2024年5月15日水曜日

薔薇とアフタヌーンティー

 























陶芸展『卓』2日目。

今日ははるばる北海道から古い友人Aさんが
来てくれた。

私は中高一貫の女子校育ちなのだが、
Aさんとは12歳の中学入試のその日からの
長い長いお付き合いだ。

入試の番号9と12
忘れもしない同じ列の真ん中へんと最後尾
伝言ゲームをやらされた時から
顔見知りになり、
中1のクラスも一緒だった。

以来、親友として過ごした幾年月。

そんな私達の同窓会が
4年ぶりに今度の日曜日に行われる。

Aさんはそれに合わせての上京で
偶然、陶芸展の会期でもあったので、
ちょっと遠方になってしまうが
横浜まで来てもらうことにした。

折しも、薔薇薫る五月、
ヨコハマ・ニューグランド・ホテルの
『薔薇のアフタヌーン・ティー』を予約し、
ホテルの目の前に広がる
山下公園の薔薇の園とアフタヌーンティー
そして、陶芸展をめぐるというプランだ。

天気の具合からいって
少し涼しいうちに薔薇ガーデンを見ようと
いうことになり、
みなとみらい線の日本大通り駅から
海風が頬に優しい山下公園の海沿いを
800mほど歩いた。

まだ、日差しもさほど強くはなく
人出もほどほど。
午前中の方が薔薇の香りも強いとのことで
薔薇のアーチをくぐると
甘い香りが芳しい。

私達は中学の時、写真部だったこともあり、
じわじわ当時の感覚がよみがえる。
Aさんはキャノンのカメラを取り出し
私もスマホの画面で構図を決めながら
何枚もシャッターを切った。

偶然にも二人とも白とブルーの服装で
ピンクや赤の薔薇の花とコントラストが美しい。

私自身はもちろん白いブラウスで
薔薇とアフタヌーンティーのセットに
映えることを狙っている。

先に薔薇の園を歩き
背景に氷川丸を入れたり、
ニューグランドを入れたりしながら、
ひとしきり写真撮影をして
いよいよ予約時間の前にホテルへ。

友人はニューグランドは初めてらしく
つい先日、クラシックホテルの特集で
見たばかりという重厚な内装に興奮気味。

私は予約の取れないことで有名な
このホテルのアフタヌーンティーが
いよいよ始まることに興奮気味。

例のスイーツ3段重ねの他に
焼き立てホカホカの2種類のスコーンがつく。
飲み物は紅茶を1種類ずつ頼める方式で
メニューから自由に選ぶことができた。

1杯目のホテルブレンド、ダージリン、
アールグレイ、ミントティ、カモミール。
いずれも香りの際立つ上質な味。

スイーツも1段目の少し塩気のあるものに
始まり、10種類以上あったと思うが
上手に味のバランスが考えられており
なんのかんのと完食。

もちろん見た目の可愛さも抜群で
噂にたがわぬ充実ぶりだった。

腹ごなしというわけでもないが、
ヌン活の後はクラシック・ホテル探訪として
有名な歴史ある建物の2階に上がり、
その唖然とするばかりの豪華で重厚な
たたずまいを堪能した。

最後に大きな猫足の椅子に腰かけ
貴族の令夫人にでもなった気分で
写真を撮ってもらった。

友人が「ここで撮ってどうすんのよ」と
訊くから
「再婚用」と答えておいた。

そんな感じの写真館にもなかなかないような
リッチな椅子。
座り心地も上等だった。

薔薇と趣向を凝らしたお菓子の数々。
アフタヌーンティーの起源は
貴族のご婦人の女子会だったとか。

旧友とふたり、
薔薇の園と薔薇のアフタヌーンティー、
正に究極の女子会は
貴族の気分だった!!











































2024年5月14日火曜日

陶芸展『卓』始まる

 


















今日から陶芸展『卓』2024が始まった。

午前9時、神奈川県民ギャラリー前に集合し、
総勢21名で机の組み立て
セッティング、個々の飾りつけ、
ライティングなどが行われた。

お天気は爽やかな快晴。

「昨日のどしゃ降りと強風が
もし今日だったら本当にヤバかった」と、
会員が口々に言う中、
順調に物資が運び込まれ、
各人が持ち込んだ作品が
『卓』の上に組みあがっていった。

すでに古株になった私は
奥の部屋の設営係を仰せつかっていた。
メジャー片手に机の配置を決めてから、
みんなを部屋に誘導し、
自分に割り振られた机に次々と器を出した。

今回は2部屋の内、奥の部屋の奥から順に
入門が古い順に割り振られたので、
偶然にも私は奥の部屋のど真ん中の机になった。

今回の私の『卓』のコンセプトは
クリスマスの頃のホームパーティ。
「ガトーショコラを焼いたから」というタイトル。

昔から、ことあるごとに焼いてきた
ガトーショコラのホールケーキをのせる
大きなケーキトレイと
取り分け皿。
ティーポットとシュガー&クリーマー。
四葉のクローバー型のお皿や
家の形のクッキー入れなど
大小さまざまな器が並ぶ。

