2025年4月29日火曜日

映画鑑賞『教皇選挙』と肉祭り

 







4月半ばから、ブログをアップせずに半月経った。
この間、本の執筆作業が佳境を迎え
私はパソコンの前にかじりついていた。

本来、本は2万語から2万5千語を目指して
書くように言われていたのだが
あまり、いくつになっているのかカウントせず
目次建てに沿って書きたいように書いたら
終わってみたら6万2千語に膨れ上がっていた。

約3冊分の本の量を書いてしまったことになる。

その紙原稿をパソコン上のドキュメントに
打ち直す作業に手間取り、
肩はパンパン目はしょぼしょぼだ。
娘たちがパソコン作業の後に
首やら肩やら目やらが大変だというのを
身をもって体感した。
脈も相変わらず飛んでいるので、
時折、ふらついて脳貧血を起こしそうだ。

しかも
同時に、今回の本をペーパーバックでも
出版することになったので、
そのための表紙や本扉、中表紙、イラストなど
誰にどんなものを頼むのか
ラフデザインを自分で起こす作業もあった。
結局、兵庫県に住む女性のデザイナーさんに
発注することにしたので、
申し込みをしてから、やりとりも何度かした。

今はどこに住んでいようと
こうして対面せずにお願いできるので
本当に便利な世の中だ。
しかし、そのためにはZOOMミーティングに
対応して、ネットと宅急便などを併用しながら
臨機応変に交渉するスキルも必要だ。

そして、いよいよゴールデンウィークに突入。
前半は次女が里帰りした。

基本、まったり実家で過ごすのが通例だが
お腹がすくのは休みの日も同じ。
というわけで、昨日は映画を観て
その流れで大船に出てお肉を食べることになった。

映画は『教皇選挙』
いわゆる「コンクラーベ」の内実を描いた作品。

時を同じくして
4月21日、現在のローマ教皇フランシスコが亡くなった。
ヴァチカンではただちに葬儀の準備が行われ、
数日間、木製の棺に納められた教皇は
一般の信者の追悼を受けられ、
一昨日、葬儀が行われた。

これから、ヴァチカンでは
次期教皇選出のための選挙が行われる。

映画はまさか本物のローマ教皇が亡くなるとは
予想せずに、
少し前に封切られ、好評を博していたが、
封切中にフランシスコが亡くなったせいで
もうそろそろ終わるのかと思っていた映画も
大入り満員だった。

私達は最前列のかぶりつきの席しか取れず
終始、見上げての鑑賞だったが、
映画の内容は最後の結末が予想外で
とても良かった。

内容はイタリアのすぐ隣にあるヴァチカン市国
ゆえ、世界中から枢機卿が集まってきて
次期教皇を選出するといっても
やはりイタリア人はイタリア人の教皇を
次はと期待している。
(現在はアルゼンチン出身の教皇だった)

しかし、キリスト教信者は世界中にいるわけで
コンクラーベには100数名の枢機卿が
候補になり集結し、投票による選挙は行われる。
選挙は全体の3分の2の得票を得る人が出るまで
何度でも何度でも投票が繰り返されるのだ。

そこには当然、宗教者であっても
欲のぶつかり合いがあり、
許されない過去の過ちが暴かれたりもする。
人に言えない秘密を抱えた人もいる。

そんなこんなのドロドロの心理劇を
目の前に迫る大きなスクリーンで観た後は
どんな世界にもこうした闘争はあるんだなと
つくづく感じつつ、
とりあえず、私はカーブスでひと汗かいた。

その頃から、外は大雨になったが
バスに揺られて大船に出て
「夜は肉肉しいものが食べたい」という
リクエストに応えて
「TORAのお肉屋さん」へ。
ダンナもそこからは合流した。

ステーキとハンバーグで有名な
ハングリータイガーの系列店だ。

いちぼとかメガネなる聞いたことのない
牛の部位のお肉とラム肉
カマンベールとエビのアヒージョや
不思議なポテサラや牛筋の煮込みなど
カロリーの高いものばかりがっつり食べて
帰ってきた。

人は聖職者であっても
欲望はあるし、
ダイエット中であっても
誘惑には勝てないのだということを
1日で痛感しながら
ゴールデンウィーク前半が終わろうとしている。









2025年4月15日火曜日

オーママへのプレゼント

 
















