2026年8月31日月曜日

圧巻の『ロン・ミュエク展』

 

















個展の直前だけど、
終わってからでは行きそびれると思い、
次女を誘って
六本木の森美術館でやっている
『ロン・ミュエク展』に行ってきた。

次女はすでに観ていた展覧会だったけど、
もう一度観てもいいと誘いにのってくれた。

『ロン・ミュエク』は
巨大でリアルで精緻な人物像を創る
現代美術作家だ。

私が初めてミュエクの本物を観たのは
秋田県の十和田市現代美術館の
「スタンディング・ウーマン・という作品だった。

高い美術館の天井に頭がつくほどの
巨人のお婆さん像で
そのあまりの大きさと精緻な肌やしわやしみの
リアルさに目を見張った。

15年位前の話で
その時も個人旅行で次女との二人旅だったから、
ミュエクは
私たち共通の思い出深い作家ということになる。

ロン・ミュエクは
1958年生まれのオーストラリア人(英国在住)
若い頃はデザイン分野で仕事をしていたけど、
途中から、今のような作品を
創り始めたという。

今回は11点の作品展示だったが、
1点というか1体創るのに数年かかるものもある
という。
会場で1時間近く流れる制作風景の動画を見ても
その制作は気の遠くなるような工程で
作家の作品に対する執念や哲学を感じた。

各展示には詳しい説明のあるキャプションが
ついており、
それを読むとミュエクの
その作品を通して表現したかった思いや
私達観るものにゆだねる部分がわかり
とても興味深かった。

とにかくまず会場に入ってすぐの
雑木の束を持って反りかえるように立つ女。

なぜ、全裸でそんなものを持っているのかは
観るものに考察はゆだねられているが、
まず、その血管が浮き出た太い腕、
雑木でできたひっかき傷、
重いものを持って力の入っている腰。
繁く生えている陰毛。

何とも得体のしれないたくましさと
女の決意のようなものを感じた。

その次がベッドに横たわる巨大な女。
愁いを帯びた表情で
頬に添えられた右手の指が
少し頬のたるみに食い込んでいる。
間近で見ていると女の呼吸さえ感じるほど。

こんなに大きなものを
一体どうやって創るのか。
急にものつくりの好奇心がむくむくと湧いた。

実際の制作風景の映像を見て
そのあまりの大変さに驚き呆れた。
大きいというだけで等身大や小ぶりのものに
比べ、何倍も工程が複雑化する。

それをミュエクはふたりの女性の助手と共に
制作していた。

貧相な若いカップルにしか見えない二人も
後ろに回ってみると
男が女の手首を握り、拘束していることが判り
にわかに不穏な空気が漂う。

こうして洋服を着ている人体も
元の塑像では
しっかり裸体で細部まで創られている。

もちろんそこにも作家の意図があるに違いない。

巨大で不気味なミュエク本人のマスク。
寝ている姿なのだが
ひげの1本1本植え込まれているし、
半開きの口元からは歯並びが覗き、
息遣いまで感じられる。

しかし、後ろに回れば
その顔はマスク状に創られているので
後頭部はない。

何を意味しているのか
この空虚な感じ、孤独や不安が押し寄せる。

最後の『マス』という作品は
大きな展示会場めいっぱいに積み上がった
数多くの巨大な骸骨。

観覧者はそこで記念写真を撮っているけど
撮った写真は美しくもあり
不思議でもあり、不気味でもある。

11点の作品を観るのに2時間もかかったけど
とても面白い展覧会だった。

ロン・ミュエクの才能を応援する人がいて
作品制作を具現化できていることに
嫉妬すら覚えたけど、
自分と同年代の作家の活躍に
大いに力を得た1日だった。































2026年8月28日金曜日

養清堂オープン記念展

 














