個展まであと1週間。
今はすべての出品作品が額装されて、
画室に出してある。
いつでも搬入できる状態だ。
そして、昨日、
3月末に撮影したプロのフォトグラファーによる
プロフィールと作品の制作風景の写真が
大量に出来上がってきた。
出来上がってきたといっても
インデックスという形で
1枚の印画紙に30枚ほどにセレクトされた写真が
合計7~8枚送られてきたので、
まだ、2Lサイズに焼きあがっているわけではない。
これでも実際に撮った枚数の半分ほどだろうか。
同じポーズでも微妙に違う表情のものが数枚ずつ
選ばれて、証明写真ぐらいのサイズで
ズラリと並んでいる。
他にサンプルとして、
ポートレート写真に修正や加工を施したものと
無修正のものが2Lに焼かれ、数枚入っていて、
比較検討するようにとのことだ。
添えられた手紙には
「ポートレートはご本人の希望で
若々しく美肌に見えるよう修正してほしいと
依頼されていましたが、
修正を加えるとかえってご本人らしさがなくなるし、
修正しなくても十分耐えうるので、
カメラマンとしては修正なしがいいと判断しました。
というわけで、ほとんど修正はしていません」と
いうような主旨の文章が書いてあった。
確かに、サンプルの美肌加工を施したものと
施していないものの差は
大してないように見えるし、
逆に美肌にするとわざとらしい感じはまぬがれない。
私としては首の筋と二重顎、
二の腕の太さや丸さをどうにかしてほしかったのだが、
二の腕を削ると今度はお腹が不自然、
みたいな現象が起き、
結局は「ありのままに~」と
少し前に流行った曲の歌詞のように
現実を受け入れるのが賢明ということのようだ。
摺りをしている制作風景の方は
どれをとっても
額に青筋は立っているし、
力んでいるので顔は紅潮しているし、
終始うつむいているので、
顔の肉は垂れ下がっているし…。
最初に届いた写真群を見た時は
想像はしていたが、
やはりこんな顔をしているのかと
多少なりともショックだった。
しかし、どれをプリントアウトしようかと
インデックスプリントを眺めているうちに
仕事をする職人の顔として、
なかなかいい顔なんじゃないかとも思えてきた。
中にはギョッとするようなどアップもあったが、
それもこの際セレクトし、
2Lに伸ばしてみることにした。
真剣な顔には
ポートレートととは全く違う表情が浮かび、
そのギャップが面白いと思ったからだ。
大きな版を移動させている時など
口を真一文字に結んで食いしばっているし、
小さい体を倒れんばかりに前のめりにして
摺っている姿は「お気の毒」な感じすらする。
木版を作り出して早40数年。
自分が作業中、どんな顔をしているかなど
知る由もなかったから、
とてもいい経験になった。
ポートレートの方は
H氏がとても褒めてくれたので、
どんなに美しいのが出来上がってくるかと
期待に胸膨らませていたのだが、
やっぱりそれは年相応、貫禄十分、
小太りのおばちゃんなことに変わりがない。
されど、その写真群からは
「人生、楽しそうね」と思えるような
ノリノリ感がうかがえて、
これはこれで良しとしようと思えてきた。
インデックスから選んだ番号の写真を
CD‐Romから2Lに印刷し、
アルバムに貼る作業は私がすることになっている。
版画の作業手順に関してはH氏は門外漢だから、
適切なものを選びようがないし、
ポートレート撮影も
H氏の半ばご厚意で撮ってもらったものだから、
後は自分がいいと思った写真を選んで
プリントしてくださいというのが約束である。
自分が撮り溜めた分の版画の写真も合わせて、
版画制作の流れを分かっていただく資料として、
いいものにしたいとワクワクする。
これからポートレートと制作風景を
1冊のアルバムにまとめ、
今回の個展の期間中、
ギャラリーに持っていくつもりだ。
さあ、お客様の反応はいかに。
これまで何回も個展はしてきたが、
こんな楽しみがある個展は初めてだ。
なんでもやってみたがり屋の
新たな一面を楽しんでいただけたらと思っている。
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