土曜日、朝からどしゃぶりの雨。
数日前から、こうなることはわかっていた。
しかし、2月に陶芸工房の先生にお願いして、
注文してもらった個展のオープニングパーティ用のワイン6本と、
本焼きしてもらった個展で使うつもりの湯呑9個、
お正月の来客用小鉢12個を、
いつまでも工房に置かせてもらっていることが
気になっていた。
もちろんコロナのせいで、
目下、工房は教室としては閉鎖中だし、
「早くとりに来てくれ」と言われているわけでもない。
しかし、急かして、
本焼きしてもらった作品を放置してるのも気になったし、
全くの好意でネット注文してもらったワインのカートンを
工房にごろごろさせているもの申し訳ない。
そこで、大雨の中ではあったが、
ダンナに車を出してもらい
(またまた高級車の送迎付きである)
器とワインを引き取りつつ、
私自身は工房に残って作陶するということにした。
工房はみんなで仲良く粘土細工というのは無しだが、
希望者はマスクと手洗いをして、
広い工房の片隅で作陶することは認められている。
今は、陶芸体験のお客さんもシャットアウトしているので、
工房には先生と希望者がひとりふたりぐらい。
まずは朝の一番に工房に到着し、
引き取った大量の器を車に積み込んだ。
写真にある湯呑9個と小鉢12個だ。
いずれもイメージしていたとおりの焼き上がりだ。
大きさやシルエットも
最近の大量に同じものを作るという作業を通して
職人的技量が上がってきたせいか、
型があるわけでもないし、
目と指先の感覚だけで均一な器になるよう作っているのだが、
なかなか統一感があるように思う。
個展用の湯呑9個の釉薬のかけ方は
以前に何回か試した
黄瀬戸・織部・失透の3種類の釉薬なので、
3種類も使っていても、いい具合に響き合う。
小鉢の方は
黄瀬戸・茶そばの2種類の釉薬を
湯呑同様、かける位置を少しずつ変えて12個。
窯に置かれた位置の違いで、
茶そばの色の出具合が違うが、
それはもう窯の中の火と空気の流れが作るものなので、
人知を超えている。
12個なのは、
来年から、お正月に集まる親族が12人になる予定なので、
その数にしたのだが、
来年のお正月に、みんなが集まれるような世の中に
なっているのか、いないのか。
全く先の見えない不安感はぬぐえない。
個展もちょうど1年先に延期の日程を決めてもらえたが、
コロナは大きな感染と小さな感染を繰り返しながら、
2022年ぐらいまでは続くというのだから、
全くこちらもどうなることやら。
別に正月やら個展やらに使わなくても、
いつ使ってもいいし、腐るわけでもないが、
人が集まること自体が許されなくて、
いつもマスクをしていろというのでは、
お茶飲み会もできないし、
料理を小鉢に盛って
みんなで食べるということもないわけだ。
急いで本焼きしてもらって、それなりで、
いつまでも工房に置かせてもらっていても申し訳ないと、
引き取ってはきたものの、
今は、我が家のリビングの無駄に大きいテーブルに、
ずらずら並んでいる器たちをみると、
悲しくなってくる。
これを使う時はいつ来るのか。
試しに湯呑にお茶を入れてみた。
実に手にしっくりくる大きさと形。
飲み口の厚みも程よいではないか。
と、自画自賛する。
世の中の激変ぶりに、今はうろたえるばかりだが、
「あの頃は大変だったね」と、
この湯呑でお茶しながら、
語り合える日がくることを心から祈っている。
0 件のコメント:
コメントを投稿