2014年8月13日水曜日

ジャポニスム展 浮世絵の影響力


 
現在、世田谷美術館で美術館で行われている
『ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展』に行って来た。

しかも、いつもは美術鑑賞はひとりでいくのに
ダンナと次女と私という3人組でだ。
 
なぜなら、10月にダンナと次女と私の3人組でニューヨークとボストンに行くので
その前の予行演習みたいな意味合いがあるからである。
 
実際に私たちがボストンに着いて、ボストン美術館に行ったら、
数多くの名画が「今は日本です」みたいになったら困るねという話になり
「じゃあ、日本に来ているなら観ておかなくちゃ」という流れだったのだが・・・。
 
実はこの展覧会のコンセプトは
印象派の画家達がいかに日本の浮世絵やキモノ、工芸品などに影響を受けているか
実際の作品をならべて展示することで比較してみようということだった。
 
150点あまりの作品がボストンから来ていて、
その大部分に影響を受けた作品も隣に展示されているので
かなり見応えのある展示になっていた。
 
1番の演し物は写真にもあるモネの『ラ・ジャポネーズ 着物をまとうカミーユ・モネ』で
モデルはモネの奥さんのカミーユ。
そっくりなポーズで緑のロングドレスを着たカミーユの作品もあり
モネは対の作品としてこの作品を描いたらしい。

等身大に描かれたカミーユは本当は黒髪だったが日本のキモノやうちわと対比
させるため、わざと金髪のかつらをつけてモデルをしたとか・・・。
とにかく200号ぐらいの大きな作品だった。

何かの舞台衣装と思われる豪華絢爛な刺繍が施された赤い打ち掛けを
モネは真っ向勝負で描いている。

床にはゴザが敷かれ、背景には多くのうちわ。
いずれも日本から手に入れたものを実際に身につけ、写実したということだ。

特に影響を及ぼしたのは広重や北斎をはじめとする浮世絵の構図や色彩で
モネやゴッホやムンクの油絵作品と対比してみると
その浮世絵の明快さ、モダンさ、大胆さはいまさらながらに凄いなと思う。

大体、日本人は日本文化を外人に褒めてもらって、はじめて認めるとか
あわてて逆輸入するみたいな情けないところがあるが
自分でも木版画の作家を標榜しながら
あらためてその浮世絵や木版画の表現力の素晴らしさを再認識したというわけだ。

会場はお盆休みに美術鑑賞にやってきた老若男女があふれていたが
聞くともなく話し声を聞いていると
「凄いわねえ」「本当ねえ」みたいな会話がそこここでなされていた。

次女と「何が凄いと思っているんだろ?」と話したところ
作品自体の技術的なことや構図とかは普通の人はあまり分からないはずだから、
日本人が外人にこんなに影響を与えたなんて凄いということじゃないかということで
意見の一致をみた。

確かにカミーユがまとっている真っ赤な打ち掛けは
浅草あたりで売っているおみやげもののなんちゃってキモノとは違って
どうやって手に入れたのか、そこを知りたいと思うほどの豪華絢爛な本物のようだ。

その刺繍の技術やデザイン、構図の伝統と革新を
日本人の私たちは当たり前のように通り過ぎたり軽んじたりしているなと反省した。

他に精巧な七宝焼きの虫や蝶が装飾された刀の柄や細かい組木細工など、
ティファニー社やブシュロン社に影響を与えた工芸品も素晴らしかった。

だから、今回のニューヨーク行きも
へコへコとアメリカ文化から刺激をもらいにいくというだけじゃなく、
20世紀の終わりから20世紀の初めにかけ、
世界に一大扇風を起こしたジャポニスムの産みの親である
(産んだのは自分でもないくせに)
日本人として毅然とした態度でアメリカに乗り込み、
そして、謙虚に学ぶべきところは学ぼうと、そんな気持ちになった。

日本人よ、もっと自分に自信をもて!
木版画家よ、もっと胸を張れ!

そう自分に檄を飛ばし、背筋を伸ばしたのであった。


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