第64回CWAJ現代版画展の
カタログが届いた。
展覧会の会期は
2021年10月20日~24日
代官山のヒルサイドフォーラムで行われるはずだった。
しかし、このコロナの状態を鑑みて、
展覧会場での展示販売は無しになり、
今回はOnline展覧会の配信と
販売が行われることになった。
しかし、カタログはとても立派なものができ、
作者には1部ずつ届いたし、
カタログから作品をお求めになるお客様も
いるに違いない。
この展覧会は64回とあるように歴史は古く、
1964年が初回とカタログにはある。
美術評論家オリヴァー・スタッドラー氏の著書の
出版を期に、出版者チャールズ・タトル氏の発案と
養清堂の阿部雄治氏の尽力で実現。
当初は木版の作家39名の作品を販売することで、
得られた収益を
若き女性たちへの奨学金にあてることを
目的とした展覧会だった。
若き女性というのは
米国の大学から入学を許可されたにも関わらず、
70年前の為替事情から
渡航費を賄えない日本人女性などを
指している。
そこに端を発し、
「以来、女性の高等教育支援、リーダーの育成、
国内外のコミュニティへの貢献への強い思いが
CWAJ奨学金プログラムを支えてきた
信念である」とある。
もちろん2021年度も
20名ほどの女性が奨学金を
授与されていて、
カタログに顔写真付きで紹介されている。
私が上野のお山で画学生をしていた頃、
この展覧会には何回か出品したことがあり、
その頃は展覧会場は
東京アメリカンクラブだったせいもあり、
多分に日本在住のアメリカ人が主導する
外人向けの展覧会という位置づけだった。
(と、勝手に理解していた)
(と、勝手に理解していた)
もちろん、私が奨学金の恩恵に与ったわけではなく、
自分の作品を提供しただけであるが、
今もそれは変わらず、
もし、今回、作品が売却された暁には
奨学金の一部として
今、お金が必要な若い女性たちに
贈られることになるだろう。
64年の間にCWAJの版画展に参加してきた
日本人版画家はそうそうたるメンバーで、
昔も今も日本を代表する版画家と言える。
当初は木版画だけだったとあるが、
すぐに版種はどんな版種でもオーケーになり、
1979~1981年、私が出品した頃は
芸大の先生も学生もみんな
出品していたと記憶している。
それがいつの頃からか
推薦制から審査制に変更され、
以来、私はこれまで数回しか応募していない。
10年ほど前には応募作品が好評で、
作品をプリントしたグッズまで
作ってくれたのに、
数年前には落選の憂き目にも遭っている。
審査員が変わると入選する作風の好みが
変わるからというのが理由らしい。
なので、今回は久しぶりの入選、
カタログに載る自作を
目新しい感じで眺めているところだ。
毎年届く版画協会のカタログは
古いメンバーの作品はいつもの感じだし、
新しいメンバーにもある一定の
版画協会らしさみたいなものがある。
しかし、CWAJはお客様が外人が多いせいで、
何となく日本的な作風の作品が多い。
それは自分の作品も含まれるが…。
ページをめくると、
よりジャポニズムを感じる外人好みの作品が目につく。
そんな中に
恩師の中林忠良と野田哲也の作品もあり、
巻末には
先頃亡くなった岩見麗花と篠田桃紅の特集が
組まれていた。
確かに日本の版画史をけん引してきたメンバーだ。
そんな作品群の端っこに
自分の紙風船の作品が並んでいる。
それが誰かの目に留まり、巡り巡って、
誰か若き女性のお役に立てたらいいのにと、
今はそう密かに願っているのだ。
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