2024年3月20日水曜日

『メメンとモリ』から学ぶこと

 















つい最近、生協のちらしの中に
ヨシタケシンスケさんの本を見つけ、
興味があったので取り寄せてみた。

子供向けの絵本というわけではないが、
あのほのぼのとした絵と
意味深い文章とで
いろいろな問いかけをしてくれながら
生きるヒントをもらった。

『メメンとモリ』という名の女の子と男の子。
名前の由来はメメント・モリ。

『メメント・モリ』とはラテン語で
「自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな」
「人に必ず訪れる死を忘れることなかれ」
といった意味。

その意味を踏まえた上で、
このふたりの名前が「メメン」と「モリ」
であることには
この本のテーマと、当然、関わっている。

3つのお話からなるこの本の
最初のお話が
「メメンとモリとちいさいおさら」だ。

ある日、モリがメメンが作ったお皿を
割ってしまう。
モリはメメンに報告し、謝った。
メメンはそれを受け入れ、
人生はいろいろな生き方があるし、
人間は年をとって、最後は天国にいく。
形あるものはいつか壊れるんだから
気にしなくていいよと言って聞かせる。

ふたりは新しいお皿を作って焼いて、
そのお皿にお料理を盛って
楽しく食べた。
でも、片づけようとした時、
また、モリが転んでお皿が割れた。

そんなお話を
ヨシタケシンスケさんの温かなイラストと
短いけれど奥深い文章で
表している。

この本を手にした10日ほど前、
我が家にある
中ぐらいの大きさの藍の染付の鉢に
小さなホツ(欠け)を見つけた。

洗って籠に伏せて置いた時に
細いステンレスの籠にぶつかって
できたものだと考えられる。

その中鉢は30年ぐらい前に
ダンナが出張で中国に行った時、
お土産に買ってきたもので、
さほど古くはないが骨董品と思われる。

以来、小松菜とがんもどきを煮つけたり、
カボチャの煮物を作ったり、
かぶときゅうりの浅漬けを作った時などに、
数えきれないほど重宝して使ってきた。

その中鉢についにホツが入ってしまったと
私も気づいてはいたが、
数日前、ダンナが洗い籠に伏せてある
中鉢の縁に、そのホツを見つけてしまった。

曰く、
「お前のものの扱い方が乱暴だから」
「お前が使うと何でも壊れる」

私はその言葉を聴いて、
一瞬、返す言葉に詰まったが
「30年も使っていて、ホツが入ったぐらいで
その言い方はないんじゃない」というと
「だったら使わなければいい」という
言葉が飛んできた。

私は何だか情けなくなって
その器を二度と使うまいと
棚の上の方にしまってしまった。

我が家のダンナはメメンではなかった。

「お皿はいつか壊れるし、
命はいつか尽きる。
人もいつか死ぬということを忘れるな」

そういう死生観を
持ち合わせている人と
持ち合わせていない人がいる。

人の死生観まで立ち入ることはできないが、
そのせいで
相手を思いやることができないのは
寂しいことだ。




























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