2020年6月30日火曜日

妊婦のための夏のパワーフード












梅雨真っただ中、雨で蒸し暑い毎日、
我が家の妊婦のテンションが低い。

出産まであと約ひと月なので、
おなかも相当大きく突き出し、
身動きが大変そうだ。

昨日はシポリンワークで娘の家にご飯作りに行った。
いつもなら孫の志帆の好きなもの・食べられるものという観点で
メニューを組み立てるのだが、
今は臨月間近の妊婦のパワーご飯へと、
目的が少し変わってきている。

もともと食の細いタイプな上に、
精神的な揺らぎが食欲にすぐ出る娘は、
昼過ぎに私が娘宅に着いた時、
お蕎麦をまずそうにすすっていた。

訊けば、朝、その大きなおなかで電動自転車を出し、
志帆を乗せて家を出たところで、
車が来たので避けようとして、自転車ごと倒れたという。

幸い、志帆はヘルメットをしているので、
けがをしたり泣き出したりすることもなく、
そばにいたふたりのおばさんが慌てて近寄ってきて
起こしてくれたので、
手首が少しグキッとなった程度で済んだらしい。

しかし、臨月間近になっても、
保育園の送迎に電動自転車を運転しなければならないこと、
それが雨の日だろうと暑い日だろうと
しなければならないことで
体力的にも精神的にも苦痛になっているという。

しかも妊婦のおなかはノーガードだ。

聴いた私にしてみれば、
もっと大ごとになったら大変なので、
もう電動自転車の送迎は辞めてほしいと思うのだが、
徒歩で片道15分以上かかる保育園への道のりは、
歩くのもまたしんどいらしい。

とはいえ、嫌々まずそうにお蕎麦をすすって、
ほとんど残してしまうようでは、
この先の体力が心配だ。

何とか、目で見て食欲をそそり、
食べていろいろな味付けで箸が進む、
そんな料理を作ろうと思い、娘宅のキッチンに立った。

でもって、昨日のメニュー

「人参とツナのラぺ風サラダ」
「山形の夏野菜のお浸し」
「しそ入り枝豆はんぺんバーグ」
「鶏手羽元のフライドチキン」
「フライドポテトのスパイシーソルトかけ」
「サバの味噌煮」
「高野豆腐と切り干し大根の煮物」
「中華風春雨サラダ」
「ほうれん草のクリームスープ」
以上9品

見てのとおり、とてもカラフルだ。
揚げ物が2つあるので、それ以外は油を使わず、
お味も酢を使ったりショウガを効かせたりして、
夏バテ予防効果を狙ってみた。

家で作った梅シロップも持っていったので、
炭酸で割れば、
こちらも夏バテ防止にバッチリだ。

料理は
色がカラフルということは、ビタミン豊富ということだし、
さっぱりした薄味の日本食と
パンチの効いた味付けのものとを組み合わせたので、
味の変化で食欲増進効果もあると思う。

案の定、シポリンは
フライドポテトがとても気にいって、
まず、ひとつ食べては、夏野菜のお浸し、
もひとつ食べては、はんぺんバーグ、
もうひとつ食べては、高野豆腐と切り干し大根…。

と、結局、6切れのフライドポテトをおねだりし、
ついでに他のものもたくさん食べてくれた。

このフライドポテトの降り塩には秘密があり、
塩と砂糖とバジルなどのスパイスが混ざっている。
しょっぱいだけでなく、甘みもあるので、
後を引く美味しさなのだ。
(ハッピーターン効果?)

ポテト食べたさのあまり、他のものもたくさん食べるという
相乗効果マジックで、
保育園の「夕飯に食べたもの」欄に書ききれないほど、
食べさせることができた。
しめしめ。

一方の食欲のなかった娘の方も、
昼間はお蕎麦さえ残していたくせに、
まずは手羽元のフライドチキンを2本、
フライドポテトも、人参とツナのサラダも、
夏野菜のお浸しも、はんぺんバーグも
美味しいといって平らげることができた。

人に作ってもらえれば、それだけで美味しいのかもしれないが、
やはり、目で見て美味しそうで、
いろいろな味のもので、あれこれ楽しめれば、
いつのまにか食が進むということだろう。