オーママの誕生日直後のばぁばご飯
いつものように9品のリクエストに応えて
ばぁばご飯作りにいそしんだ。

最近、特に疲れがとれずに
今日も今日とて
朝起きたら、なぜか急に右ひざの裏に
ビキビキいうような痛みがあり、
家から足を引きずり引きずり坂を下りた。

こんな調子では金曜日のパティシエ学校の
講義初日
4時間もの立ちっぱなしの授業に耐えられるのか
何だかこころもとない。

とにかく料理もやはり立ちっぱなしの4時間だ。
これ以上、悪化しませんようにと祈りつつ、
リクエストの中の一番めんどくさい奴
オニオングラタンスープと
春巻の具にとりかかった。

長女は独立して以来、
ばぁばご飯の日も家で仕事のことが多いが
だからといってそばでおしゃべりしている
わけではないので
基本、料理をしている間は
ひとりキッチンで作業している。

夕方、孫1号と2号がママと共に帰宅。
冷蔵庫に私のためにケーキが用意されている
のは、わかっていたので、
まずは食事から。

ふたりは自分のお皿にいろいろ取り分け
取ったものはすべてきれいに食べるというのが
この家のルールだ。

まず、いの一番に春巻を取り
次に卵の巾着やポテトのチーズ焼き、
春雨のサラダもふたりの大好物だ。

ひととおり、ちゃんと食べたら
いよいよケーキの番。
私に最初に選ばせてくれたので
迷わず、チョコレートのケーキにしたが
これが大正解。
中が幾層にも重なっていて
プラリネ系の濃厚なお味。

後はベリー系のものとモンブランを
女4人で分け合い
賑やかにお祝いしてもらった。

そして、その後、
孫1号がそわそわし出し
「オーママ、ソファの方に座って」と促され
プレゼントタイムの始まり始まり。

3人が用意していくれた
誕生日プレゼントのお披露目だ。

長女は髪の艶をアップさせるローション
孫1号はお手紙と
手作りのビーズの花束。
孫2号は初めてひらがなで書いたお手紙を
用意してくれた。

最近、孫1号は迷路に凝っていて
意外や空間認知能力が高いと思っていたが
まさか4歳がひらがなのお手紙を書くなんて!

食い気1本槍のぷくぷくガールだと
思っていたので
本当にビックリした。

鏡文字にこそなっていなかったけど、
面白い書き順になっていて、
こういうのこそ今だけしかないと
妙に嬉しかった。

孫1号の方はばぁばご飯のお礼が書いてあった。
思えば早7年も通って
ばぁばご飯を作ってきた甲斐があったと
いうものである。

孫たちも4月から2年生と年中さんだ。

ほんの少し前、赤ちゃんだったのにと
感慨深い。

大間のマグロじゃないけど
オーママはマグロじゃないんだから
いつまでも動き回っていないで
「ちゃんと休んでね」と
今日も言われて家路についた。














2025年4月13日日曜日

バースデイ・ディナー

 













誕生日当日。
家族がお祝いのディナーをセッティングしてくれた。

ちょうど1年前、区切りの誕生日、
私が大騒ぎして
1度は行きたかったジョエル・ロブションで
家族4人揃って、お誕生日会を開いてもらった。

早いものであれから丸1年。
あっという間の1年間だった。

今年は区切りの歳ではないので
子持ちの長女は抜きで
身軽な3人でのディナーとなった。

横浜にある
『シェ・フルール横濱』

我が家のお気に入りのフレンチレストランだ。

お気に入りといっても
ちょいちょい行けるようなところではないので
記念日的な時に何度か行っただけであるが…。

前回はダンナが海外転勤になる直前の壮行会
だったので、
それこそ早10年の月日が流れた。

それでもここのスタイルは健在で
和のテイストを取り入れた本格フレンチだ。

和のテイストとは
食器のセレクションに始まり、
ふんだんに使われている和の食材を示しており、
春は春野菜がたくさん出てくる時期なので
どのプレートにも数えきれない春野菜が
使われていてとても華やかだった。

特にこのレストランの定番
季節のオードブルの盛り合わせは
写真の9マスの箱型の器に盛られて
出てくるので
9品のお料理ということになる。

『白レバーのテリーヌ
屋久島タンカンのマーマレード』
『信州サーモンのスモーク』
『九十九島産地蛤のブルギニョン風』
『和牛頬肉の赤ワイン煮込み』
『筍の蕗味噌焼き』
『新玉ねぎのムース』
『クリスティアン』
『オマール海老のフラン』
『アスパラガスのスープ』
以上9品が箱の中で輝いていた。

