小雨がしとしと降る中、栄区のリリスホールまで
バンドネオン&ヴァイオリン コンサートと銘打たれたコンサートに行って来た。
演奏者の名前は全く知らない人だったが、
バンドネオンという楽器の音色が好きなので、
ヴァイオリンと組んでどんな演奏をするのか興味を持ったのである。
会場は何度か行ったことがある横浜市栄区の区民ホールで
300~350人ぐらいは入るだろうか、
しかし、残念なことにバンドネオンの知名度が低いせいか、
60~70人ぐらいのお客さんで会場はガラガラ。
私は2列目のど真ん中に陣取り、
ほぼ舞台の演奏者と同じ高さで、
しかも真っ正面に見ながら、楽しませてもらった。
バンドネオンというのはアコーデオンを小さくして、もう少し重厚な音を出す
鍵盤楽器だ。
しかし、アコーデオンみたいにショルダーバンドで肩にしょうのではなく、
椅子に座り、左腿の上に乗せ、演奏する。
相当な重量があると思われるが、サイドの鍵盤を弾きながら
真ん中の蛇腹をうねうねさせ、
音の強弱や抑揚をつけるのはアコーデオンと同じだから、
音の強弱や抑揚をつけるのはアコーデオンと同じだから、
見ているよりはるかに体力のいる楽器なのかもしれない。
それを細身で無駄な脂肪のない引き締まった体つきの女性が弾いている。
髪はショートカットで年齢は50代にのったかなというあたりだが、
シャープなアゴから首のラインが美しい中性的な印象の女性だ。
ちょっと椎名林檎に似ている。
オフホワイトの綿素材のブラウスとパンツを着て、大ぶりのショールを巻いている。
足を肩幅ぐらいに開いて座り、
バンドネオンの蛇腹の動きに合わせて足を持ちあげたり蹴ったりして、
目をつむり上半身を揺らすので、不思議な恰好になる。
バンドネオンの音がノスタルジックでメランコリックな上に
アルゼンチンタンゴの名曲が続くので、
私の脳裏にはほこりっぽいアルゼンチンの街を足早に歩く
引き締まったふくらはぎをした赤いドレスの女性の映像が浮かんでいる。
一方、ヴァイオリンの演奏者はまだ30代はじめぐらいの若い女性で、
和服が似合いそうな純然たる日本的な顔立ちだ。
色が白く、髪をひっつめシニョンにまとめているので、ますますキモノ向きなのに
5ミリほどの細い肩紐のついた玉虫色のロングドレスで、
胸も背中も腕も惜しげもなく出ている。
静かな顔立ちだが、激しく情熱的な曲の演奏に伴い、顔は眉をしかめ、
鎖骨の下の筋肉が動いて、上腕の筋肉へと連動する様は
彼女の意外な一面を覗いているようで興味深い。
もうひとり、朗読と称して、
演奏と共に歌の歌詞を日本語やスペイン語で話す女性も出演していたが、
そちらはもっと肉感的な女性で、女を前面に出すタイプだ。
エメラルドグリーンのドレスはばっくり胸元が割れ、
スパンコールの間から胸の谷間も両腕の肩口も見え、
スパンコールの間から胸の谷間も両腕の肩口も見え、
たぶん自信のあるところは見せようという作戦だろう。
朗読も芝居がかっているし、話し方がベタベタした感じで
あまり同姓に好かれるタイプの女性ではない。
三人三様とはよくいったもので、
まったくタイプの違う女性達だが、
アルゼンチンタンゴという魔物に取り憑かれたという点では一致しているらしい。
『ニューシネマパラダイスのテーマ』や
『リベルタンゴ』、『ラストタンゴ イン パリのテーマ』など、
大好きな曲のオンパレードだった。
また、『コンドルは飛んでいく』の本当の歌詞を知り、びっくりしたし、
ドラマティックな編曲によって素晴らしい演奏だったので感動した。
聴衆が少なかったのに、すごく熱を込めて演奏されて、
手に取るような位置で3人の女性達を観察でき、お得感満載。
当分、ブエノスアイレスとかタンゴとかバンドネオンという単語に
反応してしまいそうな魅力を感じている。
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