陶芸工房2ヵ月に1度の釉薬がけの日。
前回の釉薬がけのタイミングでは
コロナの影響で工房が2ヶ月閉鎖になっていたため、
作品数が足りなくて電気釜を動かすことができなかった。
個人的には友人に頼まれた大量の器を造るべく、
公には閉鎖期間中だったけれど、
先生と交渉して、ひとり静かに作陶してきた。
とはいえ、電気釜に火を入れるためには
相当数の器が入っていないと、
空気の流れがや庫内温度のむらなどの関係で、
電気釜そのものが壊れると聞かされ、
個人的事情での無理は言えなかった。
そんなわけで待ちに待った釉薬がけの日だったが、
前回の作陶日に制作した7点は
素焼きに間に合わなかったようで、
思い通りの数に釉薬をかけることはできなかった。
陶芸は作れば1回焼いて出来上がるわけではなく、
まず、乾燥させてから素焼きし、
釉薬をかけてから本焼きをするという手順を踏まなければ
出来上がってこない。
7月に入ってからの連日の雨と湿気で、
造られた器が思うように乾燥しない。
乾燥しなければ、素焼きにまわすことができない。
電気釜の中には8割がた埋まるだけの器が必要なのに、
会員や体験の人の作品が集まっていないので、
素焼きも本焼きもできないでいる。
電気釜の管理は先生に一任している会員の立場では、
先生の算段にお任せするしかない。
どうやら、私の受注した大量の器たちは
私のカレンダーどおりには焼きあがってこないことが分かった。
それもまたやむなし。
とはいえ、今回だけで
点数にして26点。
他の会員が4~5点の釉薬をかけているのに比べ、
ダントツで釉薬をかけられたのだから、
文句を言ってはバチが当たる。
先生も体はひとつ。
ここへきて本焼き・本焼き・素焼きのスケジュールを
ひとりでこなさなければならないのだから、
ありがた~くお願いするしかない。
今回の釉薬は
「チタン失透」という名の白い釉薬。
白く出来上がる釉薬には何種類かあるが、
一番パートが厚く、不透明な感じにあがる白い釉薬だ。
いつもなら他に3~4種類の釉薬を攪拌し、
ひとつの器に2~3色の釉薬をかけ分けたり、
重ねがけするのが常だが、
受注作品は「白い器」ということなので、
今回は白一本やりである。
まず、器を1点ずつ水をつけたスポンジでこすり、
小さな付着物を落とし、
釉薬の馴染みをよくする。
撥水剤を筆で器の底の面に塗る。
乾かす。
気持ちを込め20分間、重たいブレンダーで釉薬を攪拌し、
艶よく、均一に溶けたことを確認して、釉がけをする。
釉薬の乾燥を待って、
器の裏の高台についた釉薬を丁寧に削り取る。
そこが雑だと、釉薬が溶け出して、
窯の中で事件が起こるので、
とにかく丁寧に、完全にふき取る。
会員ができることはそこまでなので、
後の大変な作業をやらずして、
「いつ出来上がるんですか?」
「〇月〇日までに必要なんです~。」
「なんで、焼いてもらえないんですか?」などとは
言えないのだ。
自分がものつくり人だからこそ分かる、
作品つくりの大変さを感じ取れるからだ。
一方、欲しい人は
「今度、白い器で作ってね。私、器は白が好きなの」
「この前、いただいたお湯呑み、とても評判がいいので、
10個でも20個でも造ってくだされば、全部いただくわ」
「全然急いでいないけど、今度はうちで皆さんをお呼びして、
陶器市しましょ。いつがいいかしら」
などと、話を進めてくださる。
ありがたいことだが、
プレッシャーがハンパない。
もうすぐ生まれるベイビー。
産後も気を付けなければいけない目下、最終段階の妊婦。
赤ちゃん返りが想定される孫。
休みがうまく取れずに、役立たず呼ばわりの婿。
鎖骨を骨折した
ひとり暮らしのアートディレクター。
とやかく口うるさい文句だけ垂れてるダンナ。
と、私の周りには
なかなか濃いキャラクターが揃っている。
今朝早く新しいカウンセリング希望のメールもきた。
さしずめ、
「きりきり舞い KIMINOの夏」
そんな舞台が開幕だ。
いざ!
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