目玉は恐竜の卵というネーミングの
卵の形のボンボニエール。

いざ並べてみたらちょっと多過ぎたので、
ひとつ大振りの湯飲みをはずし
それでもかなりぎゅうぎゅうな感じで
テーブルに所狭しと
クリスマス仕様の食器が並んだ。

それぞれの人が
机のセッティングが終わり、
自由に眺める時間になり、
周囲を巡ってみると、
本当にみんな個性あふれる『卓』の出来上がり。

今回は
どの卓にも物語を感じるし、
それぞれの人となりがにじみ出ている。

私の卓も
あれもこれもと欲張りな人となりが
出てしまっているなと反省しつつ、
クリスマスの頃の心浮き立つ卓の感じは
出せたのではないかと自画自賛。

とにかく初日のセッティングを無事に終え、
午後には2名の友人が
時間をずらして来てくれたので
それぞれのアテンドをしてから帰宅した。

明日から、連日、お客様を迎え、
2024年の『卓』を楽しもうと思う。

ここ数日は
清々しい晴れが続くということなので
横浜の満開の薔薇を満喫しつつ、
展覧会のご案内をすることになるだろう。






























2024年5月11日土曜日

初風炉の稽古茶事

 


























5月11日
茅ヶ崎市が管理する茶室『松籟庵』にて
初風炉の稽古茶事が行われた。

お天気は晴れ女の面目躍如、
爽やかな風薫る五月。
雲一つない晴れである。

さて、『初風炉』というのは
5月に入るとお茶の世界は炉から風炉へ
大きくお点前が変わるのだが、
その最初の頃、風炉のお点前の茶事を
『初風炉』と呼ぶ。

また、『稽古茶事』というのは
お茶事という形式
つまり、炭点前があり、
懐石料理があり、濃茶と薄茶がある
合計4時間以上かかるような
お茶のフルコースのお稽古を
先生とお社中のみんなだけで行うことをいう。
(通常のお茶事は外部のお客様を招いて行う)

いつものお茶のお稽古というのは
いわば部分的な取り出しのお稽古で
その月にふさわしいしつらえのお道具で
お濃茶と薄茶を点てるのが常だ。

時折、お炭点前や、お免状物のお稽古もあるが
フルコースで全編お稽古することはない。

その曜日のメンバーが同じお点前を
順番に行うから
メンバー全員同じことをする。

しかし、今日は風炉の季節になって
初めてのお稽古を
先生のお宅ではない外部のお茶室を借りて、
お道具を借りたり、持ち込んだりして
正式な茶事に近づけた形でしようという
趣向である。

その第一弾の『亭主』役に
なんと
順番で私が割り振られることになった。

『亭主』というのは
そのフルコースのお点前をひとりで全部
しなければならない。

他の役どころとしては
『お客様役』5名と
『半東』という亭主の補佐役と
『水屋係』という裏の助っ人ととで構成され、
そこに先生がついて
あれこれ指示を仰ぎながら
それぞれの役どころを進めていく。

しかも、
『千鳥』とよばれるお酒の応酬が
お料理の最後の方で行われるのだが、
その時に必要な『八寸』という
海のもの・山のもののおつまみは
「亭主が作って持ち込む」という新ルールが
課せられた。

お陰で私はゴールデンウィークに
お試しで「海老の山椒焼き」と
「きゅうりの味噌漬け」なるレシピを試し
一発では納得できず、
試行錯誤を繰り返すことになった。

なにしろ、『柿傳』が監修の分厚い料理本は
「海老を下地に漬け込み、焼いて山椒をふる」
「きゅうりを板ずりし、白みそにみりんを加えた
ものに3時間ほどつけ、適宜切る」としか
書いていない
不親切極まりない料理本なので、
とりあえず作ってみてもうまくいくはずもない。

最初、海老の下地を
日本酒と醤油の同割にしてみたら
しょっぱくて
山椒がピリピリ過ぎてアウトだったので、
日本酒にほんの少しの醤油の下地にした。

また、逆に
白みそとみりんを練っていくら漬け込んでも
全くきゅうりに味が染みこまないので
まずは蛇腹に切ってから
合わせみそとみりんで漬けてみたりした。

夕べ、下地に漬け込んだ海老を
今朝は5時に起きてグリルで焼き、
その後、朝食を作り、食べてから
化粧をし、着物を着てでかけたので
今日の朝はなかなかのバタバタぶりだった。

しかし、八寸の評判はいずれもよかったので、
トップバッターの役目は
無事に果たせたので何よりである。

お料理のパートは本当の懐石というわけには
いかずにお弁当をとってしまったので、
先生としては
『千鳥』というややこしいお酒とおつまみの
やり取りの部分だけは
正式にやりたいというご希望を実現できたし、
私達も大いに勉強になったのは
よかったといえよう。

茶道は利休さんに始まる歴史ある日本文化の
筆頭であるが、
現代人の私達の知らないことばかり
本日もその奥深さの一端にふれ、
日本人に生まれ
茶道を趣味にして面白いとつくづく思うが、
なんだってこんなに難しいことをと
痛感した。

早、40年余りもお稽古していても
この程度
亭主の口上も、現代日本語ではないし、
所作のひとつひとつも非日常。

まあ、そこがいいところだとは思うが、
なかなかに疲れた1日であった。

先生はここのところ妙にお茶事熱が熱く
半年に1回ぐらいは
こうしたお茶事の形式のお稽古をしたいと
言っている。

次は秋に「名残の茶事」をしたいとか。

まあ、とりあえず、
自分に亭主がまわってくることは
向こう何年かはないと思うので、
一安心というのが今宵の気分。

『亭主』の分の海老ときゅうりを肴に
ビールを飲んだが、
日本酒でなくても美味しく感じるのは
安心感ゆえかもしれない。

お疲れ~!!