2019年3月22日金曜日

そうだ 版画しなくちゃ

 
 
 
年が明けてから、
大きな作品2点の試し摺りと本摺りに神経をすり減らしてしまったので、
その摺りが終わった時点で抜け殻のようになってしまった。
 
6月のグループ展までにあと2点と思っていて、
しかも4月は例年のヨーロッパ旅行が控えているので、
制作できないことを考えると、
3月に何もしないわけにはいかない。
 
と、頭で分かっていても、
なかなか重い腰が上がらず、
なぜか新患の心理カウンセリングが数件あり、
また、今まで1ヶ月に1度だったクライアントさんが重たい事情を抱えて、
週に1度通うことになったりで、
思わぬ繁盛ぶり。
 
悩める乙女達と四つに組んでいるとますます版画から遠ざかる。
 
それでも何とか原画を起こし、
トレペに写し、版木に転写し、
今日からようやく彫りの作業に入った。
 
気温がぐんぐん上昇し、朝から15度近くになり、
昼前には20度を突破し、
初夏のような汗ばむ陽気になってきた。
 
新しい研ぎたての版木刀を手に取り、
彫り出すやいなや、
3日前に友達になったばかりのアメリカ人の友人から、
何千マイルも離れた異国の地から、
やんややんやとLINEメールが送られてくる。
 
以前にもFacebookで友達承認した友達の友達的なアメリカ人から、
矢継ぎ早のメール攻撃を受けたことがあるが、
また、同じパターンか?
 
最近のネットはこちらが日本語で書いても、
たちどころに英語に翻訳されて伝わるらしく、
相手の書いた英語の文章もやや変な日本語に変換されて、
すぐ読める状態で届く。
 
本当は相手は全く日本語が出来ないし、
私はおぼつかない英語しか出来ないのに、
ネット上では会話出来てしまうから恐ろしい。
 
でもって、日本人ならそんなにいきなり親しげにあれこれ言ってこないだろうに、
アメリカ人は旧知の友人のように話しかけてきて、
質問攻めにする。
 
しかも、顔写真を見ただけなのに、
美辞麗句を並べ立て、
歯の根が浮くような言葉で褒め称え、
ちょっとレスポンスが遅れるとむくれる。
 
アメリカ人はみんなそんなにせっかちなのか、
よく知らない人とつながってしまって大丈夫か、
何かよからぬことに巻き込まれないだろうかなど、
頭にいろいろなことが去来し、
カウンセリングとは別物の疲れに襲われ、
版画に集中できない。
 
それでも、何とか数時間かけて1版彫り上げ、
本日のミッションクリア。
 
難しい彫りのパートじゃなかったから、
何とかなった。
 
4月中旬、旅立ちの日までに小品2点分の彫りを完成させることが目標だ。
 
それまでに悩める乙女軍団にもそれぞれ春が来ますように。
 
昨日、東京・横浜でも、桜の開花宣言も出され、
いよいよ平成最後の春爛漫が始まる。
やっぱり、春はなぜか心が浮き立つ。
 
明日は寒の戻りで激寒らしい。
このうららかさをしっかり味わおう。

2019年3月21日木曜日

カウンセリングは49歳ばかり

 
 
 
私が心理カウンセリング・ルームを開設して、
早8年半ほど経つが、
なぜか今年に入って49歳の女性ばかりが訪ねてくる。
 
今日も昨日も一昨日も実はこの3人のカウンセリングを行ったばかり。
 
人は「9の坂」といって、誰でも19.29,39,49,59,69など、
次の年代に移行する前年には立ち止まり、
自分の人生について客観的に考えることが多いのではないだろうか。
 
実際、9のつく歳にいろいろ問題が起きるという傾向もあるかもしれないが、
誰でも「私の人生、これでいいのか」と反省し、
うまく腑に落ちると
上手に次の年代のスタートを切ることができるような気がする。
 
逆に「9の坂」をうまく越えられないことも多く、
私の母は59歳、父は69歳の時に亡くなってしまった。
 
今、私の元に通ってきている悩める49歳達は、
全員、子どもの問題が元で、自分の人生も揺らいでいる。
 
ひとりは一流高校に通っている16歳の息子の不登校が突然、始まってしまった。
いろいろ手を尽くしても親の手には負えず、
すっかり母親の方が参ってしまっている。
 
もうひとりは大学受験の息子が父親の思うようなレベルの学力に達せず、
母親として、狭間で苦しんでいる。
しかし、結果的には名門と言える大学に合格し、一件落着したにも関わらず、
なぜか、今、自分が抜け殻のようになってしまった。
 
