毎年、恒例の作品の写真撮影会が行われた。
1年間に作り溜めた版画作品を
ちょうどこの時期にフォトグラファーのH氏に
自宅まで来てもらって撮影している。
しかも、今年の紫陽花展は
第25回記念展なので、
メンバーの作品を葉書にして配ろうということに
なったので、
その分の作品撮影もある。
メンバーの内3人からは作品を直で
預かっているので
その分も含めると計9点の撮影だった。
更に、本の出版に向けて
著者のプロフィール写真も必要になったので、
そちらの撮影もお願いしてあった。
H氏は何を隠そう
昔、マイケルジャクソンが来日した際、
写真を撮ったという経歴の持ち主で
人物写真も得意としている。
毎年、作品を定期的に撮っている作家は
必要とあらばプロフィール写真も撮ってくれる
とあって、
私はこれまで5~6回は
プロフィール写真もお願いしている。
H氏にプロフィール写真を撮ってもらうことには
慣れているものの
最近は寄る年波についていけず
目の周りやら首やら
しわにたるみにと気になるところがたくさんある。
それはひとえにモデルの経年劣化なのだが、
それを何とかしろと言えるのがH氏だ。
ライティングをあれこれ変えて
ほおに影が出ないようにとか
首のしわが目立たないようにとか
いろいろやってくれる。
こちらは当日にぶつけて
美容室の予約をいれ、
朝からヘヤカラーをし、
マスターに写真撮影用のブローをしてもらった。
心理カウンセラーとしての著者近影なので
あんまり派手にならないように
頭のいい人に見えるようにお願いなどと
無茶ぶりをしたけど
マスターは快く引き受けてくれた。
そんな風に午前中に美容室、
午後1時から写真撮影という時間割で
作業は進んだ。
午後の作品撮影とプロフィール撮影は
洋服のパターンも2通り撮ってもらって
全部で3時間半ほどかかったが、
さて、仕上がりはいかがなものか。
1週間後ぐらいに
プロフィール写真は数ある中から何枚か
選ばせてくれるという。
あまり現物をかけ離れていなくて
美しい1枚が撮れているといいのだが…。
(現物とかけ離れると、クライエントさんが
えっ、写真と違うとなるので…)
というわけで、
目下、気になるのは作品の画像より
圧倒的にプロフィール写真だ。
春爛漫、桜満開の上野に
コンサートを聴きに行ってきた。
今週は寒い雨の日が続いていたから
きっと最後のお花見チャンスとばかり
上野は凄いことになっていると予想はしていたが、
予想のはるか上をいく賑わいで
もはやここは外国かと思われるほど。
いつもの石田様フリークの友人とふたり
まずは最寄り駅で待ち合わせ、
みなとみらいや川崎を通り越し
本日は上野まで、ちょっと遠出した。
コンサート前には予約を入れてあった
上野駅構内にある
パティスリー・レカンというレストランへ。
ここは天井高の高いレトロな雰囲気の
高級フレンチレストランである。
上野には美術館が多く
それを商売につなげようと
開催中のミロ展しばりのメニューがあったので、
面白そうということになり
私達はそのコースを注文することにした。
ミロ展は目下、都美館で開催されており、
私達の目的は展覧会ではなくコンサートだったが
ミロの絵はどんな感じの作品かは知っていたので
それがどう料理されて出てくるか興味津々。
そのコースを頼んだ人向けに特別メニュー表まで
用意されていたのにはビックリした。
アミューズのちっちゃなコロッケは
ミロのオブジェが日常品の組み合わせで
創られているのにちなんで
日常的なじゃがいもとハモンセラーノを
組み合わせたとある。
かなりのこじつけ感は否めないが
とても美味しいちっちゃなコロッケだった。
前菜のスパニッシュオムレツは
ミロの代表作のコラージュ作品に
エスカルゴが出てくるので
オムレツの中にエスカルゴバターを使用し、
切り口がコラージュのようになっていた。
これまたとても美味しかった。
量は少なめなので
フランスパンをお替りして
3切いただき、ちょうどいい感じ。
メインは2つの異なるメイン素材を組み合わせ
スペイン料理のアヒージョで融合したとある。
豚バラ肉のコンフィの上に魚介類が
ゴロゴロ載っている。
やはりミロの作品の様々なモチーフが
組み合わせてあるところにヒントを得たらしい。
レストランのシェフも
ただメニューを考えるだけじゃなく
展覧会の作品にかこつけなければならないので
大変だ。
そして、運んできたウェイトレスさんも
お客に
一品一品効能書きを説明しなければならず、
これまた、一苦労だろう。
ミロ展は3月1日から7月6日まで続くので
終わるまでは、
覚えたメニューの由緒を
いちいちしゃべらなければならないというわけだ。
お陰で上野ならではのお料理を堪能し、
午後1時、
いざ、人ごみの中に突入。
桜見物の異様な人垣をかきわけ、
次なる目的地は
藝大音校の中にある奏楽堂だ。
途中、昔、私が卒業した時に
演奏会が催された旧奏楽堂の前を通った。
古い由緒ある木造建築なので、
国の重要有形文化財に指定されているが、
ホールとしては小さいので
新しいホールが建設された際に
現在の都美館裏に移築された。
昔の学び舎の正面の門を抜け、
音校側の敷地の一番奥に
現在の奏楽堂は建てられている。
2000名規模の大きなホールだ。
パイプオルガンはないが
木の材質を活かした温かみのあるホールで
さすがに音響効果は抜群にいい。
「ザ・プロコフィエフ
加藤正則と石田泰尚による」
と題されたコンサート
プロコフィエフは全くもって門外漢だったけど
藝大の学内にある奏楽堂で行われるという
この1点に魅力を感じ、このコンサートに
申し込んだというわけである。
演目は
バレエ音楽<シンデレラ組曲第1番>op.107
第6曲 舞踏会に出かけるシンデレラ
第8曲 真夜中
ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 op.63
交響曲第7番 嬰ハ短調 op.131
最初のシンデレラのお出かけ前のワクワク感と
2曲目の12時を回ってしまって
魔法がとけてしまった慌てぶりは
何とか理解できたが、
実はその次の曲は眠気との戦いが過酷すぎ
ほとんど記憶にない。
ちょうどミロの作品にちなんだコース料理が
いい具合に胃の腑に落ち
安らか~に眠りに落ちるタイミングだったのだ。
とにかく、
レストランの中と藝大構内の静けさと
桜満開の公園や駅周辺の人混みとの落差が
激しすぎて
夕方、帰りの電車に乗る頃には
ドッと疲れが出た感じ。
友人はしきりに
「いいなぁ、こんな素敵な環境のところに
毎日通っていたなんて」と感心していたが
我が懐かしき上野のお山は
本日はとにかく人・人・人で
桜どころの話ではない状態であった。