2015年2月9日月曜日

雪舞う確定申告

2月は私にとって気の重い季節である。
そう、確定申告があるからだ。
 
しかも、今年は昨年、不動産の譲渡という生まれて初めての経験をしたせいで
自力での書類作成が難しく、
税務署の相談コーナーで教えてもらわないと、作成が立ち行かない状況だ。

更に
譲渡には譲渡専用の申告書が必要なことが分かり、
先週の雪が降った明くる日、税務署まで足を運び、
ついでに相談コーナーの混み具合を訊いたところ、
「8時半から整理券を配りますが、
その時点で毎日100名ぐらいの方が並んでますね」
ということだった。
 
内心、ゲゲッとのけぞったのだが、その日は涼しい顔で申告書を持ち帰り、
週末、自分で書き込めるところは書き込んで、
本日、いざ、相談コーナーに出陣と相成った。
 
8時半で100人越えで、下手すると夕方まで待つ時もあると聞いては
1分でも早く到着するしか手はあるまい。
 
そこで、朝7時頃には家を出ることにして、
8時には税務署に着くよう、夕べは早めに就寝してスタンバイ。
 
しかし、今朝は横浜の最低気温が0度を下回る極寒で、
この冬一番の寒い朝とか。
 
午後はお茶のお稽古なので、スカートで行かなければならないことを考え、
上はヒートテックの上にカシミアのセーターとダウンコートを着こみ、
下半身もタイツの下には極暖のレギンスをはき、ロングブーツといういでたちで
「お前は札幌雪祭りにでもいくのか」という重装備で臨むことにした。
 
やり過ぎかと思う重装備だったが、
横浜シーパラダイスに行く時に利用するモノレールの窓の向こうには
重たく雲がたちこめ、
よく見ると、なんと海風に乗って、雪が横なぐりに舞っている。
 
7時50分、予定より10分早く税務署に到着。
すでに何人か先の到着の人が並んでいる。
8時半に配られた私の整理券番号は13番。
 
しかし、7時55分までには、更にもう10名ほどが到着したし、
確かに整理券が配られた時には100名近くが並んでいたのかもしれない。
 
モノレールの幸浦という閑散とした駅に降り立ち、
雪の舞う中、
1軒のお店もないマンション群と学校の脇道を進むと
忽然と税務署が立ち現れ、
そこに朝っぱらから100人もの長蛇の列。
 
中高年しかいない薄暗い色のコートの集団は、かなり異様でシュールな光景だ。
皆、確定申告なるよく訳の分からない書類の作成に手こずり、
頭を悩まし、寒さに凍え、列をなしている。
 
幸い、7時50分着が功を奏して、
私は最初の組で9時15分の相談開始の列に振り分けられた。
 
そこから約1時間15分ほど、税務署の会計士さんにいろいろ教えてもらって
書類を完成させ、
無事、『清く正しい納税者』になった。
 
午前中で本日のエネルギーの大半を使い果たした感じだが、
気の重い大仕事をやり終えた達成感は心地よい。
 
されど、4月にやってくる納税額はハンパなく
お財布事情は相当厳しいものがある。
『清く正しい納税者』になるのもなかなか大変だ。
 
午後、お茶のお稽古に伺うと
今年の1回目のお稽古だというのに(1月は初釜だけがあった)
いきなり先生に『臺天目』という資格ものの難しいお点前を振られ、
午前中に脳みそを使い果たしたせいか、右往左往のお点前になってしまった。

その代わり、 
お社中の友人の点てたお濃茶と半生菓子のあんこの甘さが
じんわりと体に染みこむようだ。
 
お茶に親しむ心穏やかなひとときが
税務署で税金を払う手続きをするという苦々しい作業をねぎらってくれている。
 
この冬一番の寒波の中、
雪舞う税務署風景は長く記憶に残るに違いない。

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