なにしろあと1か月で出産だし、
その後には待ったなし、
24時間休みなし、休日もなしで、
育児が始まるわけだから、
1に体力2に体力、
3、4がなくて5に体力。

今のうちに
せいぜい食べて寝て、
出産と子育てを乗り切る
筋力と精神力をつけてほしいと願っている。

2020年6月28日日曜日

悩める女たちのカウンセリング




コロナ自粛が解除され、6月1日から
カウンセリングで借りていた討議室の貸し出しが再開した。

と同時に、新しいクライアントさんからの
申し込みが立て続けに数件あった。

コロナ前に通ってきてくださった方の8割がたは
再開し、
中にはこれを機にお見えにならなくなった方もいるが、
それにも増して、新しいお問い合わせが増えている。

コロナ自粛で家の中に閉じ込められ、
夫婦、親子の問題が表面化した形のようだ。

コロナ離婚などという言葉が流行語のように流行ったが、
まさに、家に夫婦がずっと一緒にいることで、
夫婦の価値観の違い、役割分担の偏りなど、
今までうやむやにしてきた不満が爆発といった感じだ。

夫婦の問題はひとりがキリキリしていても解決はしない。
相手をいくら詰っても、
相手をいくら変えようと思っても、
変えられるのは自分だけ。

そのことはコロナの前も後も同じことなので、
カウンセラーの私としては、
まずはクライアントさん全員にそのことをお話しする。

その流れの中で
我がカウンセリングルームは
「女性限定」を謳っているが、
時には夫婦カウンセリングが必要になって、
ダンナさんも通いだすケースもある。

今回もそうしたケースがあり、
どうやら週末は大忙し。
毎週末、よそ様のご夫婦の仲立ちをすることになりそうだ。
(初回はご夫婦一緒だが、2回目以降は別々だ)

そういう時、自分自身の夫婦のスタンスについて
自己開示することも多く、
どの夫婦、どんな年代にも
「夫婦のトリセツ」が必要だと痛感する。

もちろんカウンセラーには守秘義務があるので、
だれか個人を特定できるような話し方は出来ないのだが、
コロナがもたらした新しい課題のひとつに
「夫婦のありかた問題」はまちがいなくあると言えよう。

コロナで家にいろ、出歩くな、
家にいるのが一番安全だというが、
家の中には危険がいっぱい。

ダンナという意味不明、解読不能な生き物がいるからだ。

子供も同じく、意味不明、解読不能、
その上、わがままで手がかかり、
親の言うことをきかない怪獣のごとき生き物ときている。

夫婦問題のカウンセリングをしてみると、
狭い日本の住宅事情の中で、
逃げ場を失い、
価値観の違いが衝突し、
崩壊寸前の夫婦がなんと多いことか。

他人事ながら、
日本の男のものの捉え方、考え方、感じ方が
女とはまるで違うし、
旧態然としていることに驚きを禁じ得ない。

根底にあるその考え方は
成育歴、つまり、親の育て方に起因することが多い。

悩める40前後の女性たちを前に、
時代は変わっても、
相変わらず日本の女性の悩みは似ていると感じている
今日この頃である。

育てたのは、誰?
あちゃー、私たちの年代か(焦)

2020年6月25日木曜日

梅シロップと梅ジャム









6月16日に梅酒漬用の大きな瓶に仕込んだ青梅が
ちょうど10日間で、
黄金色の梅シロップに出来上がった。

青梅は2,5㎏
砂糖は同量と書いてあったが、
砂糖1,5㎏入れたところで、
瓶が満タンになり、それ以上入らなかったので、
今回はそれでどんなものができるかやってみることにした。

2日ぐらいで、みるみる梅の果汁が溶け出して、
全体の嵩が減ってきたが、
途中で蓋を開け、空気に触れさせる方がマズイだろうと考え、
そのまま様子を見ることにした。

あとはただひたすら風通しのよいところで、
薄暗い環境を作り、
熟成が進むのを待った。

そして、10日目。

黄金色の液体の中にしわしわの梅の実が浮かぶ
ネットで検索したとおりの梅シロップの姿になったので、
切り上げることにした。

レシピには
やり過ぎると発酵しだすので注意とあったので、
初回はレシピ通り10日間で出来具合を見ることに。

ワインの瓶2本と日本酒の瓶を洗って、
液だけを珈琲用のケトルを使って詰め替えた。

試しにグラスに大匙2ぐらいのシロップに
炭酸水と氷を入れ、飲んでみた。

思い描いていた通りの梅シロップの炭酸割りができていた。
やった~!!

