2014年5月29日木曜日

念願の貝

 
 
 
 
 
七里ヶ浜に住む古い友人を誘って、江ノ島まで行って来た。
メインの目的は来年の個展の時に発表予定のオブジェ用貝を購入すること。
 
随分先の話のようだが、手元に置いておくことでイメージが膨らみ
作品に結びつくことが多いので、
モチーフになるようなものはできるだけ本物を手に入れたいのだ。
 
大きめの貝はオウム貝と、
名も知らない三角錐の形で螺鈿細工のように虹色に輝く貝を持っているのだが、
どちらも私が今回求めている形ではないので
もう少し巻き貝的なものを探しに、もっとも近場である江ノ島のお土産屋さんを
目指したというわけである。
 
まずは作品に使った典型的江ノ島と富士山の風景を求めて
江ノ電の稲村ヶ崎の駅で待ちあわせ、友人と会った。
 
夏場はもやっていて富士山が見えることは滅多にないと聞いていたが
まさにその通り、雲とも何ともいえない薄いグレーの空のどこを探しても
富士山はまったく見えず、その方向すらわからない状態だった。
 
しかし、江ノ島の右奥に見えるはずの富士山をイメージしながら
私たちはひたすら134号線に添って江ノ島を目指し、歩いた。
 
潮風が頬に気持ちよく、まばゆい光がすこし痛いほどに肌に降り注いでいる。
潮の香りが漂って、やっぱり現場にこなければと思わせるライブ感を感じる。
 
ふたりとも顔が見えないほど目深に帽子をかぶり、ひっきりなしにおしゃべりし、
時折、立ち止まって江ノ島の写真を撮りながら、
1時間ほど歩いて目的地江ノ島にたどり着いた。
 
今日の2番目の目的は江ノ島にあるアイランドスパにいくことだったが
その前に江ノ島神社への参道の両脇に並んだお土産屋さんをすべて覗いて
大きな貝を扱っている昔ながらの店のショーウインドウでホコリをかぶっている
誰も買いそうにもない目当ての貝の値段を比べ歩いた。
 
もはやこの手の大きな貝は輸入が禁止されたとかで
今後、入荷することがないからと、どこの店の店主も強気の姿勢で
結局、ふたつ買うから負けてくれといくら交渉してもうまくいかなかった。
 
両手で持たなければならないほどのふたつの貝は合わせて8千円近かったが
ホラ貝のようなものはひとつでも2万円とかしていたので
仕方ないのかも・・・。
 
まあ、以前、オウム貝を買ったのは福井県の東尋坊だったし
この貝の原産国フィリピンまで買いに行くことを思えば、
安い買い物を言えるかもしれない。
 
目的のものを無事Getした後は
江ノ島入り口にあるアイランドスパに行き
何十年ぶりかで水着を着て、友人とふたり、スパの温水やジェットバスに浸かり
指がふやけてしわしわになるまでマッタリした。
 
アロマオイルを炊くサウナも体験し
グレープフルーツの香りとユーカリの香りを熱風とともに浴び
体の中からデトックスされるような気分だった。
 
地産地消のお刺身定食に舌鼓を打ち、
本日の予定は滞りなく終了。
 
命の洗濯をし
これで寿命が3年ぐらい延びたに違いない。

2014年5月28日水曜日

なでしこの会5月第2弾


 
今月のなでしこの会、2回目は1回目に引き続き、『おうちで作る中華料理』
 
メインはおなじみの餃子を作ることにした。
 
我が家のむすめ達は独立してから、時折、実家に帰る時には
決まって「何が食べたい?」の問いに「餃子」と答える。
それほど、餃子はもはや彼女達にとっての『おふくろの味』だ。
 
その我が家の定番料理を伝授しようというわけだが、
なでしこの会のメンバーも家で餃子を作る頻度は高そうなので
いつも自分たちが作っているものと何ら変わらないものができてしまったら
お月謝をいただくわけにはいかないかしらという危惧もあった。
 