その箱のお料理を食べただけで
早くもお腹はいい感じだったが、
そこからがいよいよ本番。

『鮮魚3種のカルパッチョ』
『真鯛の編み笠焼きのアスパラソース』
『ほうじ茶のグラニテ』を挟んで
『岩手産鴨肉のロースト オレンジソース』

もはや苦しい。
動けそうにない。

そして、バースデープレート付き
スイーツ
名前は分からないが杏仁豆腐をベースに
抹茶味、イチゴ味などの幾重にも重なった
ムースと苺
飴細工の蓋をスプーンで割っていただく。

お誕生日の人には
飴細工のドームの上にろうそくが灯され
お皿にチョコレートのお祝いのネーム。

各テーブルにひとりはお誕生日の人がいるらしく
あちらこちらで
細いキャンドルの灯が揺れいている。

みんなこのレストランは
記念日になら来られると
心待ちにしていたのだと思う。

ホールのスタッフもそのあたりは心得ていて
お誕生日プレートが運ばれた後には
何枚も写真を撮るお手伝いをしてくれる。

私達もご多聞にもれず
何枚も撮ってもらい、
次女からも送信されたけど、
何だか私はお疲れモード。

ここのところの忙しさで疲れがピーク。
食欲だけはまだあるけど、
写真は正直なので
歳には抗えないとつくづく思う今日この頃。

まだこれからPC執筆を始める大事なこの時期、
娘たちから「行動半径を少しは縮めるように」
「予定は絞るように」と警告を受けているので
ひとつ歳もとったことだし
自重しなければと思う
○○歳の誕生日の夜だった。





















2025年4月11日金曜日

アリス仕込みのレストランFill

 













川崎の友人の自宅付近に新しいフレンチレストランが
オープンしたというので行ってみることになった。

とにかく川崎は我が街に比べ
レストランのお値段がリーズナブル。

その中では割合お高めではあるが
それでも興味津々、
まずはランチのコースからお試しというわけだ。

レストランはごく普通の民家なので、
看板が出ていないと全くそれとは分からない。
今日はもう一組5人のグループが入っていたので、
私達2人とで満席。
なので看板は外には出ていない。
(もう2組は入るとは思うが…。)

まだ、オープンして間もない新しい内装、
全体に白を基調とした清潔感ある室内だ。

シェフがダンナさん、ホール担当が奥さんという
ご夫婦が営む家庭的なフレンチというところか。

しかし、一品目のプレートが出てくると
その”家庭的”という予想は見事に覆され、
とてもおしゃれで、素材にも凝った一品が
運ばれてきた。

『海の幸の贈り物』
ホタテと車エビが酸味の効いたジュレをまとっている。
透明なガラスの器の下には
貝殻は敷き詰められていて
初夏の海辺のような景色だ。

最初の一品の酸っぱいジュレが美味しくて
ほどよく食欲が刺激された。

2品目
『トマトのムースと春野菜のサラダ仕立て』

思わず「可愛い~」とか「きれい~」の声が
出てしまう。
真ん中にトマトのピンク色のムースがいて
その周りを色とりどりの野菜と
エディブルフラワーが取り巻いている。
絵画のような一品だ。

この時、私はシェフの絵心に感心したのだが
それが「アリス」で修業したからということが
帰り際の会話で分かることになる。

写真には写っていないが
ここで供された焼き立てのロールパンも
バターがしっかり練り込んである
薫り高いものだった。
焼き立てフワフワのパンは幸せの味だ。

次なるスープは
『カプチーノ仕立てのきのこのスープ』

小さなカップながら、中身は
何種類ものきのこが使われていて
もうすぐ終わってしまうトリュフの香りまでした。
贅沢なスープ。

そして、いよいよメインの『三元豚のロースト』
ソースが2種類ついている。
新物の筍と菜の花が添え物としてあしらわれ、
菜の花の緑色のソースが清々しい。
ここには焼き立てのフランスパンがつく。

なのに更に
『ココット皿に盛られたアサリのリゾット』が
〆の一品としてついた。
いずれも量は少なめなので
美味しく完食できた。

メニューはフィックスで選びようがないのだが、
十分素晴らしいコンビネーションで
お味のバランスがいい。
そして、どれも美しい。

最後のスイーツは
『苺のミルフィーユ』
お茶はコーヒーかエスプレッソか
2種類のフレーバー・ティーかの4択。
私達は茶葉の香りを嗅がせてもらって
甘くない方のベリー系の紅茶を選んだ。

ミルフィーユのパイがサックサクで
バニラアイスの濃厚なクリームと
酸味が強めの苺との相性も絶妙、
締めくくりの一品として大満足のスイーツだった。

人が食べた美味しいものを解説されても
読んだ方は面白くないのは分かっているが
このコースにビールをつけて、税込みで
5,000円を切るのは凄いと思うので
つい説明が長くなった。

京浜急行線の八丁畷の駅から徒歩10分。
ごく普通のややさびれた商店街の中、
普通の民家の1階にオープンした
RESUTRANT fill

川崎市川崎区京町1‐15‐3
044-701ー8389

お近くの方は是非いらしてみてください!!

