素晴らしい好天に恵まれた5月8日、
私達、お茶のお社中水曜日組と先生の5名は、
「曜変天目」を観るツアーに出掛けた。
「曜変天目」とは中国から伝わった抹茶茶碗のことで、
国宝に指定されているものは世界に3つしかない。
そのいずれもが日本にあるのだが、
この春、ほぼ同時開催の3つの展覧会で公開されており、
このツアーは関西地区で公開されているその内の2つを観に行くというもの。
曜変天目の茶碗は
写真のように釉薬の加減で黒い地肌に無数の飛沫が飛び散り、
さながら宇宙をイメージするような幻想的な様相を見せている。
陶芸の世界からの見方でいえば、
偶然の産物で、中国ではとても貴重と珍重されたという説と、
失敗作だとされたという説があるらしい。
いずれにせよ、現在、中国には曜変天目の茶碗は現存せず、
日本にあるこの3つだけが、国宝に指定されている。
お茶を長いことやっている身としては、
天目茶碗を用いてのお点前には憧れと敬意をもって接しているので、
その最高峰・曜変天目茶碗をこの目でみていみたいという気持ちは
強くもっていた。
ある日、毎月届くJR東海のツアー冊子に
このお茶碗を観に行くための1日ツアーを発見した私は、
お茶のお社中に一緒に申し込みませんかと提案した。
関西地区にある展示会場であるMIHO MUSEUMと
奈良国立博物館の内、
とりわけ、MOHO MUSEUMは山の中にあって
個人で行くにはとても不便だと聞き、
それがツアーでしかも1日で回れると知り、
すぐさま話はまとまった。
お茶中の土曜日組の3名は4月に、
水曜日組の4名と先生の計5名は5月にいくことになった。
それが昨日だったわけだが、
それはそれは清々しい好天に恵まれ、
気分も上々、朝イチの新幹線で出発したのである。
同じ想いのおば様達がバス3台分、集結し、
朝8時過ぎには京都に着き、バスに乗り換え、一路、MIHO MUSEUMに。
10時の開場時間直前に着いたお陰で、
なかなかスムーズに一つ目の天目茶碗を間近に観ることが出来た。
本物は予想以上に小さく、
両の手のひらで包むとすっぽり入ってしまう大きさだが、
やはりその深遠な光と美しさは、
観るものを魅了した。
MIHO MUSEUMの他の展示物もなかなか魅力的で、
短い時間の中で、同好の士と一緒に観て廻る時間は
とても楽しいひとときだった。
4月にすでに体験した土曜日組が散々文句を言っていたランチも
そんなに言うほどじゃないわよねと美味しくいただき、
午後はまた、ツアーのバスに乗り、
国立奈良博物館に移動し、もうひとつの曜変天目に会いに行った。
MIHOのものに比べ、
こちらの方がより青い光彩が螺鈿のようなきらめきを発して、
より神秘的かつ宇宙的な印象だった。
みんなガラスケースに鼻をこすりつけるほどに真剣に覗き込み、
その遙かなる悠久の歴史に思いを馳せた。
こうして無事、お目当ての展覧会を2箇所制覇し、
京都駅でメンバーが予約しておいてくれた
美味しい焼き肉弁当をPick upし、ビールを買い込み、
帰りの車中もおしゃべりし、飲んで食べて、楽しく過ごした。
お茶のお稽古ももちろん楽しいのだが、
こうしてお社中のメンバーとお茶室を離れて集うことも、
お互いの距離が縮まり、本当に有意義だしいい時間だと思う。
そんなお仲間がいることに改めて感謝して、
長い長い1日が無事、終わった。
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