2026年3月3日火曜日

冷たい雨のひな祭り

 









今朝は朝から冷たい雨が降っている。
気温が昨日よりグッと下がって寒い。
朝の最高気温9度が午後にはもっと下がるとか。

先週末は春の陽気で
もうこの調子で桜が咲くのではという
温かさだった。

こうやって三寒四温で
春は行きつ戻りつしながらやってくるとは
知りつつも、やはり冷たい雨の日は
テンションが下がる。

私の予定はきれいに毎日朝10時からの
カウンセリングが土日もなく並んで、
カウンセラーとしてはいいと思うのだが…。

認知行動療法というのは
同じ事象もものの捉え方ひとつで
違って見えるものなので
自分の感じ方や考え方のクセを理解して
少し見方を変えることで
気持ちが楽になったり前向きになることを
目指している。

それをカウンセラーとしては
日々、クライエントさんに解いているのに
いざ、寒い雨の朝になると
「雨の日もいいもんだ」
「ずっとピーカンの晴れだったんだから
雨も必要だよね」と明るくなれない。

「この寒い雨の中、出かけるのはおっくうだ。
何を着ていけばいいのさ」と
布団の温もりから這い出せずにいた。

ようようカウンセリングルームについて
窓の外を眺めても
雨にけぶった白い街は寒々しいだけだ。

それでもクライエントさんの
「子育てあるある」のエピソードを聴き
私も孫のところの話や
自分の家の夫婦関係の話など
自己開示満載のカウンセリングをするうちに
何度も笑いの渦に巻き込まれ、
クライエントさんは
そう感じているのは自分だけじゃない
悩んでいるのは自分だけじゃないと分かり
心がほぐれていく。

それが我がカウンセリングルームの
いいところだと思う。
悩み多き子羊たちが集い
想いの丈を吐き出すうちに
みんな笑い声を立てて笑顔になる。

そうこうするうちに
寒い雨もまた良しと
思えてくるから不思議だ。

カウンセリングの後には定例の
カーブスでひと汗かき
(実際は寒くて汗などかかないが)
デパ地下でひな祭りだからと
桜餅と草餅を買った。

家につくとポストの中に
友人が送ってくれた
「三月の大相撲番付表」が入っていた。

友人が親のような気持ちで見守る
「友風」は先場所、大負けしたので
幕内から十両に。
私が推している「大の里」は
西の横綱として名を連ねていた。

今年はオリンピックにMBA。
サッカーもワールドカップがある。
世界規模の大きな大会の合間に
大相撲も三月場所に五月場所と、
アスリートは休む暇もない。

メディアが取り上げるのは
美味しい部分と強い部分だけなので、
裏の選手や力士の日々の努力は
なかなか見えてこない。

しかし、実際は寒いだの暑いだの
しのごの言っている間もなく
こつこつ練習した者だけが輝くのだろう。

墨の香りがしてくるような
文字がびっしり並んだ番付表。
高い位置にいる時は一目でわかる
大きな文字。
落ちれば探しても見つからないような
小さな文字。

そのあからさまな現実に
目を落としながら
桜餅をかじった。

ほのかな小豆の甘み
もっちりした皮の柔らかさ
桜の花の塩漬けがアクセントになって
より甘みを引き立てている。

桜餅も
甘いだけでは美味しさがぼけてしまう。
塩味が舌にさわることで
甘さももっちり食感も活きている。

毎日毎日、冬晴れが続いていて
もういい加減に雨が欲しいと
言っていたくせに
降ったら降ったで文句を言う。

「どの口がそんなことを言っているんだ」
そう自分に喝を入れ
ものごとにはいろいろな側面があって
初めて相乗効果があるという
永遠の真理にたどり着いた。

あ~、美味しかった!
草餅も食べちゃおうかな~!
(こらッ)
















2026年2月26日木曜日

『亀』新作の本摺り

 




