しかし、どうやら出来映えはかなり違うものだったらしく、一安心というところだ。
 
我が家の餃子は具に白菜・ニラ・長ネギ・しいたけ・にんじんが入る。
皮は決まって厚めの大判。
具だくさんでボリューミイな餃子だ。
 
作り方は、昔、シンガポール時代に習った中華料理の先生がやっていたように
まず、同じ方向にしつこく糸をひくまで挽肉をこねることがポイントだ。
 
味付けも特段変わったものは入っていないのだが、
出来上がりの味も食感も焼き具合も好評価で
みんな「何が違うんだろう」と不思議がっていた。
 
他に
『鶏もも肉の甘酢あんかけ』
『季節野菜の中華炒め』
『わかめの中華スープ』
の計4品。
 
今日もまた、「今夜のおかずはこれでバッチリ」といいながら
おおぶりのタッパーに詰めて持ち帰っていった。
 
「私、なでしこでお料理の時が一番好きです」と言われると
お料理の月を増やした方がいいかななどと考えるが
私も料理研究家なわけではないので、まあまあ気負わず、無理せず
楽しく続けられればと思う。
 
それぞれの夕餉の食卓に焼きたての餃子が並んでいるのを想像しながら
私は1から夕飯作り。
今日のメインに作った『牛カルビと五目野菜炒め』も
オイスターソースがベースのタレが具材に絡んで、美味だった。
 
これもレシピにしてお教室で・・・。
なんて、お教室が終わったそばから考えているようでは
どこが気負わず、無理せずだか、先が思いやられる。
 
でも私、やっぱり、人に教えることが根っから好きなのかも・・・。


2014年5月27日火曜日

タイトル降臨

 
 
 
6月11日から始まる紫陽花展というグループ展のために
4月に入ってから新作を制作していたのだが、
3点の内の最後の1点、一番小さな作品の本摺りが終わった。
 
今月中にはタイトルや販売価格を書いて
キャプション係に送らなければならないので、
展覧会が6月11日からとはいえ、
最後の作品には新規に額も注文することも考えるとあまり余裕のない状態だった。
 
試し摺りを一昨日終え、
月末に本摺りをと考えていたが、昨日、夜中に激しい雨が降るという予報が出され
その後は月末まで連日ピーカンらしいとわかったので
例によって、摺りをするならここしかないと決心し
夜中に起きて本摺りを決行することにした。
 
夕べは確かに夜中の雨脚が一番激しく
何と朝には小雨になり、8時過ぎには日が差してきてしまったので
今回の判断は正解であった。
 
小さな作品だったのでたくさん摺れるとふんで、15枚分の和紙を湿し
ひとり画室に籠もって、雨音をBGMに、夜中中、摺り続けた。
 
一昨日、とったばかりの試し摺りを微調整しながら、
より精度の高い色の組み合わせにしていく。
かなりぶっつけ本番なところもあるが、
頭の中で完成のイメージは出来ているので
そんなに苦労せずに色も決まっていく。
 
初夏の湘南の風景だ。
 
本当の富士山は夏場はくっきりとは見えないことがほとんどなのだが
イメージの中の富士山はまだ頂きに雪を残し
薄紫色に染まり、美しいラインをみせそびえている。
 
実地検分としてあさって稲村ヶ崎から江ノ島にかけ友人とあるくことになっているが
これは正に稲村ヶ崎あたりから見た風景だ。
 
しかし、この作品はまだタイトルが決まっていない。
風景画というわけではないので、あまり説明的な題にしたくない。
 
摺っている間も、『湘南』『江ノ島』『稲村ヶ崎』『124号線』『富士山』など
いくつもの地名が思い浮かんでは消えた。
 
しかも
小さな作品なのにタイトルが長いのはかっこわるい。
何かひとことで、しゃれた題にしたいものだと思う。
 
『浜風』とか『はまかぜ』なんてのはどうだろう。
ちょっと日本的すぎるかな。
そういえば、銭湯の湯船の壁絵みたいにも見えてきた。
困ったな、『テルマエ・ロマエ』か?
 