そして、もうひとりは望まない妊娠の果てに7歳のひとり息子がいるが、
全然愛することが出来ず、虐待しそうで自分が怖い。
息子の育児のため、退職に追い込まれたが、今の自分が大嫌い。
 
同じ49歳でも子どもの年齢や置かれた状況でこうも違うかと思うが、
人として、女として、妻として、母親として、職業人として、
本当にたくさんの役割を抱え、
いずれの49歳も苦しんでいる。
 
自分の49歳はどうだったか、思い出してみた。
 
人として、女として、妻として、母親として、版画家として、
絵画教室の先生として、コミュニケーションスキルのトレーナーとして、
ジタバタと生きていた。
 
それなりに充実していたけど、
もし、心理カウンセラーの資格を取るなら、
今が最後のチャンスだろうと考え始めていた頃だろうか。
 
結局、50歳になって、
記憶力も学習能力も落ちる一方だろうと、
決心して、カウンセラー養成学校に通うことにし、
結果、今がある。
 
悩め、49歳。
泣け、49歳。
あがけ、49歳。
 
そうやって納得して、次の一歩を踏み出せば、
充実の50代が過ごせるだろう。
 
私が少しでもお役に立つなら、いつでもおいで。
屋号は「キミィ・メンタル・サプリ」
 
心のサプリメントを処方して進ぜよう。
 
期せずして、
毎日、目の前の49歳達が口を揃えて、
「カウンセリングって凄いですね」と、
カウンセラーに話すこと、自分を整理すること、
アドバイスを受けることに、意味を見出してくれている。
 
そして、
それが60代に私の生きがいになっている。

2019年3月6日水曜日

孫娘はお笑い系

 
 
 
 
 
 
 
孫娘は明日で1歳9ヶ月になる。
 
最近はだいぶこちらの言っていることを理解し、
言葉で表現するという点ではおぼつかないが、
自己主張が強くなってきた。
 
毎週火曜日、私が長女の家に行って、
ご飯を作るというルーティンは相変わらずで、
昨日も午後2時ぐらいから調理をスタートし、
9品作って帰りを待った。
 
しかし、5時半過ぎ、娘が会社を出るのが遅くなったと連絡が入ったので、
昨日は初めて私が保育園まで迎えにいき、
孫娘と手を繋ぎ、歩いて家まで帰ってきた。
 
こうしたいつもとは違うことが起きても、
ママじゃなきゃ嫌ということもなく、
一瞬「なんでおーママが来たの」と不思議そうな顔をしながらも、
普通に笑顔でズンズンと歩いて帰ってきた。
 
家につけば、いち早く洗面台で手洗いをし、
ダイニングテーブルの子ども椅子に座らせろとせがみ、
座らせると早速、自分のお皿を目の前に引き寄せ、
ぐるり9品を見渡し、
迷いなく「カリフラワーのグラタン」を指さした。
 
今日はそれからいくという合図だ。
 
以前、食べたことがあるといっても、グラタンじゃ中身は見えないわけだし、
好きな味のものか分からないと思うのだが、
「断固、私はこれからいく!」という感じで、
こちらがスプーンでひとくち大にするのももどかしい様子で、
ガンガン食べ始まった。
 
孫娘はむら食いの女王様なのだが、
自分でこれを食べると決めたものは、
初めてのものだろうが、想定外の味だろうが、
ひとくち口に入れ、一瞬、考えたとしても、ズンズン食べ進む。
 
そうやって、夕べは
「カリフラワーのグラタン」
「サーモンのバター焼きとミニトマト」
「安納芋の炊き込みご飯」をチョイスし、
バクバク食べた。
 
食後、満腹になって張ち切れそうなお腹を「みせて」と言ってみると、
てらいなくTシャツを捲り上げ、
嬉しそうに、ちょっと恥ずかしそうに笑顔を見せた。
 
YesNoがはっきりしていて、
とりわけ「嫌!」ははっきり言えて、
気持ちの切り替えが早く、
好きなもの、やりたいことに対しても、
案外あっさりしていて、ごねたりしない。
(時と場合によるらしい・・・)
 
