9月14日から開催の『越畑喜代美展』に行ってきた。
場所は銀座1丁目の柴田悦子画廊。
越畑喜代美さんは6月の紫陽花展の仲間で、かれこれ20年近いおつきあい。
彼女は日本画で私は木版画だが、
実は木版画は油絵より、より日本画に近いところがある。
越畑さんは年に数回、精力的に個展を開いているが、
その内、この時期は必ず柴田悦子画廊で『お茶会風味』という
サブタイトルをつけた展覧会を開いている。
その時だけはギャラリーに板を敷き詰め、靴を脱いで上がるスペースを設け、
更に奥の一画をお茶コーナーとして設営し、
会期中、お抹茶を点てたり、お香を聴いたりするという趣向の展覧会だ。
私は毎年、突然伺ってはお茶を点てさせてもらっている。
今年はFaceBookに柴田画廊の投稿があり、
棚ものの写真がアップされていたので、
思い立って、私は自分のお濃茶入れを持参し、
濃茶を点てさせていただくことにした。
画廊に日本画の作品を観にいらしたお客様をひっつかまえて、
(一応、皆、越畑さんのお客様で顔見知り)
お茶室のお客様をやってもらい、
濃茶とお薄を飲んでいただいた。
ギャラリーオーナーの柴田さんも、個展の主・越畑さんも濃茶を飲むのは
すごく久しぶりということで、
思いがけず甘く感じたり、奥深い味わいだったとかで、
とても喜んでもらった。
また、展覧会を訪ねてくる他のお客様は男女を問わず和菓子を携えており、
この展覧会でお抹茶が出るのを見越しての訪問という感じだ。
そのあたりが版画や油絵の展覧会にみえるお客様と違う。
こちらは洋物のクッキーかチョコレートが定番だ。
なので、日本画陣の迎える側も心得たもので、
日本茶を作家ものの器に煎れて、
各地の銘菓と共に出してくれる。
急須に金継ぎが施されていたりするあたり、さすが日本画専門画廊である。
茶道具もオーナーの持ち物で、曰くのありそうなものばかり。
裏千家なので、初めて拝見する棚が新鮮だった。
いつもは表千家の流儀に則り、
いかにも茶道という形式の枠内でお点前しているのだが、
たまにはこんな表と裏のブレンド流派だったり、
全くの素人さんのお客さんだったりするのも面白い。
本来、昔は訪ねてきてくれた友人に一服差し上げ、
会話を楽しむのがお茶なんだから、
いかにも「茶道でございます」みたいにしかつめらしくせず、
こんな風にお茶を介して楽しい時間を過ごすのが一番だ。
だんだん年を追うごとに、この時期は柴田画廊でお茶を点てるのが、
恒例になってきた。
『文学と版画』展が終わり、ちょっと一息ついたところで、
日本画を鑑賞しながらお茶を点てる。
『越畑喜代美展』はそんな夏の終わりの私のルーティーン行事だ。
0 件のコメント:
コメントを投稿