そんなことをつらつら考えながら作業をしていると
ひょっこり
『なぎさ』
というタイトルが思い浮かんだ。
 
『渚』より『なぎさ』がいい。
 
『はまかぜ』だと昔の同人誌の名前みたいだけど
『なぎさ』ならそうでもない。
初夏らしい響きも感じる。
 
「うん、この作品は『なぎさ』にしよう」
誰に訊かれたわけでもないが
心の中でそうつぶやいて、ちょっと胸のつかえが下りた。
 


2014年5月20日火曜日

よっ、待ってました団菊祭!

 
 
 
 
楽しみにしていた五月の歌舞伎座公演に行ってきた。
五月と言えば、『団菊祭』である。
歌舞伎好きなら誰でも知っている団十郞と菊五郎の団と菊をとって団菊祭だ。
 
残念なことに団十郞は昨年亡くなってしまったので、その一周忌法要公演という
名目でもあるが、
演し物が昼の部も夜の部も歌舞伎十八番目白押しの代表作ばかりで
いつになく華やいだ公演になっているようだ。
 
私もキモノでと勢い込み、一重のブルー系つむぎにしゃれ袋を二重太鼓に結び
この間、アジアンフェアで求めたインドネシアの籐のバック、
白い夏用の草履で
まだ6月にはすこし前だけれど、初夏の風情を演出してみた。
 
会場はそうしたキモノ姿の女性がいつになく多く、
1割とはいかないまでも14~15人にひとりはキモノなのではと思われた。
 
新しい歌舞伎座になってから公演を観るのは3回目だが
どんどんキモノ人口が増えているのは、嬉しい限り。
同行の友人もその変わりように驚いていた。
 
今回も母代わりのおばさまが後ろから手を回して(悪い意味ではない)
とてもよいお席をとってくださった。
にもかかわらず体調不良で来られなくなってしまったので
急遽、歌舞伎好きの別の友人を誘っての鑑賞と相成った。
 
昼の部の演目は
『毛抜き』(歌舞伎十八番)
『勧進帳』(歌舞伎十八番中の代表作)
『魚屋宗五郎』(河竹黙阿弥作)
 
席は前から4列目の10番11番
花道から中央へ4席目と5席目なので、
花道で見得を切る役者は正に真横に立ち止まり、そこにいる。
 
汗は落ちるほど真下ではないが、息遣いはもちろん感じられるし、
顔の毛穴さえ見える至近距離である。
 
まず、『毛抜き』の主役は左団次で弾正の役。
豪快で愛嬌もある弾正役は左団次のはまり役だと思うが
その至近距離で見ると老人特有の首をわずかに振るしぐさが見受けられたので
もしかして血圧が高いのかもしれない。
 
歌舞伎界は何と言ってもご難続きであるから、
健康だけは留意して欲しいところだ。
 
しかし、次の世代の菊之助と海老蔵は確実に次代の担い手として
成長著しい。
『勧進帳』は菊之助の富樫、海老蔵の弁慶で
今日のお客さんのほとんどはこの演目がお目当てに違いない。
 
富樫の菊之助は、富樫をするにはまだ若く、
富樫の心中の複雑さを表現するには至っていないが、
海老蔵との長々しい掛け合いも声が通って躍動感に満ちている。
 
一方、海老蔵が山伏姿の弁慶役で花道に現れ、
私たちの真横に来た時、
その横顔があまりに亡くなった団十郎に似ていたのでビックリした。
 
晩年は白血病の後遺症もあって、顔がむくんでいたので
海老蔵とはあまり似ていない印象だったが、なんのなんのその横顔は
正に若き日の団十郎。
 
団十郎の方が声のトーンが低く、やや籠もってなのに響く声質だったが
海老蔵の声は幼少期より鍛えた闊達な台詞回しと張りツヤのある声で
劇場いっぱいに響き渡り、歌舞伎の醍醐味を感じさせる。
 