今週は雨が毎日のように降るというので
俄然、本摺りをしたい欲望にかられた。

3枚同時に立ち上げたうちの2枚の
試し摺りと本摺りをするのが
2月のミッションでそれはすでに
クリアしていた。

しかし、この冬晴れ続きの中、
雨が降るとあっては黙っていられない。
何しろ、本摺りは湿度が命。

和紙の湿り気を保ちつつ
摺らなければならない本摺りにあって
外が雨降りなのは
願ってもないチャンスなのだ。

残念なことに日程的に一番大雨の水曜日は
お茶のお稽古で
家に籠って本摺りという訳にはいかない。
しかし、木曜日の午前中までは雨の予報。

私は取るものもとりあえず
水曜日の午前中に和紙の湿しと
絵具の調合をして、木曜日に備えた。

昨日の水曜日は叩きつけるような大雨で
外に出歩くのをためらうほどだったが、
何とかお茶のお稽古には行って
早めに失礼して帰ってきた。

完全に気分は『摺り師』モードで
一刻も早く摺りたいという気持ちがはやる。

たぶんこういう時はアドレナリンが出ている。
夜も全く寝付けなかったので
朝早く起きることにして
まだ、夜明け前の画室に籠った。

今回の摺りは『亀さん』が主役。
蓮の葉に乗ったら重みで少し沈んで
半身浴状態になった。

そんな亀を去年の夏に取材したので
作品化したものだ。

本摺りとは別に、
目下、制作している新しいHPに
制作風景の写真が必要で
木版ならではの「見当」の画像を
撮らなければならない。

他にも黒い蓮の葉の版か
水紋の濃紺の画像も必要なので、
本摺りをしながらも要所要所で
撮影にも気を回さなければならない。

幸いダンナはこの雨の中、
早朝からゴルフに出かけたので
ひとり静かに作業ができた。

しかし、ダンナは
案の定、10時過ぎには帰ってきて
「雨で中止になった」という。
別に摺りの邪魔立てするわけではないが
いないに越したことは無いというのが
正直なところ。

本日の摺りもノーミスで午後2時過ぎに終了。

ランチタイムにテレビをつけると、
凱旋帰国したオリンピックの
金メダリストのりくりゅうペアが
あっちの局にもこっちの局にも
出ている。

毎日毎日、SNSもりくりゅうペアばかり。
33歳の龍一君がわんわん泣いているのを
抱きしめてなぐさめる24歳のりくちゃん。

坂本花織の最後のオリンピックは
どこかに霞んでしまって
日本中、
りくりゅうペアの話題で持ちきりだ。

木原運送の場面も何度見たことか。
それにしても美しいフリーの演技。
信頼し合っているからこそのリフト。

そんなこんなをおばちゃんも観て
うっとりしつつも現実に戻る。

8枚の本摺りを仕上げて水張りをする。
みるみる色が明るくなり、
ちょっと亀が水の白に沈んで弱々しくなる。

そのことは織り込み済みだったが、
乾いてみて初めて
やっぱり亀が少し弱いかも…と思う。

絵具の濡れている時と乾いた時の明度差は
何十年摺っていても
その時々の水分量や重ねの色の染み込み具合
色による乾湿の明度さの違いなど
毎回、違うので本当に悩ましい。

とにかく新作の本摺りが終わった。

さあ、ダンナも帰ってきちゃったし、
晩ご飯は何にしようかな~。
ちゃんとキッチンに立とうとする自分に
ご褒美をあげたい気分だ。









































2026年2月24日火曜日

日本画展と茶室の融合

 
















2月16日(月)から
銀座1丁目の「柴田悦子画廊」にて開催中の
企画展「越畑喜代美展」
『春迎えのお茶会風味~蒼月草篇』

その中のお茶会風味の部分の
お茶の先生として
23日にお点前をすることになった。

この展覧会は柴田悦子画廊の企画展なので
友人の越畑喜代美さんからの依頼と
いうわけではなく
直接、画廊主から連絡を受けた。

「葬送のフリーレン」というアニメを
テーマにしたお茶会を22日に行い、
私が担当した23日は
「春まだ浅き頃」というテーマで
お茶碗やお菓子などを準備した。

「葬送のフリーレン」に関しては
まったく無知だったので、
22日に関することはお任せし、
私は友人が作ったお軸の色合いを見て
小豆色の地のホタル絞りの着物に
「荒城の月」を思わせる袋帯を着た。

お道具類のほとんどは画廊側が準備し
私は自宅使いの抹茶椀の中から
紅白の梅の柄の茶碗と赤絵付けと
青磁の茶碗を持っていくことにした。

薄茶の前に食べていただくお菓子だけは
自分好みにしようと
お正月にも次女に取り寄せてもらった
「一善や」のミルフィーユを用意した。

なにしろ、このお菓子
ちょっと引くほどお値段がいいので
軽々には取り寄せられない。

しかし、
今回は画廊側が持ってくれるので
ここぞとばかり
2種類のミルフィーユを注文してみた。
「干し柿と無花果と胡桃のミルフィーユ」
「獅子柚子と胡桃のミルフィーユ」
の2種である。

それに両口屋是清の「二人静」

当日は1時半からお茶会を始めると
展覧会のDMには告知し
このブログ最多出場の友人Aさんが
着物姿で最初のお客様に駆け付けてくれた。

展覧会の中のお茶会ということで
お客様のほとんどは
茶道をたしなんでいるわけではない。

みんな、画廊や作家の知り合いだ。
日本画に精通してる人
日本画が好きな人
作家に日本画を習っていた人など。

それでも
お茶会を愉しもうと着物で来てくれるのは
とても嬉しいことだ。

私の関係者は件のAさんだけだけど
すぐに他のお客様とも馴染んで
まずは1席目に入ってくれた。

お出ししたミルフィーユはどちらも
大好評で鼻が高い。

お客様はその後もいい感じに途切れず
6時の閉店ガラガラの時間いっぱい続き
計7クール
お抹茶を点て、レクチャーしながら
表千家茶道のお作法に則って
お茶を楽しんでもらった。