8月半ば、
リニューアルオープンした養清堂画廊は
元はといえば、2階建ての自社ビルだった。
1階が店舗と事務所で、2階がギャラリー。

2階のギャラリーは企画展と貸し画廊としての
展覧会が混在している形だった。

しかし、リニューアルした画廊は
5階が貸し画廊
6階が店舗兼事務所なので常設展示
7階が企画展
という3層構造になった。

今回のオープン記念展は
6階と7階の両方ともを使っての企画展だ。
75名の養清堂で作品を売ってもらっている
作家による小品ばかりの展覧会。

個人的には
大学院修了時の初めての個展に始まり
これまで大きな個展はすべて
養清堂画廊で行ってきた。

しかし、企画展かというとそうではない。

初回の展覧会は
前社長による半企画展だったけど、
それ以後は海外転勤で日本を離れていたため、
以降、個展の出来そうなタイミングで
自分から会期を申し出て予約してきた。

企画と企画でないとでは
作品が売れた時の作家の取り分が全く違うし、
そもそも企画展の場合は
場所代が0円である。

銀座の画廊の場所代は
「たった1週間でそんなに?!」と思うほど
目が飛び出る額だけれど、
逆に企画展だと
そこを0円にしてもらうプレッシャーもある。

もちろん企画展を打ってもらえるのは
作家にとって名誉なことではあるけど、
そこで1点も売れないとなると
ちょっと気まずいかもしれない。

ともかく私の場合は
意図せずに日本に住んでなかったせいで
10年以上、
版画界の幽霊部員みたいになっていたので
企画を打ってもらえなくても仕方あるまい。

今回の画廊のオープン記念展では
5階に個展と同じ展示をさせてもらった上に
6階7階のオープン記念展の方にも
参加させてもらっている。

なので「ひなたぼっこ」という亀のいる小品が
あっちにもこっちにもあることになる。

それが出来るのが版画のいいところなので
お客様にもそのあたりを
楽しんでもらえたらと思う。

オープン記念展の方はなにしろ75点の作品を
6階と7階に並べているので
ひとくちにいってぎゅう詰め状態だ。

それもテイストの違うものが並ぶので
どうしても展覧会というより
販売会という印象は否めない。

しかし、逆に6階7階を見に来ている人は
「どれを買おうかな」という目で
見ているかもしれないが、
5階の展覧会はどうだろう。

今後は5階は貸し画廊の展覧会
6階は常設展示の販売会
7階はどちらかというと現代版画の企画展

色合いの異なるギャラリーが3つ
ということになるのかもしれない。

まだ始まったばかりの
新生養清堂画廊。

すでに配布されている案内状をみても
必ずしも「月曜始まり土曜終わり」でも
なさそうで、
イレギュラーな会期になっている。

そんな中、私だけ
本来1週間だけ(月から土まで)のところを
8月17日から9月12日まで
約1カ月もの展示期間をもらえたのは
とてもラッキーなことだと思う。

どうか、ひとりでも多くの方のご来訪があり
たくさんのご縁が結ばれますようにと
今は祈るばかりである。





















2026年8月27日木曜日

個展プレオープン

 


















2026年9月1日から12日まで
銀座の養清堂画廊にて5年ぶりの個展が始まる。

養清堂画廊としてはリニューアルオープンで
8月17日からプレオープンの企画展として
6階と7階のギャラリーでは
養清堂に関係の深い作家たちの作品が
展示されている。

その中の1点に私の作品も入っているが
それとは別に
5階のギャラリーでは私の個展の展示が
早くも始まっている。

個展の案内状には初日は9月1日とあるので
個人的に郵送した友人知人は
まだどなたも見に来てはいないが、
出版関係、作家など
養清堂の関係者の方達は
プレオープン展を見たついでに
5階にも立ち寄ってくださったようで、
芳名帳には見知った方々の名前が
たくさん連なっていた。

今日は初日に必要なお菓子や紙コップ、
ペン皿やペーパーウェイトなど
自分らしい会場つくりに必要な小物をもって
プレオープン展を見にいってみた。

入り口には胡蝶蘭の鉢がいくつも並び、
いかにも銀座の画廊のオープニングという
雰囲気だった。

5階の展示は8月13日だったので
すでに2週間経っている。
しかし、その時は6階と7階はまだ
雑然と搬入された作品が床に置かれていたので
まったく展覧会場の体を成していなかった。