気をよくして、
大瓶の中のしわしわの梅を全部、鍋に移し、
ひたひたの水で少し煮て、種を取り、
砂糖とレモン汁を足して、煮詰めてみた。

ジャムに関しては
何のレシピも参考にしなかったが、
甘酸っぱい梅ジャムが上手に出来上がった。

ジャムとピクルスとトマトピューレの瓶に
ちょうどぴったり収まった。

弓削瓢柑のマーマレードとショコラオランジェ作りに比べたら、
いとも簡単に、
梅シロップと梅ジャムができ、
なんだか拍子抜けした。

でも、これで蒸し暑い夏も
シュワシュワ梅シロップの炭酸割りと、
酸味の効いた梅ジャム入りヨーグルトで、
乗り切れそうだ。

この中に砂糖1,5㎏(ジャム作りに更に50g足した)が
溶けていることは忘れて、
爽やかな酸味と梅の香りをしばし楽しもう。

今年、初挑戦で失敗したら、
あの梅酒用の大きな瓶はどうしようかと思っていたけど、
何とか『初年度、梅仕事ミッションクリア』で、
来年、松山から送ってもらっても、慌てなくて済みそうだ。

憧れの梅仕事。
第一弾、終了。

おじさ~ん、来年もまた、送ってくださ~い!

2020年6月24日水曜日

自粛明けのランチ











3か月ぶりだろうか、自粛生活が明けて初めて、
純粋に友人とランチとおしゃべりを楽しむために、
中華街に出かけた。

友人とはパティシエ学校の同僚なので、
6月に入って週一では会っている。
しかし、それぞれが授業を持っているので、
昼ごはんの時に一緒の控室で冷たいお弁当を食べるだけ。

そんな時に
つい、どこかで美味しいものが食べたいわね。
どこかでゆっくりおしゃべりがしたいわね。
ということになった。

そこで、意見が一致したのが、
中華街の老舗、
レトロな店内がおしゃれな状元楼あたり、
自粛明けのお食事に、
雰囲気がいいのではということになった。

いつもなら予約していかなければ
到底入れないレストランだが、
今日は何の問題もなく席も取れ、
かといって誰もいないわけでもなく、
昼餉時は6~7割の席が埋まっていった。

ここは上海料理なので、
ふかひれのあんかけそば、小籠包は外せない。

あれこれバランスよく組み合わされたランチコースを選び、
重厚なインテリアの中で、
静かにおしゃべりしながら、
美味しいひと皿ひと皿を味わった。

トイレ脇の手水鉢や、
壁にかかっているレトロな写真など、
まるで本当に上海の旧市街にあるレストランに来たかのような
凝った内装にウキウキしながら、
時空を超えたひとときを楽しむことができた。

そこから、元町に足を延ばし、
ぶらりウィンドウショッピングをし、
香しい香りを漂わせている珈琲ショップの
濃厚な珈琲アイスクリームで喉をうるおした。

測ったわけではないが、
久しぶりに万歩計の数字を伸ばしたであろう足の疲れを
しばし癒して、
ふたりして「こんな時間が待ち遠しかったわね」と
無目的にランチをし、おしゃべりできたことを喜んだ。

「無目的なんだけど、大事なのよね」と
言い訳とも独り言ともつかない言葉に納得し、
「次は『KIMONO展』とランチね」と約束した。

こうして、徐々に日常が戻りつつある。
新しい日常。
マスクは相変わらず息苦しいが、
いつのまにか慣れてしまった自分もいる。

2020年6月23日火曜日

嬉しさのあまり




今日の昼頃、ケータイのgmailにメールが届いた。
開けてみると、見たことのない画面が出てきた。
真っ白な画面にアイコンがいくつか並んでいる、

一番上の自分のアイコンをクリックし、
ひとしきりいじってみたり、アドレスを打ち込んだりしたが、
一向にいつもの画面にならない。

昼餉どきだったので、
目の前のダンナに
「これ、gmailどうなっちゃったのかしら、わかる?」と
スマホを手渡した。

なにやらブツブツ言いながら、
ひとしきりいじっていたが、
「わからん」と言って、突っ返された。

スマホにgmailのアプリを入れてくれたのは次女なので、
LINEで「こんな画面になっちゃった」と相談した。

「初めて見た」と返信があったきり、
放置された。

こうなると、本当に焦る。
もともと大してネット関連に強くない上に、
優しい家族、
こういう時助けてくれる隣人に恵まれていない。

しかし、私にとって、gmailは確実に生活に必要だ。
パソコンのgmailは普段通りに開いているので、
問題はスマホのgmailのアプリの問題だ。

昼ごはんもそこそこに、
午前中、最寄り駅に行ったばかりなのに、
再び、家を飛び出し、
最寄り駅のデパートの中に入っているヨドバシの
SoftBankコーナーに駆け込んだ。

