第4回『文学と版画』展が、銀座のギャルリー志門で始まった。
版画家が自分の好きな文学作品を1点選んで、
自分の作品を使って装丁を考え、
実際に本の表紙として作って、作品と同時に展示するという展覧会だ。
もちろんすでに出版されている書籍なわけだけど、
その装丁とは関係なく、
むしろ、自分の作った装丁の方がいいといわんばかりの力作が揃う。
今年の私が選んだのは
恩田陸の『蜜蜂と遠雷』
直木賞と本屋大賞を獲った作品なので、
読んだ人も多いと思うが、
私も一気呵成に読んだとても面白い作品だ。
内容はピアノコンクールに挑戦する若者達が、
1次予選、2次予選から本選へと進み、最後に優勝者が選ばれるまでを
克明に追っているというもの。
何人かの個性の違う演奏者の舞台裏やプライベートなどを書くことで、
曲の解釈や表現が違ってくること、
そのせいで、同じ課題曲がまるで違う曲のように感じられること。
私が知らないピアノ協奏曲とかでも、
その克明な描写で、まるで聴いているかのように感じられたこと。
その感動を自分の版画作品で表現するならと考えて創った作品だ。
本を見開くと、タイトルと背表紙の黒い帯が十字架のように見えるが、
これはピアノコンクールに命をかけて取り組む若者達が
背負っている十字架という意味も込めている。
本の装丁自体は先週の土曜日の飾り付けの日に、
私も初めて見たのだが、
ほとんど思った通りに出来上がっていて、嬉しかった。
その日に他の作家達の作品と装丁も見たのだが、
皆、装丁に創意工夫が感じられ、
「そうきたか!」というような驚きがあって楽しかった。
他の作家達も同じように感じたらしく、
誰もがこの展覧会の主旨を楽しみ、
1年間の宿題として持ち帰って、制作しているのが分かる。
まだ、4回目だけど、相当評判がいいらしく、
ギャラリーオーナーもこの企画展はギャラリーの看板企画に育てたい様子だ。
ほとんどの方にDMを出していないのだが、
もし、このブログを読んでいってみたいと思って頂けたなら、
GINZA SIXの2本裏の道、
香蘭社が角にある小径を新橋方向に行ったドラッグストアの隣のビルの3階だ。
お出掛け頂けたら嬉しいです。
よろしく~!
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