいと
その世界の奥深さを垣間見た気がした。
 
雨脚が強くなる前に帰ろうということで、
お仲間とはお茶飲みもせず帰ってきたが、
さて、今日の会場にいた膨大な数の大おばさま達、
いつもはどんな茶の道にいそしんでいらっしゃるのか、
ちょっと気になる秋の夕暮れなのだった。

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