朝、最寄駅から電車に乗ると、
京急線の電車まるまる12両が
「ハッピーターン」に占拠されていた。
京急線は赤いボディに白いラインが特徴だが
時折、ブルーの車体とイエローの車体のものがある。
どちらの車体も滅多にないので
線路の向こうからブルーやイエローの車体が
入ってくるのが見えると
ちょっとラッキーな気分になる。
「あ、今日はイエローだ」と心の中でつぶやき
目の前まで来て前方車両が通過すると
車体になにやら黄色い色の顔のイラストの
ステッカーが、全車両に貼ってある。
よく見知ったキャラクターではないので
最初は気にも留めずに車内に乗り込むと
よく見ると社内の吊り広告が
すべて「ハッピーターン」だった。
まず、天井の両脇の広告に気づいた。
「えっ?明日、祝日だよ」
「テレパシーとしか思えない
タイミングの「今、暇?」
「ん?どういう意味?」
そう思って中吊り広告を見ると
なんとどの中吊りも
「ハッピーターン」そのものが
ぶら下がっている。
もちろん、本物のおせんべいが
入っているわけじゃないけど、
とてもよく似せてある「ハッピーターン」だ。
俵型をして、バスマットのような
少し起毛のある生地でできている。
更に焦げ目の色まで着色されていて、
本当に本物そっくり。
それをあのセロファンで
キャンディのように包んだものが
全部の中吊りにぶら下がっている。
電車に乗っている乗客は
誰もそんなことは気にも留めていないけど
私はひとり、びっくりして
思わずスマホで写真撮影した。
「ハッピーターン」といえば
亀田製菓が出している
大昔からある定番のおせんべい。
甘辛い味が後を引く、人気商品だ。
今更、こんな大掛かりな宣伝をしなくても
十分、売れている商品のはず。
なぜ???今???
少し調べてみると
亀田製菓から
「ハッピーターン」が売り出されたのは
第一次石油危機の時で、
世の中は不景気で暗かった。
なので、
少しでもハッピーが戻ってきてくれるよう
「ハッピーターン」というネーミングにした
とある。
確かにお菓子の名前は
「えびせん」「アーモンドチョコ」「ごませんべい」
「堅焼きポテト」「竹の子の山」「きのこの森」
など、
使っている材料や形状の名前をつけることが
ほとんどだと思う。
そこに「ハッピーターン」などという
概念みたいなネーミングは確かに珍しい。
時は4月初め、新年度の始まり。
桜は満開。
車窓から大岡川沿いの桜を眺めていると
「ハッピーターン」に込められた意味が
少し理解できたような気がした。
ほんの小さなことにも幸せを感じる感性。
毎年、この時期に桜を観ると
「今年も観られてよかった」と思う。
我が街の標本木の桜も満開を迎え、
そこを通る度に
何人もの人がカメラに収めていた。
そして、花散らしの雨が降れば、
川面に散った桜が花筏になって
それはそれで美しい。
いつもの生活の中に
ちょっと嬉しいことがあれば
気持ちが軽くなる。
「ハッピーターン」の甘じょっぱい味は
そんな「人生いろいろあるさ」的な
味なのかもしれない。
新年度に新生活が始まった人も
いつもの日常が続いている人も
みんな、ささやかな幸せを慈しんで
暮らしていきましょう。
さあ、一息入れて
「ハッピーターン」でお茶しましょ。
それが「ハッピーターン」の戦略だ。









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