オーナーはまだ小学生のお子さんがいる
若いご夫婦だ。
おふたりとも『アリス』で働いていたとか。
どおりで『アリス』のテイストが一杯だ。
しかも価格はアリスの半分ぐらい。

友人はこの地で小学校の先生をしていたので
ホール担当の奥さんとは
そんな話でも盛り上がった。

きっと地域に根差して可愛がられるレストランを
目指していると思うので
地域住民が足繁く通ってファンになってほしい、
そんな隠れ家レストランだった。

 


























2025年4月10日木曜日

シネマ歌舞伎 野田版 鼠小僧

 












シネマ歌舞伎の4月第1週は
『野田版 鼠小僧』

歌舞伎座では2003年の8月にかかったとある。
もう22年も前の話だ。
私はこの時の舞台は観ていないが
当時、野田秀樹が作・演出を手掛け
中村勘三郎が盛んに歌舞伎の変革を試みていた
時期で大いに話題になったのを覚えている。

その舞台をそのまま映画にしたのが
シネマ歌舞伎なのだが、
舞台だと自分の席から見ることしかできないが
映画になると引きありアップありの映像なので
役者の息遣いからしたたる汗までわかり、
舞台とはまた違った迫力がある。

この時期「鼠小僧」を上映している映画館は
いくつかあるのだが、
私は必ず、シネマ歌舞伎は
東銀座の東劇で観ることにしている。

ここは普通の映画館とは全く違い、
古いと言えば古いのだが
席もゆったりして、観客も歌舞伎座と同じ人種、
毎回、映画なのに着物の人が何人もいる。

予告編は全く無しで
時間になると
いきなり歌舞伎座の幕が開くところから始まる。
今日のお客さんはそこで拍手までしたので
感覚としては歌舞伎座に観に行っている感じなのだ。

2003年、主役の勘三郎は襲名間もない頃か。
この演目は勘三郎襲名記念公演とある。
勘三郎が棺桶屋の三太と鼠小僧の二役。
三太の名前は後の方でサンタクロースのサンタと
分かる。

他には大岡越前の坂東三津五郎を始め
中村福助 中村扇雀
中村芝翫 坂東彌十郎
中村七之助 中村芝翫など
キラ星のごとくの豪華俳優陣。

そのうちの主役二人はすでに亡くなっているし
現在
大病を患い舞台から離れている人もいると思うと
本当に切なくなる。

つまり、その後の
脂ののった何人かを失う歌舞伎界を襲った激震の
一歩手前の黄金期の作品ということになる。

物語は
江戸で大流行の鼠小僧の話。
棺桶屋の三太は金に目がなく、芝居の見物客相手に
金儲けに余念がない。
そこに実の兄の訃報が届くが、
遺産が自分の手には入らないと判り
他人には渡さじと一計を案じる…。

23年前の七之助、福助、扇雀らの
軽妙洒脱
あまりにテンポのいい掛け合いと
鍛錬に裏づけられた身体能力が相まって
映画なのに大笑い。

もちろん勘三郎は額に汗して
早口の長台詞。
ひと言でも噛んだり言い間違えたら
リズムが狂うところを完璧に
立て板に水のセリフ回し。

話の筋や演出よりも
当時の熱量に圧倒され、
懐かしいし、そんな何人もの役者を
若くして(50代)で失くした歌舞伎界の損失を
思うと悔しい思いがこみ上げてきた。

本当なら彼らが生きていたらまだ70代
まだまだ歌舞伎界の中心で活躍していただろう。

逆にそれができなかったのは
運命だったのかと思えるほど
鬼気迫る名演技なのは
生き急いでいたとしか思えない。

あの当時、力のすべてを出し切って
全力疾走して駆け抜けたのだと思う。

舞台だと昔、すごい役者がいたとしか言えないが
こうして映像に残っていると
23年後にも楽しむことが出来る。
上映が4月4日から10日までの1週間とは
あまりにも短いが
なんとか千秋楽に滑り込みセーフで
観ることができた。

きっと今後も語り継がれる名演だと思う。

本当に勘三郎も三津五郎も凄すぎる!