6月7月と2ヶ月間、アトリエを乳児室として明け渡していたので、
そろそろ版画家としての本分に戻らなければなるまい。
一応、秋に予定されている3つの展覧会のための作品は
すでに出来上がっているが、
つい先日、来年1月にクロアチアで版17の展覧会が開かれることになったと
聞かされた。
そこにはひとり4~5点、作品を送り込まなければならないという。
しかも、1月下旬の会期に対して、9月中旬には取りまとめを行い、
17人分の作品を木箱に入れて、クロアチアに発送するという。
クロアチアの人は以前の私の作品なんて、観たことあるわけないので、
旧作を展示しても何の問題もないとは思うが、
版17の主要メンバーはこれから9月下旬に行われる版17銀座展に出すものとは違う
作品を用意するつもりのようだ。
木版画は制作に時間がかかる。
色数の多い私の作品はとりわけ時間が必要だが、
5点全部を今年と去年の版17銀座展と同じというわけにもいきそうにもない。
そこで、すっかりばぁばモードになって、なまった体にむち打ち、
新作に着手することにした。
今から創る新作は、孫が生まれる寸前まで彫っていた新作と連作になるよう考え、
まだ誰の目にも触れていない2点の新作を、9月初めまでに創ろうというわけだ。
しかし、8月は暑いので、木版画の摺りには全く向いていない。
この湿度の高さに加え、気温が高いのに、更に加湿器をかけて加湿し、
クーラーは乾燥を呼ぶので、使えないときているから、
熱中症間違いなしの悪条件だ。
本当に出来るかどうか心配だが、今、心配していても始まらない。
「キミちゃんはやるときはやるよ」という心意気だけで、決行するつもりだ。
幸い、2点目の原画のイメージもすんなり湧いて、
1点目と対の作品は縦キャンと横キャンで似たイメージ、
時計草が重層的に画面いっぱいに広がる絵柄だ。
原画を興しているそばから
「時を重ねて」と「時にゆだねて」というタイトルも浮かんできたので、
出足好調。
すんなりタイトルが決まると、その後がスムーズにいくというジンクスがある。
新しい命に触発された新作は、2枚接ぎの作品になりそうなので、
秋、涼しくなってから手がけることにして、
まずは中ぐらいの大きさの新作から再開することにした。
新作の図案が思い浮かばない産みの苦しみより、
この暑さの中、制作する苦しみの方が楽だと自分を慰め、
ここしばらくは、取り戻したアトリエに籠もって、制作に没頭しようと思う。
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