第65回 鎌倉「薪能」に行ってきた。
コロナのことがあったり、
雨で中止になったりしたため
5年ぶりの開催とのこと。
場所は鎌倉の鎌倉宮。
境内に舞台が設営され、700名のお客様。
お茶のお社中の友人が誘ってくれ、
水曜日組の2人と先生との4名で
夕方、鎌倉駅で待ち合わせた。
もちろんドレスコードはきもの。
日中は暑くても、ここ数日
夕方からは急に冷えてきているので
ストールなどをバッグに忍ばせ
寒さ対策も万全だ。
個人的には「薪能」を鑑賞するのは
初めてなので、
多少は演目の予習などもして準備した。
始まってみると
まずいろいろ式次第があり、
鎌倉「薪能」は金春流の能楽師が奉納する
神事だということが判った。
5時に席に入場した頃はまだ明るかったが
次第に夕暮れて
火入れ式といって薪が焚かれる頃には
空はすっかり帳を落としていた。
薪能の文字の入った提灯にも火が灯り、
舞台もライトが当たって浮かび上がり
いよいよ幻想的な雰囲気になってきた。
演目は素謡の「翁」に始まり、
狂言の「六地蔵」
能の「放下僧」と続くのだが、
ど素人の私には
狂言の「六地蔵」は十分面白かったが、
他のふたつは
かなりのちんぷんかんぷん。
まず、謡のお「翁」では
「どうどうたらりたらりら
たらりららりららりどう」と謡っているが
なんのことやら…。
お能も
予習して物語の筋も解っているはずなのに
「候(そうろう)言葉」がまるで理解できず、
薪の煙の向こう側の世界の出来事で
浦島太郎状態だった。
(オーノー!!)
特に能のシテ方・金春安明さんは
まだ70そこそこのはずがすごいおじいさんで
声がか細く震えるようで
表情も声色もまったく変わらないので
仇討ちもののはずなのに
その気持ちの高まりなどが感じられず
それがお能の世界なのかと驚いた。
なにせ、金春安明さんは先代の家元なんだから
きっとお能とはそういうものなのだろう。
ただ、能装束はとても興味深く、美しいので
まるで動く武者人形のようだなと
絵面だけは楽しんだが
歌舞伎とはまた違うお能の世界の約束事など
まだまだ勉強しなければと思う。
一方、狂言はシテ方が野村萬斎さんで
言葉も平易だし、
内容も狂言ならではの可笑しさに満ち
独特の世界観で笑わせてくれた。
野村萬斎さんは小顔でびっくりしたが、
よく知るあの話し方は狂言でも同様で
安心して楽しめた。
息子の野村裕基さんはすっかり青年になり
声質がお父さんの萬斎さんそっくり。
正面からは丸顔だが、
横顔がこれまたよく似ていて
きっと今後ますます父親の芸を
継承していくのだろう。
というわけで
お能の初心者としては
見るものすべてが物珍しいの域をでないが、
秋晴れの清々しい空の元、
「薪能」なる日本の伝統芸能を体験でき、
幕間に炊き込みご飯のお弁当をいただき、
食後はシャインマスカットの大福で締め、
優雅でジャパニーズなひとときであった。
あっぱれ、日本の芸能!!
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