「こちらでこんなことをお聞きするのもなんですが・・・」と
ごにょごにょ言いながら、
スマホのgmailの例の白い画面を見せた。

カウンターの向こうの女性は一目見て、
「誤作動ですね。下のボタンを2度クリックなさいました?」と
こともなげに言い放った。

「いいえ」と言いながら、もう一度スマホを差し出すと、
パチパチとボタンをクリックしてくれ、
あっという間にいつも見ているgmailの画面が現れた。

あまりの簡単さに気が抜け、
急にそんなことも知らない自分が恥ずかしいという気分と、
今度からはこうなっても大丈夫という安堵の気持ちが、
同時に沸き上がってきた。

お礼を述べて、
そのコーナーの帰り際、
通りすがりのスマホケースのコーナーで
ビジューのついたきれいなiPhone7用のケースを見つけ、
思わず、買い求め、その場で入れ替えてもらった。

白いケースなのにだいぶ薄汚れていた私のスマホを見て、
次女から「このケース、取り換えないの?」と言われていたのを
急に思い出したからだ。

gmail復活のお祝い???
まあ、気分はそんなとこ。

そして、9階のヨドバシから1階ずつ
エスカレーターで降りながら、
書籍や、日用品のタオルコーナーなどを経由し、
4階の婦人服売り場についた。

思えば、6月1日にデパートが再開して以来、
デパートの上の方の階には来ていなかった。

3階の靴売り場で「大人買い」したのは先週のことなので、
大きなことは言えないが、
それでも洋服の試着とかはまだ1度もしていない。

デパートのブティックは春夏物を仕入れたのに、
緊急事態宣言で2か月も閉まってしまったので、
再開したとたん、Saleにして売るしかないらしく、
あちこちの店がSaleのコーナーを設けている。

いつもは入ったことのない店の一番手前のハンガーに、
ワンピースに羽織る形で
大好きなコバルトブルーのボレロがかかっているのが
目に入った。

手に取るとシャリシャリして気持ちのいい素材感だ。

すかさず店員さんから、
「シャリシャリして気持ちのいい手触りでしょ?」と
見透かされたように声がかかった。

「よかったら、羽織ってみてください」
「他に何をお探しですか」と上手に誘導され、
気づけば、大胆な柄のワンピースを試着することに。

見るからに小さいのではと思ったワンピースは
フランス製のストレッチのきいた素材で、
私の凸凹した体形に程よく添って、
案外、うまく収まった。

またまた先週の靴屋さん同様、
悪魔が耳元でささやいたかどうか、
いずれも3割引きだったせいもあり、
いつの間にか購入することに。

スマホのgmailのトラブルがあっという間に解決でき、
安心したというご褒美にしては、
景気よく買い物しすぎじゃないか?

この理性の効かない衝動買いは
もはや依存症?

喜びの舞にしては
しょっちゅう踊っている気がする。

まあ、3か月間、洋服は1点も買わなかったんだからと
言い訳もそこそこに
本日も紙袋を手に、
私は鼻歌交じりで帰宅した。

この自粛生活で欠乏していたもの
それは
「友人とのおしゃべり」
「楽しいショッピング」
「美味しい外食」

それが私のうずうずBest3

そのひとつがかなったわけだから、
良しとしよう。
そう、自分を甘やかしたのであった。


2020年6月18日木曜日

大人買い







最近、あまり体調が思わしくない。

自粛生活が続いて、運動不足なのと、
コロナ太りの影響か、疲れやすい気がする。

6月に入って、カウンセリング業が以前にも増して、
新規のご用命があるのと、
パティシエ学校の非常勤講師が始まったのとで、
お仕事モードで出掛ける日が続いているのだが、
終わるとぐったり疲れて、
最寄駅からタクシーで帰宅する日もあるという体たらく。

