2022年2月1日火曜日

ハート形小物入れ

 








先週の土曜日に
陶芸工房で植木鉢や茶碗の削り作業があったので、
大量の削りカスが出た。

いつもなら、出た削りカスは
その場で丸めて練り直し、
豆皿などを造って、
残りの土もリメイクしてしまう。

しかし、今回の削りは
かなりの時間を要したのと、
大量に削りカスがでてしまったせいで、
やむなくビニール袋にいれて
家に持ち帰った。

それは削りカスなので、
一度は器に成形したものだし、
ショリショリ削ってチップ状のものなので、
だいぶ空気に触れてしまっている。

だから、新たに成形するとしたら、
十分に水を加えて練り直す必要がある。

持ち帰った次の日の日曜日、
カウンセリングも遊ぶ予定もなかったので、
家でできる作陶をすることにした。

次の工房の課題は「箱」

土で造る「箱」とは…。

メンバーの中にはろくろ成形を得意とする人と
私みたいに手びねり専門という人がいる。

「箱」みたいなお題でまずイメージするのは
段ボールの箱やお菓子のパッケージのような
四角いものだろう。

しかし、陶芸工房で造るのだから、
土でなければできない形、
土で造ったからこその用途などが求められる。

私はパリパリになってしまったチップに
水を打ち、ひたすらこねながら考えた。

「箱」は拡大解釈すると、
蓋のある器、
蓋のできる入れ物でいいのではないかと。

しかも、手びねりでしかできない形、
真ん丸のものはろくろ成形にはかなわない。
しかし、楕円やハート形などは
逆にろくろにはできない形なのだ。

そんな風に自分の強みは何か、
お題とはいえ、
出来たものを使いたくなるものは何か、
そんな観点であれこれ考えた挙句、
ハート形の小物入れを作ることにした。

ハート形だったり、蓋だったり、
蓋の受け口だったり、
こうした高難易度のものは
家でじっくり造った方がうまくいく。

いわゆる蓋物は
蓋と身がぴったり合わないといけないし、
蓋の受けの部分もひとつの土くれから、
曲げたり盛り上げたりしながら、
形づくらなければならない。

後から
ひも状のものをくっつけたりするわけではないので、
身の部分全体でどれだけの土がいるのかの勘が必要だし、
土に曲がれだの立ち上がれだのと指令し、
土がダレたり凹んだりしないよう舵取りが必要だ。

つまり、他のメンバーが作陶している隣で
造るより、
ひとりで黙ってアトリエで造る方が
100倍集中できる。

そうしてできた身と蓋は
ぴったり合うように蓋をした状態で乾かす。

しかし、蓋が身にくっついてしまわないよう、
極薄いビニールを1枚かませて蓋を置いた。

1日乾かして、見てみたら、
なぜか、蓋は乾いた色になっているのに、
身は造った時のままの色をしている。
オー・マイ・ガッ!!

土は乾くと1割ほど縮む特性を持っているので、
この状態だと蓋より身の方が完全に大きい。

あれだけ細心の注意をはらって
蓋と身が一直線に合うよう造ったのに…。
これで身が乾いた暁には
縮んでピタッとなるのか?!

私の額に、まるちゃんみたいなザザーが走った。

というわけで、
今は身の方に強制的に温風をあてて
乾かしている。
乾いた暁に、身と蓋がピッタリ合うかは
神のみぞ知る。

ことほど左様に
物を造るという作業はいろいろ想定外のことが起こる。

この小物入れもまだ素焼きにすら至っていない。
これから素焼き、釉がけ、本焼きと進む中で
まだまだ油断はできない。

蓋の上の花びらがポロッと落ちたり、
器そのものを落とすことだって考えられる。

友人などは釉がけの日に
釉薬をかけてちょっとその器を床に置いたら、
他のメンバーに踏みつぶされたことがある。

さあ、これが無事に
「あの時造った小箱よ」とお見せできる日が
来ますように。
まずは身が乾いた時に蓋とぴったり合うことを
心から祈っている。













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