2024年3月1日金曜日

真夜中のポインセチア

 
















久しぶりに徹夜で本摺りをした。
ポインセチアの作品なので、
『真夜中のポインセチア』である。

写真の色味が実物より暗く
やや濃い赤みがかっているが、
もう少しブルーグリーン寄りの
明るくて強い感じの作品だ。

なぜ、
老体にムチ打って徹夜を決行したかというと
天気予報では雨は夜半過ぎに降り出し、
夜明けごろには上がると
言っていたからだ。

私は昨日の夕方6時から
1本カウンセリングが入っていて
下界に降りたのだが、
行きは大丈夫だったが
帰りにポチポチと雨が降り出した。

それが夜半過ぎにはだいぶ激しくなり、
そうなると
気分的には「今、摺りたい」となる。

部屋の空気が湿気ていることが必要な
木版の本摺りの時だけは
いつもは晴れ女である私も雨乞いをする。

雨音を聴きながら、
「雨はいつか雪に変わるだろう♪」なんて
悠長なことを言っている場合ではなく
「いつ摺るの、今でしょ」という声が聞こえ
とにかく、寝る前に1版だけでも摺ろうと
摺り台の前に座った。

和紙の湿しと絵具の調合は
午前中に済ませてある。

そして、1時間半ほどかけて
ポインセチアの何色かグラデの入る
メインの赤い花の部分を摺り、
一旦、布団に入った。

しかし、版画も気になるが、
夕刻のニュースで見た
「大谷翔平、結婚!!」の速報が
ショックで全く寝付けない。

いい歳をしたおばさんでも
「うそ!誰と!いつそんなことに?」など
矢継ぎ早に疑問と落胆が押し寄せた。
まさか
羽生君に二の舞にならないでしょうねと
誰と結婚したかも知らないくせに
余計な心配が頭をよぎる。

そんなに心配で眠れないなら
いっそ起きて摺りを始めた方がいいのではと
思ったのが徹夜の始まりである。

真夜中にポインセチアの赤は
あまりにも鮮やかで
バックにかけているサザンの曲は
あまりにも切ない。

しかし、雨音を聴きながら
静かに進む作業はスムーズで
4時半ごろには峠を越した。
黒い葉っぱを摺り終えたところで
体力の限界がきて一度筆を置いた。

3時間ぐらい寝ていつもどおりに
起きようかと目覚ましをセットしたが、
「もしかして、大谷のインタビューが
もう始まっているかもしれない」と
心がざわついて
体は疲れているのに、興奮して眠れない。

それでも無理はせずに布団の中にいて
朝のニュース番組を見て
大谷の結婚の事実に
今は一挙に「大谷ロス」の気分である。

まあ、大人女子としては
そんなことで会社を休むなんて
ありえないので、
しぶしぶ残りの版の摺りを再開し
午前中には摺り終わり、
水張りをし、写真撮影も終えた。

9枚湿して、9枚無事出来上がった。
幸い、
心の動揺は摺りに悪影響は及ぼさず
きれいに摺りあがったし
好みの作品になったといえよう。

1日遅れてしまったが、
2月中にうまくいければ
2点分の試摺りと本摺りを終えたいという
計画を遂行でき、
ミッション・クリアである。

今月は『NO.1』の称号getのお陰か
カウンセリングの予約が押し寄せ
いつもの倍近い件数があったので、
「マリア、大忙し」の巻。

そんな中、版画もつつがなく
摺りおおせたので
ホッと胸を撫でおろしているところだ。

やれやれ、お疲れ~。
今宵は友人と飲み会である。






























0 件のコメント:

コメントを投稿