勧進帳の弁慶は市川家のお家芸、
掛け合いでしゃべるはしゃべるは
立ち回りもあるし、幾度となく見得も切るし、
大酒飲みの芸ありのてんこ盛り。
 
海老蔵ファンはたまらないだろう。
間違いなく次代の歌舞伎界は彼が牽引すると思わせるスター性を備えている。
 
昼の部最後の『魚屋宗五郎』の主役宗五郎は菊五郎。
言わずと知れた菊之助のお父さんである。
 
菊五郎は女形も立役もこなす役者だったが
最近は太りすぎで、女形はちと厳しい感じになってしまった。
 
今日の役も酒が入ると手がつけられなくなる魚屋のオヤジの役で
だらしなくはだけたキモノの下にはでっぷり出たお腹とたるんだ腿が見え、
おまけに花道で止まった時には間近に下帯まで見えてしまって
ちょっと興ざめだった。
 
しかし、その芝居のうまさは天下一品。
役どころは限定的になってきているとは言え、
切られ与三郎だの今日の宗五郎みたいなべらんめいのどうしようもない男を
やらせたら右に出るものはいないのではないだろうか。
 
踊りがどんどんうまくなっている息子菊之助は、華のある女形として
今、注目している役者のひとりだが
いくら親子でも父親譲りで
将来、下帯ちらつかせて千鳥足なんて役をやるのだけは勘弁して欲しい。
 
役者は夢を売る商売、
なれど、
花道のすぐ脇、前から4列目では役者も生身とバレバレだ。
 
夢とうつつを行き来しながら
(4時間半の長丁場、実は舟を漕ぐ間もあったりして)
楽しい1日を歌舞伎三昧。
 
たまにはこんな日もいいもんだねぇ~。


2014年5月14日水曜日

おもてなし中華料理

 
 
 
本日の『なでしこの会』は久しぶりにお料理教室だった。
今年に入って、2月にケーキの作り方を行ったが、料理教室という意味では
昨年の12月以来だ。
 
今月のテーマは『おうちでつくる中華料理』
1回目の今日は「おもてなし中華」
 
お友達や親戚など人が集まっている時に中華料理をしようとすると
料理をする人は中華だとキッチンにはりついていて
アツアツを提供しなければならないので、
お客さんとの会話の輪に入ることが出来ない。
 
そこで、事前に煮込んでおけるものや、温め直せばすぐ出せるものなどを用意し
中華料理でも自分も楽しめるメニューをご紹介することにした。
 
『ポークスペアリブの黒酢煮込み』
『サーモンの中華フライ』
『酸辣湯(サンラータン)』
の3種である。
 
ポークスペアリブは八角を効かせ
1時間ほど煮込むのだが
黒酢をドボドボ入れることで、すっかりお肉も柔らかくなり
味もしっかりしみ込み、美味である。
 
サーモンのフライは洋食にならないよう、
下味の段階で中華の花山椒と桃屋のにんにくのみじん切りをまぶしつけ
衣にもパン粉と同量ぐらいの黒ごまを使うことで
香ばしさ満点、花山椒の香り豊かな一品になる。
 
酸辣湯は
酸味としてのお酢と辛味としてのこしょうとラー油がけっこうな量、入るので
お子さんが小さい生徒さん達にはなじみのない料理だったが
「おいしい、おいしい」と好評だった。
 
具材も竹の子・長ネギ・きくらげ・しいたけ・こんにゃく・鶏肉・とうふと
たくさんはいるから、栄養バランスも考えられた実だくさんスープとして
これからおうちでもトライしてほしいなと思っている。
 