疲れは肩こり・首こりもひどいが、
何といっても外反母趾の進みがひどく、
特に右足の人差し指(そう呼ぶのか?人は指せないけど?)の
付け根の痛さはハンパない。

夕方の足のむくみも相当なものである。

整体の先生にも窮状を訴え、
つま先から後頭部の裏側まで、
コリというコリをほぐしてもらったが、
あまりのコリ様にあきれられてしまった。

多くの患者さんが自粛生活のせいで、
筋肉量が落ち、
体調不良を訴える人も少なくないらしい。

家に眠らせていた背中のストレッチ・ポールを引っ張り出して、
胸筋を開き、リンパの流れを取り戻さねば・・・。

ちょうど整体でそんな話をした日、
最寄り駅のデパートの靴売り場をうろついていたら、
去年の靴売り場の催事で出会った靴屋さんが
今年も出店しているところに遭遇した。

今は広告や告知を自粛しているとかで、
デパート自体も6月1日から始まったばかりで、
この靴屋さんの出店も、正に遭遇したという感じ。

この靴は元インソールを手掛けていた会社が作ったから
決して疲れない靴というのがウリ文句だ。

昨年の3月に試しに買ったグレーのローヒールパンプスが、
ことの外快適で、
とにかく今日は歩くなとか、
遠出の日、疲れたくない日には、
迷わずそのグレーのパンプスを選んで履いてきた。

ヘビーローテーション過ぎて、
だいぶお疲れ様になってきたところだったので、
また、その靴屋さんに出会えて、
私は見つけた時に小躍りした。

その日履いていたのもそのグレーのパンプスだったので、
お店のコーナーに入るなり、
「うちの靴を履いていただき、ありがとうございます」と
店員さんから声がかかった。

見れば、その店員さんも同じデザインの黒を履いている。

このデザインがこの会社の定番商品にして、
一番人気なのだという。

他にぐるり見渡しても、
やっぱりこのデザインが一番かわいい。

以前、流行ったフェラガモのリボン付きパンプスみたいに、
誰もが、他も履いてはみるが、
これに落ち着くというデザインの靴と同じ現象だ。

私もデザイン的にはやっぱりこれが好きと内心思い定め、
次に迷ったのは色だった。

今、履いているグレーは何にでも合う上に、
黒と違って、ちょっとおしゃれな感じもする。

だから、また、同じグレーにするのか。

黒のエナメルというのも捨てがたい。
これからの季節、ゴールドはどうだ。
素足に履いてもよさそうだ。

などと、8色のカラーバリエーションのうち、
3色を選び、履き比べてみることに。

私の買い物はスピード勝負。
直感が働けば、即、購入。
迷うときはやめといた方がいいという合図。

で、今回、私の直感は
「どの色もいいんじゃない。
そんなに自分に合っている靴はめったに出会えないわよ。
3色とも買っちゃえば」というものだった。

悪魔が耳元でささやいたとしか思えないが、
あまり考える間もなく、
「みっつともいただこうかな」と答えていた。

側にいた店員さんは、
驚きもせず、
「そういう方、多いです」とこともなげに言う。

別にセールになっているわけでもないのに、
あまりの履き心地の良さに固定ファンは
このような暴挙に出るらしい。

私より、一足先に来て、
同じデザインの黒にするかベージュにするか迷っていた人も、
ほぼ同時に決心がついたらしい。

もうひとりの店員さんが靴を手に、キャッシャーに向かった。

ふたりの店員さんたちがキャッシャーに行って
店員のいなくなった店内で、
そのお客さんが私にささやいた。

「お履きになっているのを見て、
私もグレーにしました」と。

黒かベージュかで悩んでいたんじゃなかったか?
思いがけず、モデルになってたみたいで、
我が子を褒められたようないい気分だ。

通常、人と同じものを着たり履いたりする趣味は
全くないし、
むしろ人と同じなのは嫌なタイプなのに、
この靴に関しては、
「この良さがわかる人、この指と~まれ」の状態だ。

今はまだ、どれも履いてはいないが、
部屋に3足並べて、悦に入っている。

これで、どんなに長時間の授業で
立ちっぱなしでも大丈夫。
これで、どこまで遠出しても大丈夫。
これで、来年の個展の時は、1週間、
どんな色の洋服にも合わせられる。

そう思うと、安心感で
ニンマリしてしまう。

「大人買い」というのは
歳と共に許容範囲が狭くなってきている中、
自分に合ったものを見つけた時、複数、手に入れることで、
安心感を手に入れることなんだと
実感した。

