2017年9月10日日曜日

表千家 天然忌と且座と茶通箱

 
 
 
お茶のお稽古のひとつとして、『天然忌』といって、
七代目の家元如心斎の威徳を偲ぶお茶事が行われた。
 
更に、七事式といって普段のお稽古ではまったくやることのない、
茶道のお遊びである『且座』と、
お免状ものの『茶通箱』というお点前も教えていただくという盛りだくさんな内容。
 
いずれも5人は揃わないとできないものなので、
通常のお稽古日ではなく、日曜日に招集をかけ、全員キモノ姿で参集した。
 
気温30℃になろうかというお天気でも、お茶の世界では9月上旬は秋なので、
夏の着物ではなく、単衣の着物を着用。
 
帯は私は夏帯にしてしまったが、
絽つづれなる夏から秋へと移行する今しか使えない帯の人もいて、
お茶の世界は体感気温の通用しない世界と再確認。
 
まずは振りわけられた役の下準備を整え、『天然忌』のお茶を献上する。
 
お茶室のしつらえは、お棚が竹台子だったので、
すべての所作はこのお棚のルールに従って行われる。
 
私の役はこの時は正客だったので、点てられたお茶を床の間にお供えした。
このお点前をを「お茶とう」という。
 
床の間には丸だけが書かれた「円相」のお軸に小さく天然の文字が・・・。
訊けばこのお軸は『天然忌』の時にしか使えないとか。
 
茶花は青磁の花器に活けられた大きくて真っ白な芙蓉の花一輪。
 
今朝、やっと一輪咲いて、今日の日に間に合ったとか。
(天然忌には白の芙蓉の花と、お家元では決まっているとか)
真っ白な芙蓉もこの日のためだけに先生がお庭で育てていると伺って、
またまたビックリ。
 
おなじ芙蓉でも、
底紅のものや、ピンクのものでは駄目だという先生のこだわりはハンパない。
 
茶花は花屋さんで売っているわけではないので、
お茶の先生は自宅の庭に茶花を育て、
うまく四季のお茶事に合わせて自分の庭の花が咲かないときは、
花切りばさみを手に、
近くの野山によじ登ったりするらしい。
 
写真の花は『且座』の時、正客がその場で活けたもので、
中央の大きな葉っぱは玉紫陽花という秋の紫陽花の葉で、
花は真ん中の紫の花である。
 
『且座』というのは、回り番で、
お花・お炭・お香・濃茶・薄茶と五人がそれぞれお点前するもので、
この時の私の役は亭主だったので、濃茶を点てた。
 
ここまでが午前中で、早くもグッタリだったが、
お昼ご飯のお弁当をいただき、午後は『茶通箱』。
 
全員がこのお点前のお免状は持っているので、
有資格者だけで行うお稽古ということになる。
 
『茶通箱』の時の私の役は正客だった。
 
『茶通箱』はお茶席に2種類のお茶を持って出て、続けて2服濃茶を点てるので、
タイミングを計って、拝見を所望したり、お訊ねをしたりして、
お客さん側とはいえ、いろいろ途中でパフォーマンスがあるので、
覚えることとやることがてんこ盛りだ。
 
結局、三種類のお稽古で、午前に午後に計6時間は畳に直の正座だったので、
終盤はやはり修行のような気分。
 
お茶は好きで続けているのだけれど、
こうなるとなかなかに苦しい・・・。
 
今年から始まった新しい先生のところのお稽古は、
先生の熱意がずんずん伝わってくる分、
それに応えられるよう、もっと勉強しなければと思わされた1日だった。
 
しかし、家に戻って、帯をほどけば、大きなため息と共に、
そんな決心はもろくも崩れ、
冷たい麦茶を飲み干し、速攻、Tシャツ短パン姿の私がいる。
 
非日常に身を置く幸せは、
凡人には6時間が限界なのであった。

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