今は庭の白い薔薇が咲き出し、庭にあるだけではもったいないので
幾枝も切ってきて家中に活けてみた。
 
中華料理用に景徳鎮の食器を出してみたが
お皿の空色と、ジムトンプソンの紺色のランチョンマットに
白い薔薇がマッチして
さわやかな感じのテーブルセットになった。
 
取り皿は本当は九谷焼だが
絵柄が唐子人形なので、中華つながりということで許していただくことにした。
 
まあ、中華レストランなわけじゃないから
うちでできる範囲で中華らしくなればいいと思っている。
 
そんな『おうち中華』の提案にあんがい感心してくださって、
ちょっとした工夫と、若い内からすこしずつ手がけたり集めたりのアイテムが
いろいろ引き出しを増やすというアドバイスを
「なるほど~」と受け止め、
それぞれ3品ともタッパーに詰めて帰っていった。
 
試食が始まってからの1時間半は
それぞれの近況報告や情報交換をしながらのおしゃべりタイム。
以前、香港在住時代に求めた羊城陶磁のティーセットでジャスミンティーをいれ
お菓子をつまみながら、
皆、子育てから離れ、まったりした時間を楽しんでいるのだろう。
 
主宰者側のわたしも
今日は「これが今流行のサロネーゼね」
そう内心つぶやいた。

2014年5月13日火曜日

『蒼い鳥』完成

 
 
 
 
正方形の作品『蒼い鳥』の本摺りが完成した。
2点、同じ大きさで、同じように小枝のリースが描かれている作品を
5月中に仕上げなければと思っていたが
予想以上に早く出来上がったことになる。
 
4月始めに原画を起こし、4月の間中、セッセと彫りにいそしんでいた。
ゴールデンウィークを何も手つかずでやり過ごしてしまうと
あっという間に5月も中盤になると
少なからず焦りの気持ちがあったが
何とかお休みにむすめ達が押し寄せる前に先の1点を仕上げることが出来た。
 
そして、2点目のこの作品も続けて試し摺り・本摺りと作業を進めたお陰で
本日、月半ばを待たずして何とか摺り終わったのである。
 
今回の作品はもう1点と同じく『還暦』記念作品で
意味合いとしては「Re Born」
 
卵がかえって新しい命の誕生である。
青い羽根が舞っているところをみると親鳥は青い羽根の持ち主か。
メーテルリンクの青い鳥ではないが
幸せの青い鳥をイメージしている。
 
考えてみれば、今こうして作品を創ったり発表したりできている自分は
十分幸せだと思うし、
これ以上、今後に大それた野望があるわけでも何でもない。
 
しかし、還暦のような大きな節目でそういうことに気づいて感謝して
謙虚に、しかし、アグレッシブに(両立するのか?)
人生の後半生を謳歌しようという決意表明みたいなものである。
 
2点の作品には今回の個展でいただいたお花やリボンがひそかに使われている。
それも、私を応援してくれる友人知人がいてくれるからこその版画制作であるという
感謝の気持ちの表れなのだ。
 
贈ってくださった人は気づいても気づかれなくてもいいのだが
贈られた私はちゃんと心にありがたく受け止めましたよという印だ。
 
やっぱり、人はひとりでは生きられなくて、
人に恵まれなければ幸せも感じられないということを
最近、しみじみ感じる
還暦とは、そんなお年頃なのである。
 
 
 


2014年5月10日土曜日

そうだ 京都(展)、行こう

 
 
 
日本人なら時折『なぜか無性に京都に行きたくなる』という人は多いのではないだろうか。
 
私もそのひとりである。
 
京都には日本人のDNAに組み込まれているルーツのような場所や食べものが
随所にあるからだろうか。
 
しかし、実際に京都まではそんなに気軽に出掛けられるわけではない。
年に1度行ければいい方だ。
 
そこで、日本各地のデパートで催される京都展なる催し物はどこも大盛況。
今週水曜日から始まった横浜高島屋の京都展もご多分に漏れず
60代70代の女性を中心に押すな押すなの大賑わいを見せている。
 