ふだんのお稽古やお茶事・お茶会では
茶道歴が何年もある方しかいない。

しかし、こうした茶道初心者の方と
お作法の話やお道具のこと、
お菓子とお茶の関係などの話をすると
とても興味深く聴いてくださるので
新鮮だ。

後で聴けば、
どの方もその道では有名だというので
画廊や友人の交友関係を通じて
少し世界が広がったような気分だ。

一服のお茶を介して
見知らぬ誰かとひとときを共にする。

それこそ茶道の提唱する
「一期一会」の醍醐味だ。

さりげなく画廊のオーナーが
「今日はお茶の先生をお願いしたけど
木版画の作家さんなのよ」といって
紹介してくださるので
「9月の個展にはぜひ」などという話
にもなる。

こうして案外限られた世界で
限られた人とだけ関わって
日々が過ぎていくけど、
新たな出会いがあったりする。

昨日は折しも
春一番が吹き、気温も急上昇。
花粉が一気に飛散して
目は真っ赤、鼻水が…。

遂にこの季節が来たとおののくけど
悪いことばかりじゃない。
そんな出会いが交錯する1日だった。






























2026年2月17日火曜日

銀座あちこち詣で

 












今日は東銀座の東劇に始まり、
京橋の柴田悦子ギャラリーまで、
銀座で5か所ほどの用事を済ませた。

総歩数は11018歩
ムーブゴールの300%を達成し
スマホに大いに褒めてもらった。

まずは月イチ歌舞伎の
「二人藤娘」と「日本振袖始」
(歌舞伎の舞台を映画にリメイクしたもの)

「二人藤娘」は玉三郎と七之助のふたりで
踊る藤娘

「日本振袖始」は
タイトルとは似つかわしくないが
自分を選ばず妹と結ばれた姉が
恨みのあまり
大蛇になって人身御供の娘を食らう話
ひとり二役は玉三郎

要は玉三郎の至芸を
映画という大スクリーンで堪能する。

東劇の「月イチシネマ歌舞伎」は
いつもマニアックな歌舞伎ファンしか
来ないのだが、
なぜか今日は後ろの席まで埋まる
満員御礼状態。

よく考えたら
これも映画「国宝」の影響か。
映画館の「国宝」は老若男女問わずだが
東劇の方はおばあさんばっかり。

歌舞伎は敷居が高いが
映画「国宝」を観て
「シネマ歌舞伎のお値段なら
私にも行けます」というところか。

映画の内容は玉三郎のメーキング映像や
解説などもあり、
舞台とは違う親近感もあるし
大アップで観る楽しさもある。

素人のばあさんが賑やかだが
まあ、良しとしよう。
(私が玄人とまでは言わないが)

東劇を出ると、
お次は大学の先輩の個展と
大学の同級生の個展にお邪魔した。

どちらかというとこれは
娑婆のおつきあい(失礼なヤツ)

ここからがメインの用事二題

ひとつは目下工事中の養清堂画廊の
進捗状況を確認しつつ、
個展に関する打合せ。

工事現場はだいぶ出来つつあり、
はるか見上げる先に
見慣れた緑色に白抜き文字の看板が…。

まだ、1階は火花を散らして溶接する
職人さんがいたりして
全然どんな風になるか分からない状態だ。

ただ、画廊ははるか彼方にあるので
ひょいと一見さんが覗く感じはゼロだ。

ビルの1階から4階までは有名な時計店。
隣のビルはカルティエ
その隣のビルはシャネル
推して知るべしな銀座並木通りの
5丁目5番地なのだ。

近くのオフィスにいる女性社長に会って
工事の状況や
個展の搬入、プレオープンなど
少し詳しい話を聴かせてもらった。

9月1日スタートの個展。
9月直前の搬入がそうでもなくなることが
分かり、
にわかに予定が前倒しになるらしい。
せっかちな私のお尻にいよいよ
火がつく感じがあり、ウキウキする。

最後は先日急に決まった友人の個展での
お茶のお点前の話。

この週末の3連休3日目の23日が
お点前の日だが、
昨日から友人の個展は始まっているので
どんな様子か下見見分。

友人の作品やコンセプト、
個展会場の一角にセットされた
茶室コーナーのお道具組など、
知っておいた方がいい。

それに合わせてこちらも着物の色や
格を決めることが出来る。
失礼になるのはもちろんよくないが
やり過ぎもよくない。

「無手勝手流なの」といっているのに
表千家では云々と言い張るのも
野暮というものだ。

大体の様子を理解し、
個展の主のKさんから
届いたばかりの本物の「いぶりがっこ」と
マリアージュ・フレールの
「カサブランカ」という紅茶のおすそ分けを
おみやげにいただき、
夕方の銀座から帰路に就いた。

「いぶりがっこ」と「カサブランカ」
何でもありの濃厚な個展と理解した。
その許容範囲の広さに驚く。

つまり、一服のお茶も楽しむことに
意義がある。
春まだ浅いとはいえ気温19度の予報。

ポカポカ陽気と
京都から取り寄せたお菓子が
きっと座を盛り上げてくれるだろう。

さて、私はどの着物にしようかな~。
Kさんのお軸は薄紫系だったから
小豆色なんかいいかな~。

そんな思いを巡らす時が
一番楽しいひとときである。