そこが今日は整然と、しかも
小品で埋め尽くされていたので
急に画廊らしい様子になっていた。

きっと初日が始まってしまうと
お客様の応対で忙しくなってしまうと思い、
誰もいないギャラリーでたくさんの写真を撮った。

これから数日して
本当の個展の会期が始まったら、
毎日、たくさんの方がここに集い、
絵を見て、おしゃべりしていくだろう。

そして、気にいった作品があれば
お祝いにポチッと赤丸をつけてくれる
かもしれない。

DMが届いたお盆過ぎあたりから、
何人かの友人から「いついつ伺います」とか
「楽しみにしています」と連絡がきた。

きっとそこには懐かしい再会があり、
思い出話に花が咲き、
嬉しい報告もあるだろう。

もちろん、よくお目にかかっている友人達も
「おしゃれして銀座にいくわ」と
連絡してくれている。

そうした出会いや集うきっかけを提供できた時、
私は作品を創り続け
発表し続けて本当に良かったと思う。

養清堂画廊の住所は
中央区銀座5-5-15
個展会場はそのビルの5階
(5が多過ぎ)

1丁目から8丁目まである銀座の中でも
本当にど真ん中だ。
並木通りにあって、和光や三越側から行くと
手前に三笠会館、
ビルの下層階はジャガールクルト
反対隣はカルティエというブランド通りだ。

そんな環境で個展ができることは
なかなかない。

お客様もルンルンでおしゃれして
楽しんでいってほしいなと思っている。



































2026年8月24日月曜日

銀座仕様のメッシュ・カラー

 





個展の会期の1週間前になった。

ここまでは「術後に無理をしないように」が
テーマだったけど
ここからは「銀座の女への準備」が
テーマになる。

昨日は呉服屋さんに行って
夏着物と肌襦袢の出来上がりをチェックした。
友人が麻の肌襦袢はとても涼しいというので
今までは夏物は既製品の襦袢だったけど
初めて麻の襦袢なるものを仕立ててみた。

また、その襦袢を誂えた時に
かなり強引に勧められて、引くに引けず
求めてしまった濃緑色のお召の着物も
出来あがってきた。

その紋紗の着物を個展の初日に着るのか
別の紗袷という着物を着るのか
悩ましいところだ。

呉服店の店長も個展に来てくれるというけど
「出来れば着物でいる日に行きたい」
というので、
店長がこられる初日には
着物でお出迎えしなければなるまい。

もちろん、店長のお店で求めた着物か帯で
いることが必須条件だ。

そして、今日は美容室で
髪をカットしてメッシュに染めた。

ここでも担当していくれている店長は
「銀座仕様ですね。お任せください」と
張りきって、
いつもより多めにメッシュを入れてくれた。

そして、
こちらの店長(経営者なので代表と呼ぶ)も
銀座に来てくれるというけど
やはり髪のセットの具合が気になるらしい。

こちらはむしろ、
着物で髪をアップにしている日より
下ろしている日の洋装が見たいらしい。

あちこちにいる『チームきみの』(自称)の
メンバーは
自分の関わった部分が気になるのだろう。

作品が見たいというより
私がちゃんとしているかなと心配みたいだ。

明日は『チームきみの』のひとり
整体の先生の所に行く予定だ。

こちらは首回りや肩回りの
凝り解消とリンパの流れを促すこと、
顎の下のフェイスラインをスッキリさせ
二重顎を解消することで
銀座に送り出してくれるだろう。

そして、やはり整体がお休みの日、
個展会場にも来てくださることになっている。

日頃、体のメンテでお世話になっている方や、
全く絵画とは関係ない
ビジネスパートナーの人まで巻き込むので
娘には呆れられているが、
4~5年に一度のおばちゃんの晴れ舞台に
皆さんとても協力的で優しい。

もう少しで舞台の幕が上がる。
しっかり準備して楽しまなければ!!

案内状が届いたと連絡してくれる方も
大勢いて
だんだんテンションが盛り上がってきている。

何曜日にどんなお客様?
では、どんなドレス?着物?

思いめぐらすこの1週間も
とても楽しい日々だ。
悔いのないようにエンジョイしようと思う。