いよいよ2022年もあとひと月あまり。
先週の火曜日は金沢旅行だったので、
今日は2週間ぶりのばぁばご飯の日だった。
最近は娘からのリクエストもマンネリ化し、
写真に撮っても
絵面に新味がないなと思っていたが、
今日は新しいリクエストが
2点きた。
「鶏むねと野菜のみぞれ煮」と
「ひじきの鶏つくね」だ。
寒くなってくると
何かのみぞれ煮が食べたくなる。
大根の汁が煮える香りは
何とも冬の日らしい。
今日に限って言えば、
強い南風が吹いて横なぐりの雨が
降っていたが、
明日からは急転直下、寒くなるらしい。
だから、みぞれ煮はぴったりだ。
他にも
「サーモンとサツマイモのバター醤油」
「けんちん汁」なんかも、この時期に
食べたくなる献立と言えよう。
孫1号は魚派なので、
今日は真っ先に
「生たらのチーズ味フライ」に飛びついた。
孫2号はなんでもござれなので
一通り手を出し、
新しいみぞれ煮の鶏肉と
サツマイモとサーモンをお替りした。
孫たちにはなるべく季節の旬の食材を食べて
元気に育ってほしいと願っている。
季節ごとに調理法も変わるので、
みぞれ煮みたいな調理法からも
季節を感じ取れる子どもになってくれると
いいなと思う。
さてさて来週はどんなリクエストが
くるのやら。
地元に戻れば、駅前は
クリスマス仕様のイルミネーションが
美しいいちょうの木。
12月は「ラザニア」や「グラタン」が
食べたくなる。
「ぶり大根」や「おでん」もいいよね。
次に「おでん」のリクエストが来たら
金沢で買ってきた車麩を
使ってみようか。
一仕事終え、
孫たちの喜ぶ顔を後に、
そんなことを考えながら家路についた。
11月22日から24日まで
2泊3日で友人と金沢に旅してきた。
今回はホテルとエアチケットだけがついている
個人旅行だったので、
旅程のすべてを自分たちで計画し、
行動しなければならなかった。
なので、
だいぶ前からいろいろリサーチしたり予約して
22日の朝を迎えた。
金沢までは新幹線が通ったというのに、
そのツアーは飛行機利用で組まれていたので、
朝7時25分羽田発のJALに乗るべく
私は4時15分に起床し、
朝6時半に羽田空港第1ターミナルに到着した。
今回の旅の外せないテーマは
「金箔」「のどぐろ」「金沢おでん」「お麩」
そして
「大樋美術館」
要は金沢名物を食べることと
金箔を使った何かを自分用に買うことと
お茶関連の美術館にいくことだ。
天気は22日が曇り、23日が雨、
24日が晴れ後曇りと金沢らしいお天気、
「弁当忘れても傘忘れるな」のことわざどおり
常に傘は持ち歩くような天候だった。
それでも決して寒くはなかったので、
個人旅行ならではの歩いて歩いて
歩き倒すような3日間だった。
ちなみに1日目の歩数は18882歩
2日目、3日目は約1万歩なので、
食べては歩き食べては歩くの健康的な
旅程だったといえよう。
1日目は8時半には小松空港に到着し、
リムジンバスで金沢駅まで向かい
有名な鼓門で記念撮影したのは
朝9時半。
早っ!
初日のランチ
「TILE海鮮丼」の予約は12時だったので
それまで近江町市場に向かい
金沢の海鮮ものの値段をリサーチしつつ
「近江町コロッケ」で甘エビコロッケと
ガスエビのから揚げを立ち食い。
このガスエビのから揚げが思わぬ美味しさで
「さあ、金沢楽しむぞ!」という
気運が一気に盛り上がった。
「TILE」は私の希望で予約したのだが、
築110年の古民家でいただく
おしゃれな海鮮丼で、
ネタを自分で選び、
クリスタルの器に盛りつけていただく。
いわゆる「映え」を狙った
おとなのおままごとという感じなので、
私は「映え」を考え、紫のニットに
イギリスのアンティークのブローチを
つけてみた。
しかし、朝が早すぎて
顔が追い付かず、
映えていたのかいないのか。
微妙なところだ。
今回のお宿はホテル・インターゲート金沢、
2019年6月オープンの新しいホテル。
デザイナーズホテルなので、
シンプルかつ都会的、おしゃれなのに
接客も温かく、とても居心地がよかった。
ちゃんと大浴場もある。
夜、お茶漬けサービスもあり、
小腹が減った人はラウンジで
お茶漬けビュッフェも楽しめた。
もちろん私達も2日目の晩、いただいた。
1日目の午後は金沢と言えばの「兼六園」
ホテルからは「尾山神社」を経由し
「金沢城公園」の中を通って行けるので
歩いていくことにした。
季節柄、雪吊りがなされた樹木は
いかにも兼六園という風情だし、
散り敷いた紅葉が本当に美しい
赤・黄・緑のグラデーションになっていて
正に錦繍の秋。
そこまですこぶる順調に工程は進んでいた。
夕飯は金沢おでんを食べようと
香林坊でバスを下車し、
繁華街で適当なお店を探すつもりでいた。