迷って決められないとか、
あれもこれも欲しいとかではなく、
自分に合うものを手堅く買うことだと、
自分に言い聞かせた。

今日は
「3足、大人買い」のお靴の話。



2020年6月14日日曜日

梅仕事 事始め







「梅仕事」
何ともゆかしい日本の言葉。

日々を丁寧に生きているお母さんが、
毎年、この時期におこなう仕事というイメージ。

「梅仕事」とは、
梅を収穫して、
天候を見ながら干したり、漬け込むなどの作業を施し、
「梅干」や「梅酒」をつくることを指す。

いかにも毎年恒例の仕事として、
ほおっかむりをしたお母さんが背中を丸めて、
こつこつと作業し、
家族が1年間、その梅干や梅酒を楽しめるという
日本古来の習慣というか、行事というか…。

ある種、憧れにも似た気持ちは抱いていたが、
なにせ、家に梅の木があるわけでもなし、
田舎から梅の実が届くわけでもない。

一番の問題は、
漬けてすぐ食べられないという点が、
私を「梅仕事」に駆り出す勇気をそいでいた。

しかし、数日前、
1年に数回、
柑橘類を送ってきてくれている松山のミカン農家のおじさんから、
「玉ねぎと梅」と書かれた箱が届いた。

あのおじちゃんは「玉ねぎと梅」も栽培しているのかと驚きながら、
箱をあけると、
ブリブリ大玉の新玉ねぎ12個と1,5キロの青梅が入っていた。

「弓削瓢柑」が5キロ来た時も、
「やれやれ、今年もまた、これでマーマレードと
ショコラオランジェを作らねば」とため息が出るが、
「玉ねぎと梅」を見た時も同じため息が出た。

どちらもすぐさま噛り付くというわけにはいかないからだ。

というわけで、
いかし方なく私は「梅仕事」に手を染めることになった。

とりあえず、到着したその日の夕飯には
大玉の玉ねぎの芯をくりぬき、
丸ごとの玉ねぎを40~50分コンソメで煮て、
「丸ごと玉ねぎのトロトロスープ」を作った。

最後に粉チーズをかけ、あらびきコショウで味を調え、
大変、美味であった。

ただし、まだ10個の大玉が冷蔵庫にいる。

梅も冷蔵庫の野菜庫には入らないので、
スーパーの袋に入れ、普通の段に入れておいたのだが、
冷蔵庫のドアを開ける度に
梅の甘いいい香りがする。

梅の実とはこんなにいい香りのするものだったか。
一挙に愛しさがあふれ、
「梅仕事」への意欲が湧く。

とはいえ、梅雨入りしたばかりなので、
梅を干すタイミングは当分来ない。
第一、すぐどんなものができたか食することができないのは
性格的に待ちきれない。

そこで、「梅仕事 事始め」として、
今回は「梅シロップ」を作ることにした。

これなら、10日間ぐらいでできるし、
作業に難しいところもなさそうだ。

ネットでいくつか作り方を検索し、
ついにあの「果実酒ビン」と書かれた大きなビンを調達。
送られてきた梅にもう1キロ梅を買い足し、
2,5キロの梅で梅シロップを作ることにした。

同量の砂糖か氷砂糖がいるとあり、
またしてもマーマレードの時と同じく、
驚くほどの大量の砂糖にのけぞりながらも、
それでも既製品のこうしたものよりずっと控えめな甘みに
なることに、2度驚くことになるだろう。

今日は梅のヘタをひとつずつ竹ぐしでせせり、
子供の耳かきみたいにはじき出した。

きれいに洗い、分量を量り、
ジップロップに平らに敷き詰め、冷凍庫へ。

冷凍することで繊維を壊し、
砂糖が染みこみ易くなり、
梅の果汁が出易くなるらしい。

まずは冷凍庫に1~2日は最低でも寝かせるということで、
今日の作業はここまで。

大雨の中、買いにいった「果実酒」のビンは
記念撮影をするにとどまった。

さあ、これで首尾よく梅シロップができたら、
グラスに少し注ぎ、炭酸で割って、飲もう!

シュワシュワ~!!という刺激が喉に広がる感覚が
夏の到来を感じさせてくれるだろう。

想像しただけで、テンションが上がる。
「今年はこの梅シロップで夏を乗り切るぞ~!」
と、果てしなく妄想しながら、
とりあえず、「梅仕事 1日目」に作業は終わった。