4月12日は私のリアル誕生日だ。
しかし、すでに10日の日曜日に娘達にバースディランチをご馳走になっているので
当日の今日は誰も何とも言ってこない静かな1日だった。
そんなことは想定内なので、気にもかけず、
私は朝も早くからアトリエに籠もって、
新作のトレペに起こした原画を、版木に転写する作業に取りかかった。
何しろ、大きな作品になる予定で、作品の真ん中で分割して版を作らねばならず、
その分、版木の数にして6枚、
両面に転写するから都合14~15版(1面に2版とれるところもある)にもなる
膨大な量の版を、今日1日で転写しなければならない。
2日に分けて転写してもいいようなものだが、
なぜかゲージが違うというか、体内リズムが日によって違うというか、
同じ日に一気に転写しないと、摺った時にズレが生じたりする。
というわけで朝食を採った後は、どっかり彫り台の前に座り込み、
ひと言も発せず(当たり前だが・・・)黙々と作業に没頭した。
夕方までに仕上げねばと予定していたが、
昨日の夕方、証券会社の担当の女性から電話があり、
投資信託関連の書類に不備があり、
1箇所サインが必要なところがみつかったため、
今日の1時に自宅まで来てくれることになっていた。
その時ばかりは作業の手を止め、応対しなければならず、
さすがに多少は化粧も施し、スウェット上下もこざっぱりしたものに着替えた。
すると、4月から新しく担当になったばかりのYさんが
紙袋からかわいいお花のアレンジメントを差しだし、こう言った。
「今日、お誕生日ですよね。おめでとうございます」
書類を点検している時に、今日が正に誕生日だということに気づいたらしく、
わざわざアレンジメントを買ってきてくださったのだ。
すっかり誕生日は済んだことになっていたので、
とても嬉しく、心がほっこりした。
いくつになっても、誕生日は誕生日。
「して、おいくつになられたんですか?」
とは、訊かないYさんの大人な対応に感心しつつ、
書類にサインした後は、
ちょっとウキウキしながら、夕方まで作業は続いたのだった。
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