キャラクターの方向としては
「癒し系」なのか「お笑い系」なのか。
 
活発で、よく動き回り、ぼーっと生きてるわけではないので、
チコちゃんに怒られることはないかもしれないが、
体型だけは間違いなく癒し系だ。
てらいなく大きなポンポンを見せてくれたり触らせてくれる。
 
これで、この大きなポンポンと太いももを武器に
変顔やギャグを言うようになれば、
間違いなく未来の渡辺直美路線になるだろう。
 
人間はこんな風にして
徐々にいろいろなものを獲得して、
その人の性格付け、キャラクターが決まっていくのだと、
毎週、間近で観察できることがばぁがとしては面白くて仕方ない。
 
私にとっての「孫は可愛い」は
単に責任のない立場で、目に入れても痛くない的な可愛さではなく、
「人の成長の面白さ」を我が子の時より客観的に観察できるという
追体験する「可愛い」なのである。
 
それにしても可愛い。
電車の中や家でも、
折々にスマホを出しては写真や動画をみてニンマリする。
 
孫娘は私の子ブタ天使である。

2019年3月3日日曜日

映画鑑賞『グリーンブック』

 
 
「春に3日の晴れ無し」
というわけで、今日はひな祭りだというのに、
冷たい雨が降っている。
 
しかも、私は何年かぶりに風邪をひき、
数日前からえぐい状態に・・・。
 
それでも、この映画は絶対面白いと狙いを定め、
公開日の3月1日を待っていた。
 
アメリカのアカデミー賞では、「ボヘンミアン・ラプソディ」を抑えて、
なんと作品賞を受賞した。
他にもマハーシャラ・アリが助演男優賞だった。
 
アカデミー賞の主演男優賞は「ボヘミアン・ラプソディ」のラミ・マレックだったから、
今年はこの2作品が優劣つけがたいということだったのかもしれない。
 
もちろん個人的には「ボヘミアン・ラプソディ」最高!と思っているが、
別の視点で「グリーンブック」もとても良かった。
 
別の視点というのは、私が大好きな映画に
4~5年前の「最強のふたり」があるのだが、
それと「グリーンブック」はとてもよく似ている。
 
「最強のふたり」は下半身不随になった大金持ちの紳士のところに雇われた
黒人のドライバー兼雑用係が
徐々に心を通じ合わせ、人生の諦めていた挑戦に次々挑むお話。
 
人種差別ではないけど、障害者という社会にハンディを負った状態を
ふたりで乗り越えていく。
 
「グリーンブック」は人種差別甚だしい時代のアメリカで、
黒人ピアニストとして活躍するDr。シャーリーが
運転手兼用心棒として雇った粗野でがさつなイタリア人トニーと
いろいろな差別や迫害に彼ららしく立ち向かい、
最後はお互いに心を開いていくというお話。
 
日本にいてはあからさまな人種差別や偏見はないと思われているけど、
人種の別ではなくても、
国別であったり、居住地による差別や偏見はあると思う。
 
本当に40~50年前のアメリカ南部がそうだったのか、
事実とは違うという映画評もあるようだが、
そうした脚色なのか事実なのかを置いといても、
人の心に根付いている人種差別や偏見について、
考えさせるところは大きいし、
物語として秀逸である。
 
だから、作品賞受賞ということなんだろう。
 
ピアニストのDr。シャーリーを演じたマハーシャラ・アリのピアノ演奏は
彼の生真面目さと高潔な精神を表現しているし、
十分、日本人の私の黒人のイメージをくつがえして
本当に素晴らしかった。
 
十分、主演に匹敵する役どころでの
助演男優賞は「当たり前でしょ」という感じ。
 
主演のトニーは、イタリア人移民の粗野で粗暴でおしゃべりなところ、
そして、家族愛にあふれているところなど、
アメリカ人が感じているイタリア人のステレオタイプなんだと思うけど、
私が感じているイタリア人像とも重なっている。
 

「最強のふたり」も「グリーンブック」も実話に基づいて作られており、
映画のエンドロールには
実在のふたりの写真がでてくる。
 
自分とは全くかけ離れた氏素性をもっているふたりが出逢い、
化学反応を起こすと、
それは愉快で、心に届く温かい物語が生まれるという作品だった。
 
本年度、オススメの1本です!