重い腰をようやく上げて
新作の制作に取り掛かった。
テーマは「新しい命の誕生」
孫としては2人目だし、また、女の子なので、
新鮮味はないのだが、
この2020年のコロナ禍にあって、
生れてきた命に対して
感じたことを作品に残そうと思う。
2020年は思いもかけない病原菌の爆発的感染のせいで、
世界中が足止めを食らい、
生活すべての機能がマヒした。
春先には他人事だと思っていたことが
有名人が亡くなったりするニュースを見聞きするうちに
いつ自分がかかるかもしれない
もしかしたら自分がうつす側になるかもしれないなど、
急に不穏な空気に包まれた。
4月5月はほとんどの機能が停止して、
我がごとでいえば、4月初め、5年ぶりの個展が飛んだ。
その段階で由依はすでに長女のお腹に宿っていたわけで、
新生児には何の罪もないのに、
空気感としては「こんな時に生まれるなんて」という
危うい空気に包まれた中での出産だった。
入院も出産も1人目の時とは違って、
家族は一切病院に立ち入ることができず、
妊婦だけが大きなおなかでひとり出産に立ち向かった。
生れる1時間ほど前にようやく分娩室に入れてもらえた
新生児の父親だけが、
出産に立ち会うことができたが、
それも早々に追い出され、帰宅したという。
幸い、出産自体は超のつく安産だったので、
産婦自らがすぐに送ってきた新生児の様子を見ることができ、
さほどのタイムラグを感じずに
2人目の孫の誕生を実感することになった。
退院時も車出しをしたおーとと(新生児のじぃじ)は
病院の中には玄関先でさえ入れてもらえず、
私も長女たちの家で待機し、
ようやく帰宅後、この手に新生児を抱くことができた。
同じ病院での出産でもまるで違う1人目と2人目。
幸い、今日まで
友人知人含めても家族親族の誰一人
コロナ感染者はいないのだが、
それでも新生児という儚くていたいけな命を前に
それがどんなに特別なことか、
しみじみと感じた今年の出産だった。
お陰様で
新生児はぐんぐんがんがん順調に育っており、
いまや6,5㎏を上回る乳児になった。
志帆もだいぶ姉だという意識が芽生えてきているらしく、
盛んに由依に話しかけたり、
お世話を焼こうとしているので、
この分だと、
由依がおしゃべりし出す日もそう遠くはないだろう。
1人目の時は新生児を見て、
なんて無垢な存在なんだろうと思った。
2人目は
この世に生まれてくることそのものが奇跡という気がした。
それは2020年、あまりにもたくさんの死が
身近にあったからかもしれない。
このコロナ禍の中、
日本の東京のこの2人を親として生まれてきた命。
子どもは生まれる前、天上から地上を見渡して、
「このふたりの子どもに生まれよう」と選んで、
生れてくるという。
天使が舞い降りて、
「あなたとあなたが、私のパパとママよ」と
言っているかのようだ。
そんな神話のようなお話を
信じたくなるような今回の出産。
作品のタイトルは
「天使のくちづけ」にしようと思う。
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