水曜日、夕方お呼ばれしている友人宅に
お持たせで持っていくものを物色しに横浜にでかけたら
偶然、京都展の初日だったのだが・・・。
その混雑ぶりは何かここで買わないと損をするのではと思うような人だかりだった。
 
大体そういう時は意志の弱い私はその流れに飲み込まれてしまう質で
この時も抹茶ロールケーキ抹茶わらび餅入りと、
抹茶味の求肥でくるんだチーズケーキを買ってしまった。
 
本当は井筒屋八つ橋本舗の新製品、洋風生八つ橋に心惹かれ
午前中、まず下見をした時に目をつけていたのに、
2時間後、用事の後に買いに行ったら
なんと早くもその日の個数を完売していて買えなかったのである。
 
そうなるとますます欲しくなるのが人の常。
この1週間の催し物の会期中に
どこかでまた横浜に行けないかとカレンダーを覗いていたら、
なぜか次の日、渡りに舟で友人から横浜へのお誘いが。
 
急遽、横浜そごうでお茶をすることになった。
 
今度こそ買いはぐらないようにと友人との約束の時間よりすこし前に高島屋に出向き
ようやくGETしたのが、写真の生八つ橋である。
 
ついでに京都には星の数ほどあると言われているちりめんじゃこのお店の内
数件が出店してきていたので、こちらも試食しまくり
一番気にいった味のものを買ってみた。
 
まだ、ちりめん山椒の実食にはおよんでいないが、
今、手元に京都アイテムがあると思うとちょっと嬉しい。
 
肝心の生八つ橋
井筒屋八つ橋本舗の創業65周年記念のお菓子とか
京都より先行販売しているらしい。
 
お味が『抹茶』『シナモン』『クリームチーズ』『ブルーベリー』『ラムレーズン』とあり
いずれも優しいはんなりとした甘さと和洋折衷の融合がうまくいって
「美味しゅうございました」という感じ。
 
友人にも1箱進呈したところ、
「美味しくて2ついっぺんに食べちゃいました」とお礼のメールが来た。
 
現実は明日もピーカンだというのに本摺りの予定だし、
週明けも予定が詰まっていて、当分、京都どころの話ではない。
 
ゴールデンウィークで費やした家族団らんのツケが回ってきているが
その疲れを甘味で癒し
明日の摺りへの英気を養ったのだった。
 


2014年5月4日日曜日

花のある暮らし 実践編

 
 
 
 
 
 
ゴールデンウィークど真ん中の今日、
ダンナが泊まりがけででかけて、ひとりになってしまった。
明日からはむすめ達が実家に戻ってくるのでにぎやかになるのだが
ぽっかり空いてしまった時間は何をしようか。
 
むすめ達が帰って来る時は大体何が食べたいというリクエストが入るので
そのための買い出しに出たり、
お布団を干したり、掃除機をかけたりといった母親業に追われることになる。
 
もちろん今回も『ポテトのチーズ焼き』か『カリフラワーのグラタン』
それに『炊き込みご飯』ねというリクエストがきているので
そのあたりを軸に献立を考えることになる。
 
しかし、食べることもいいが、
今回はついこの間、なでしこの会でやったフラワーアレンジメントを
我が家でも実践することにした。
 
例によって、1束300円の花を4束買うことで1000円になるというサービスを利用し
1本だけ背景用のグリーンを足し、合計1296円で花材を購入。
あとは庭にあるアイビーをいくつかカットして使うことにした。
 
庭のジャスミンはなでしこの会の時にはまだつぼみで、
アレンジに使ったつぼみが次々に咲いて香しい香りを放っていたが
今は、ジャスミンも満開を過ぎ、むしろ散り際で茶色くなった花がみすぼらしい。
 
