昨日までの晴天とは打って変わって
今日からは気温がぐっと下がり、
雨がしとしと降っている。
こんな日がこれから1週間以上
続くという。
秋の長雨シーズンの到来である。
まだ、暑い日も来るだろうとは思うものの、
天気予報の予報士たちが
口々に衣替えは火曜日までにというので、
昨日、素直な私は衣替えも済ませた。
今日はお茶の友人H姐さんと誘い合わせて、
文化鑑賞の1日である。
以前、二子玉川にあった静嘉堂文庫美術館が
東京丸の内の明治生命ビルにお引越しし、
新装オープンした。
まだ、10月1日に開館したばかりなので、
混んでいるかなと懸念もあったが、
コロナのせいで入場制限がかかっており、
予約制だったお陰で
比較的人も少なくゆっくり観ることが出来た。
明治生命ビルはそもそも昭和9年に竣工された
古典主義様式の傑作と呼ばれ、
国の重要文化財に指定されている建物である。
その中に移転した静嘉堂文庫美術館は
三菱の創始者・岩崎彌太郎の弟・彌之助と
その子・小彌太の親子が収集した文化財を
展覧するための美術館だ。
国宝7点、重要文化財84点を含む
20万冊の古典籍と6500件の東洋古美術。
そのうちの一部が展示されている。
題して
「響きあう名宝 曜変・琳派のかがやき」
そもそも入口のランプ、
中に入ってすぐのホワイエというホール
そのあたりからして普通の美術館とは違う。
日本の伝統と格式が感じられ、
さすが丸の内という雰囲気だ。
展示物はやれ光琳だ宗達だと
銘品ぞろいなのだが、
やはり何と言っても秀逸なのは
「曜変天目」とよばれる小さな茶碗だ。
南宋時代の中国で作られ日本に伝来した。
以前にも1度は観たことがあるが、
今回は最後の部屋の奥に、
ガラスケースをぐるり取り囲んで
観ることが出来る形に展示されていた。
しかも、低めの台に設置され、
茶碗の中の濃い藍色から
明るい青へと変化する曜変の
妖しい輝きを
覗き込むように観ることが出来た。
口径12、2cm 高さ7,2cmしかない
小さな茶碗が放つオーラは
月並みな言葉で語れば
小宇宙のように果てしなく
観る者をその世界に引きずり込む。
他にも重要文化財の茄子茶入れ(付藻)や
利休が愛用していたという
唐物茶入れも
お茶をたしなむ私たちにとっては
とても興味深い逸品だった。
展示物の説明書も分かりやすく、
展示品の数がさほど多くないので、
ひとつひとつ丁寧に観ることが出来た。
こうした茶道具の延長線上で
長年、お茶のお稽古を楽しみ、
歴史や道具の来歴などの勉強をするのは
人間的に深まるような気さえする。
とはいえ、お腹がすくものはすくし、
疲れれば甘いものも欲しくなる。
というわけで、
ランチは静嘉堂近くのオフィスビルの2階で
海鮮丼をいただき、
帰りがけには予約しておいた
「空也もなか」も無事、買い求めることが出来た。
いつも銀座にきても
「本日のもなかは売り切れました」の貼り紙しか
見たことがなかったので、
友人が手配してくれた本物は
実に香ばしい香りの皮に
ほどよい甘さのあんこが詰まっていて、
とても美味だった。
晴れ女の私も今日は着物ではないので
何の神通力もなく
丸の内に着いたあたりから
雨は静かに降り始め、
空也もなかを求めて丸の内から銀座へ行くあたりは
パンプスの足先に雨が染みこむほど。
本日の総歩数10269歩
曜変天目の眼福と、
海鮮丼の満腹と、
空也もなかの口福と。
なかなか充実の1日である。
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