木版画は1点仕上げるのに時間がかかる。
とても小さな作品なら
原画作成から彫り・摺りと進めて
1週間で出来なくもないが、
1辺が1m近い作品になると数か月を要する。
私がよく手掛ける大きさは
額縁でいうと「大衣」サイズで
作品の絵のサイズが45×30㎝くらいの作品か、
もうひとつ大きい「大全紙」の額に入れる
イメージサイズ60×45㎝くらいのもの。
今回は
5か月版画を創っていない期間があったので
まずは「大衣」サイズのものから
創り始めることにした。
そのくらいの大きさが
内容的に言いたいことが言えるし
摺りの時に摺りやすい大きさということもある。
版画作品は2点同時に
原画を立ち上げることが多い。
別に「対」の作品ではなくても
共通のコンセプトで2枚創ることで
少し角度を変えた見方で
しっかりイメージを定着させることが出来るから。
今回も「柿」を使った作品を2点同時に
原画作成し、トレぺ原画にした。
そして、2点同時に版木に転写する。
2点同時に版木転写することで
編み物でいうところの「ゲージ」を
整えることが出来る。
日をまたぐことがあったとしても
体の感覚を途切れさせることは禁物だ。
例えば、葉っぱの形や実のデザインに
共通性をもたせたり、
細部の表現を均一化することで
同じモチーフを視点を変えて捉えていることを
表現できる。
「版木転写」が終わると
「彫り」の作業と「摺り」の作業になる。
今回は版木2枚(両面彫り」の1,5枚を使って
2点分の版をトレースし終えた。
面の数でいうと3面だ。
(版木1枚は60×45㎝の大きさ)
(厚さは6ミリ)
つまりひとつの作品につき、
1面半の版木を使ったことになる。
個展でもよく同じ質問を受けた。
「いったい何版くらいあるんですか」と
訊かれたが
「だいたい8~10版、多いと12版くらい」と
答えると版数の多さに驚かれる。
しかし、実際には
「この大きさの作品は1面半に納める」
と決めている。
つまり、2点の作品は3面以内に取り切るので
2点で版木は1枚半しか使わない。
意外と少ないのだ。
浮世絵のように版木を作品の大きさにしてしまうと
8枚の版数には8枚
10枚の版数にには10枚の版木が必要になる。
桜や柘植など硬い版木は
合板と違って元の木の太さや幅があり
制約があるから仕方ないが…。
私が中くらいの作品2点分の彫りを終えるには
約1ヵ月かかる。
他にも仕事や遊びに使う時間があるからだ。
版画制作で画室に籠る日と
外に出る日。
ひとりで作業する日と、人と会う日。
そのバランスが自分にはとても大切だと
思っている。
なので、「作品2点分の彫り」を
今月のミッションと決めると
机に下敷き代わりに置いてある
大きな月替わりのカレンダーの余白に
「作品2点分の彫り」
と書き込む。
月初には何日かかるか分からないし、
長時間、彫り台に座れる日もあるが、
ほんの1~2時間しか彫れない日もある。
全く、版画の仕事をしない日も多い。
それでも、「月間」の予定を書くことで
その月の目標が決まり
月半ばでどのくらいの進捗状況かが見える。
せっかちな自分は
月半ばで予定より進んでいれば
単純に安心するし、
未達になりそうな時は
休みの日でも時間を捻出する。
そして、
日数を余して予定をクリアしても
前倒しに次の「摺り」を突っ込んだりせず
余裕をもって摺りのイメージを膨らませる。
きっと11月のミッションは
「2点分の摺り」になるだろう。
今のところ「彫り」作業は月末を待たずに
2点分出来上がると思うけど、
久しぶりに版画制作に戻ってきた自分に
何かご褒美か癒しを与え、
10月の『彫り師キミノ』の労をねぎらう
つもりだ。
気持ちのままに無茶をすると
腰や首の凝り
目のしょぼつき
腱鞘炎など
こじらせてからでは、かえってメンテナンスに
お金と時間がかかるので
何事もほどほどで切り上げることが肝要だ。
さてさて、本日の彫りのご褒美は
時期の時に買って冷凍しておいた
「あげぼののあんず大福」を
解凍していただくことにする。
ちょうど自然解凍ができるまで
もうひと踏ん張り
彫り師キミノは彫り台に向かいます!!









































