10月20日から2泊3日で
東北の紅葉鑑賞ツアーに行ってきた。
このツアー、実は同じ時期を申し込んだ
先行発売の別のツアーが募集人数の未達で
催行中止になってしまったため、
やむなく変更してとった旅程だった。
タイトルは
「空から船上から列車から4つの絶景遊覧で
巡る みちのく8つの紅葉紀行」
という長~いもの
「空から」は八甲田山山頂へのロープウェイ、
「船上」とは十和田湖の遊覧船、
「列車から」は立川目駅からほっとゆだ駅まで
JR北上線というローカル電車に乗る
という意味だ。
今回の旅友は
40年来の古い友人Hさんで
最近、彼女の家庭の事情が許すようになったので
以前のように
一緒に旅行にでかけるようになった。
まずは20日朝、東京駅からやまびこ53号に乗り
一ノ関という駅で下車し、
そこからツアーメンバーと共に
バスの旅が始まった。
折しも今年一番の寒波が
北海道から東北地方へ南下し、
1週間ぐらい前から検索すると
向かう土地はどこも最低気温が2℃ぐらい
最高気温でも12℃ぐらいらしいことがわかり
まずは着るものをどの程度にするべきか
大いに悩んだ。
なにしろ前日まで
横浜はまだ日中25℃を超える勢いだったので
イメージが思い浮かばない。
早朝でもまだ17℃ぐらいはある。
写真に撮った時に紅葉に映えるようになんて
考えていたけど、
寒さが厳しければそんな悠長なことを
言っている場合ではないかもしれないと、
ワードロープの見直しを余儀なくされた。
結局、当初、持っていくつもりだった
圧縮ウールのコーラルピンクのジャケットを
ボツにして
ライナーのついているハーフコートと
カシミヤのマフラーと手袋を
急遽、荷物に突っ込んだ。
初日の旅程は
平泉・中尊寺とローカル電車乗車と角館散策。
何十年ぶりかで中尊寺にお参りしたが
やはり金色堂は時の権力者藤原一族の
力の象徴のような豪華絢爛さで、
目を見張る。
特に螺鈿がびっちり嵌め込まれたり
彫刻が施された須弥壇や柱など、
当時の工芸の技術力の高さは
本当にすごい。
建物全体と仏像すべてが金色に輝いているが
金箔の下には漆が塗られ
その上に金箔が貼られていると知り、
ますますため息が出る。
しかし、この辺りはまだ紅葉の色づきは
全くと言っていいほどで、
ガイドブックの「紅葉のベストシーズン」の
謳い文句は今年は通用しないのか。
大丈夫か、この紅葉ツアー??
次に乗った1両しかないローカル電車から
見渡す景色も初秋の気配が
ちょっとだけ…。
しかも小雨が降ってきた。
夕暮れてきた頃、東北の小京都・角館に着いたが
その頃には薄暗くなった武家屋敷の並ぶ通りに
冷たい雨が本格的に降っていて、
紅葉どころか街のお店屋さんも店じまいの様子。
何とか一番大きな武家屋敷に入館し、
甲冑や刀剣類などを見学したが、
全体に暗いので、映える写真の
フォトスポットはひとつも無し。
何だかこのツアー、お天気にも恵まれず、
紅葉には一歩早すぎて
ホテルの食事もビュッフェだし
先行きが危ぶまれる感じになってきた。
翌21日、前夜に雪が降ったとかで、
朝の寒さは予想通り。
早朝の気温も0℃をたたき出した。
2日目の旅程は
八幡平のアスピーテラインの大パノラマと
松川渓谷
薄荷峠と十和田湖の遊覧船乗船に
奥入瀬渓流沿いのドライブ。
正に2日目に旅のメインイベントが続く。
ツアー客もさすがにダウンコートを着たりして
冬装備に身を包み、バスに乗り込んだ。
しかし、アスピーテラインなる高速道路が
路面凍結により全面通行止めに。
大型バスはきびすを返し
別ルートで十和田湖方面に向かうことになった。
幻の大パノラマとはいかようなものだったのか。
ただ、別ルートは別ルートで
それはそれは素晴らしいブナの林で
昨日の木で鼻をくくったような秋模様は
一気に全開、
あたり一面が紅葉というか黄葉に染まっていた。
つくづく緯度の違いと標高の違いは
如実に秋の色づきに関わっていて
岩木山(津軽富士)や八甲田山は
5合目ぐらいまでは緑から赤く染まる紅葉で
6合目から先には初冠雪の雪が積もっている。
何とも美しい山の景色だ。
東北地方ならではの気候の厳しさと
秋の訪れ方を知り、
東北人の我慢強さと寡黙さと
粘り強い県民性が解るような気がした。
旅の中日、
バスの中にいた時はずっと雨が降っていたが、
松川渓谷に着いた時には雨が上がり、
この2泊3日、
ようやくここまで来た甲斐があったと
思わせる絶景に
みんな口々に「この紅葉を目に焼き付けなきゃ」
と言いながらシャッターを切った。
午後からの十和田湖遊覧も奥入瀬も
再び降り出した雨が止むことはなかったので、
晴れ女の神通力もこれまでか…。
しかし、さすがに青森県まで北上すると
紅葉の色づきは最盛期に達しており、
紅葉ツアーの面目は保たれたというところだ。
毎晩、夕飯時にはビールジョッキを掲げ
嬉しそうに写真に納まっているところを見ると
雨降りとはいえ、
旅をエンジョイしていることが判る。
しかし、ご難はまだ続いた。
最終日の目玉、八甲田山のロープーウェイは
時速21メートルの強風のため、
終日運行休止が決定したとかで、
『ハ甲田山 死の行軍』の地を踏むことは
叶わなかった。
おまけにホテルのお風呂に不具合が起き、
1か所目のホテルはどこか別の温泉から
タンクローリーでお湯を運んだらしいし、
2か所目は水道管の工事が夜中に行われるので
水が使えなくなるからペットボトルの水を
部屋に何本か持って行って凌ぐよう
説明があった。
これもまた寒冷地ならではの
温泉あるあるなのかもしれない。
八甲田山登頂の代わりは弘前城見学になり
桜で有名な弘前城だが
有名な桜の木の葉が黄色く色づいている様子を
楽しみつつ、春の満開の桜に思いを馳せた。
こんな調子で
この旅に申し込んだ理由のいくつかが
天候不順のせいで見られなくなり、
何だか消化不良の感が強い旅行になった。
ツアー客それぞれが最後のバスの中で
アンケートにいろいろ不満をぶつけていたが、
私達ふたりの意見としては
最初にケチのついた旅行はもう
ご縁がなかったと思って辞めて返金してもらう。
それが今回、学んだことである。
でも、旅行全体としては良かったし、
ツアーメンバーの中に友達同士の人が
2組いたので、おしゃべり出来て楽しかった。
紅葉自体はおなか満腹!
これぞ、眼福!
日本の秋、大満喫!
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