いやはや花の命は短くて・・・。
 
一方、次に控えている白い薔薇が今にも咲きそうに大きなつぼみをつけている。
今までそのつぼみをカットしてきて、花瓶に活けたことはなかったが
今回、買ってきたローズ色の薔薇のアレンジに紛れ込ませて
花が咲くか試してみようと思う。
 
結局、アレンジメントは大小合わせて6種類出来た。
1300円ほどでこれだけ出来れば上々だろう。
 
玄関、リビング、ダイニング、トイレ、階段の踊り場など
家のあちらこちらに置いてみた。
やっぱり、家にきれいな色のものがあると、気分が上がる。
 
花より団子のむすめ達が帰ってきて、どんな反応を示すか楽しみでもあるが
たとえノーコメントでスルーされたとしても、女子力の低さを嘆く事なかれ。
 
まずは花がもたらす小さな幸福感を噛みしめ
ひとりの時間をまったりお茶でもしながら過ごそうではないか。
 
そうそう、花と一緒に柏餅も買ってきたのである。
密かに
口切りのお新茶と共にいただくことにしよう!
 
あ~、し・あ・わ・せ。


2014年5月2日金曜日

ジャスミンの花の香りの中で

 
 
 
ゴールデンウィークのまっただ中ではあるが、
雨が降るというので急遽、昨日、版画の本摺りを決行した。
 
6月の紫陽花展というグループ展に向け、新作を3点創らなくてはならず
3月末の個展が終わってから、かなり猛烈に作業をして
この本摺りにこぎつけた。
 
いつもなら2月に入れば、この作業、(つまり、グループ展用の作品を創る)に
取りかかっているものを、2ヶ月間は個展準備に追われ手つかずになってしまった。
 
4月始め、温めていた木のリースを使った作品案2点分を原画に興し
更にトレッシングペーパーに写し、版木に転写し
1ヶ月間、黙々と彫りの作業を行ってきた。
 
4月中に2点分の彫りを仕上げることを自分に課し、
何とか間に合わせることができたゴールデンウィーク突入直前、
月末に低気圧が停滞して3日間ぐらいは雨になるという天気予報が出された。
 
それが行き過ぎるとあとは一気に気温が上昇し、毎日晴れが続くという・・・。
 
それを見て、私はいささか焦った。
ピーカンの晴れになってから摺りをするのと
今ここで頑張って雨の日に摺りをするのと、どちらがいいのか。
 
結局、四の五の言っている間に試し摺りを取り、
うまくいけば続けて本摺りをすればいいと判断し、早速、摺りの作業に取りかかった。
 
家人が休みでまったりしているとか、
ゴールデンウィーク後半には娘達も実家に戻ってくるとか
そういうことには目をつぶり、すべてに版画の摺りを優先することにしたのだ。
 
しかし、一日中雨が降っていた水曜日に試し摺りは出来たが、
3日間は続くと言われていた雨は次の日の朝には止んで
みるみる初夏の陽気になってしまい、
雨の湿気の中で本摺りをするというもくろみは見事にはずれてしまった。
 
それでも、昨日の木曜日、夜明け過ぎには起きだし、
雨が止んでからは日が差し込まないようにアトリエの窓のシャッターを下ろし
なんとか本摺りはつつがなく終了した。
 
折しも我が家のジャスミンは満開。
玄関アプローチに漂う香しい香りは、
何枝か手折って活けたリビングにもたちのぼっている。
 
4月の始めに小枝のリースにからめる形で原画に配したジャスミンは
牡丹色のつぼみのまま、作品になった。
タイトルも「ジャスミン」にするつもりだ。
 
作品のリースには
牡丹色のリボンとゴールドのリボンがかけられている。
人生の赤の時代が終わって、
実りのゴールドの時代へと変わったことを表したつもりだ。
 
実り多き後半生がジャスミンのように香り高いものでありますようにと
そんな祈りを込めて・・・。