2020年10月3日土曜日

秋のスイッチ

 









10月1日、季節はカチッと音をさせて
秋へと変わった。

朝夕の気温が下がり、道を歩けば、
どこからともなく金木犀の甘い香りが漂っている。
我が家の金木犀も
暦通りに目覚めたようだ。

そして、
夜空を見上げれば、煌々とした満月が美しい。

今日は早3日である。
朝、起きて新聞を取りに玄関先に出てみると、
脇に立っている金木犀は満開になっており、
いよいよ香しい香りを放っている。

本日は12時に友人と桜木町で待ち合わせ、
ランチの後、石田組のコンサートという予定である。

天気は快晴、暑くも寒くもない上天気。
自分としては少し上等なニットのワンピースに
紺のジャケット、南洋パールのネックレスという装い。

足取りも軽く、金木犀の香りをまとって、
坂道を降りていった。

駅の改札に現れた友人もベージュのパンツに
ペンシルストライプの紺色ジャケットだったので、
ふたり並ぶといい感じ。

お出かけのスタイルの方向性が合っていると、
なんだか気分がいい。

ランチはランドマークタワー5階の「chef's V」
野菜をいろいろな形で食べさせてくれる
ヘルシーかつ女性に嬉しいレストランだ。

目の前にみなとみらいが一望のカウンター席が取れたので、
食事と共にビューもご馳走という感じだった。

「石田組」というのは
わが愛しの石田泰尚さま率いる弦楽器だけの13人組。
編成は第一ヴァイオリン3名
第二ヴァイオリン3名
ビオラ3名
チェロ3名
コントラバス1名の計13名。

石田組の名のとおり、石田組組長石田泰尚氏を信奉する
12名の組員が、組長を慕って集まっているという構図。

8月9月に4回通ったYAMATOは
第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ビオラ、チェロ各1名で、
各人の個性と力量がぶつかり、融合するという
弦楽四重奏団だった。

もちろん第一ヴァイオリンは石田様。

石田組はそれぞれの楽器が3名ずつに増えた分、
チーム対抗戦の様相を呈し、
第一ヴァイオリンチームと第二ヴァイオリンチーム、
ビオラチームとチェロチーム、
そして、コントラバスが戦っている。

そして、時に石田様のソロあり、
ビオラのソロあり、チェロのソロありと、
チームの代表が競い合うみたいな場面も多く、
一口で言うと編曲の上手さが光ったコンサートだった。

前半のクラシック曲は
13名の調和が重視され、まとまりの良さは感じるものの、
面白いという印象はなかった。

しかし、後半の現代曲になると一転、
会場で紹介された編曲の松岡あさひ氏の腕が冴えわたり、
13人の個性が引き出され、
石田様のパフォーマンスも絶好調だった。

例によって、衣装替えも数度あり、
オオカミの被り物をしてきたかと思ったら、
上手く弾けないと途中でかなぐり捨てるという
パフォーマンスまであって、会場は大いに沸いた。

3時開演5時20分終演、
アンコールは4曲という大盤振る舞い。

外に出てみれば、街は黄昏て、
みなとみらいのそこここに灯りが灯りだしていた。

さっきまで王子様と踊っていたシンデレラは、
馬車がかぼちゃに変わる前にとばかり地下鉄に乗り、
最寄駅からはタクシーを飛ばして家路についた。

50分でぜいぜい息を切らせて作った晩ご飯。
何とか7時のディナータイムに間に合った。
「現実はこれか」とげんなりするが、
今はコンサートの余韻を取り戻しながら、
パソコンの前に座っている。

2020年、
ほんの少し前まではコンサートは延期かキャンセルだった。
それを思えば、
みなとみらいホールの1席おきとはいえ満席のお客さんと共に、
石田組の演奏を楽しめたこと、
そのことで良しとしよう。

季節のスイッチも秋に変わったんだから、
気持ちのスイッチの切り替え上手なきみのさんに戻って、
この日々の忙しさを楽しもうと思う。



0 件のコメント:

コメントを投稿