バス停にいた女子学生に地図を見せ、
「このお店は歩いていくには遠いのかしら」と
声をかけてみた。
「おでんの三幸本店」はけっこう遠いので、
人気のお店に連れて行ってくれるという。
しかし、近くの「菊一」は火曜休みだった。
そこまで案内してくれただけでもびっくりだが、
その2人の女子学生は
「三幸本店」まで一緒に行ってくれるという。
そんなに親切にしてもらっていいのかしら。
だから海外から来た人が
日本人は親切だと感激するのねと
個人旅行ならでは出来事が嬉しい。
「三幸本店」は無事、見つかり、
まだ、5時15分なのにすでに行列だったが、
他に行くあてもなかったので並ぶことにした。
しかし、それから待つこと2時間半。
口の中におでんの車麩が入ったのは
なんと夜8時を回った頃だった。
おでんを食べるために2時間半も待ったのは
人生で初めてだった。
途中、何度か諦めようと友人に持ちかけたが
友人はどうしてもおでんが食べたいというので
待ちに待ったのだが、
出汁を含んだ車麩と牛串はとろける柔らかさで
お出汁も全部飲んでしまうほどの
美味しさだった。
その他の白エビのから揚げや、げそのから揚げ、
バイ貝のぬた、山芋の鉄板焼のいずれも美味で
2時間半の苦行の後の胃に心地よく収まり、
ビールが染みわたったことはいうまでもない。
2日目は全国的に大雨。
晴れ女の神通力をもってしても
止めることはかなわず、
金沢も昼前には雨が降り出した。
この日はまず大樋焼の家元作品を展示している
「大樋美術館」へ。
歴代の家元制作の抹茶椀などが並んでいる。
ここは知る人ぞ知るの場所なので、
ほぼ貸し切り状態で見学し、
すぐそばの「森八本店」にある
お菓子の木型の展示会場も鑑賞した。
2か所とも金沢の文化の象徴的存在だけど、
一般的ではないので訪れる人も少なく、
茶道をたしなむ人間には想いが深い、
そんな美術館だった。
その後は有名な「ひがし茶屋街」と
「主計町茶屋街」だったので、
こちらは傘を差した人・人・人。
そこで早々に雨宿りすることにし
ミーハー代表「不室屋カフェ」の
生麩の白玉とソフトクリームのセットを注文。
これが噂にたがわずの美味しさで
1日目の三幸のおでんに引き続き、
私の中でのグルメグランプリ受賞!
見た目もとても可愛く、
「映え」ぐあいもいい感じで大満足だ。
そして、ひがし茶屋街の「箔座ひかり蔵」にて
黒漆の器に金箔のお月様がどどーんとある
サラダボールと
金箔が貼られた樹脂の石ころネックレスを
お買い上げ。
かなり高い買い物だったけど、
クーポン6000円と旅割2泊で16000円の
合計22,000円が援助されるので、
つい気が大きくなってしまった。
夕方、金沢21世紀美術館にも行ったが
こちらはミーハーの極みだったらしく、
雨の中、若い人がわんさか押し寄せており、
無料エリアを鑑賞して、
有名な壁の前で記念写真を撮り、
早々に退散した。
2日目の夜はサッカーワールドカップの
対ドイツ戦。
にわかファンの私たちは部屋のテレビをつけ、
ニッポンの逆転勝利を見届けた。
思わず、ファミリーLINEにメールを送ると
娘ふたりが即効、反応してくれ、嬉しかった。
3日目は残すミッションは
のどぐろのひつまぶしを食すことと
国立工芸館を見学することだけだったので、
朝の出発はのんびり。
11時予約の「口福」の
のどぐろひつまぶしは期待通りの美味しさで
2番目夜の極普通の握り寿司を帳消しにし、
記憶の上書き保存ができた。
午後は「国立工芸館」に行き、
「ジャンルレス工芸」なる催事を観たが、
催事の内容より建物そのものや
近くの「いしかわ赤レンガミュージアム」など
日本とも思えない穏やかでクラシックな風景が
旅の終わりを締めくくってくれた。
金沢らしい食べ物のラストは
「加賀棒茶のラテ」と「加賀抹茶ラテ」だったが
隈研吾設計の黒いかっこいいカフェ「見城亭」で
いただいたラテは
器に溜め塗りのお盆や金箔張りの小皿が使われ、
その雰囲気も相まって
最後を飾るプチサプライズだった。
こうして帰りの飛行機に乗るため
小松空港に着いたのは夜7時。
機内持ち込みギリギリの大きさのスーツケースの
脇のファスナーを開け、更に膨らませた中に
お土産をこれでもかと詰め込み、
充実の2泊3日は無事に終了した。
個人旅行はなんでも自分持ちなので、
いろいろ大変なところもあったが、
結果、盛りだくさんの思い出ができ、
本当に楽しかった。
全国旅行割の恩恵にもあずかれたので
願ったりかなったりの旅行であった。
午前中に館内の仲通りギャラリーまで
友人の個展を観にいき、
その足で桜木町まで歩いた。
今日も天晴れな晴天で
歩けば汗ばむような日差しだった。
まずはブルク13という映画館で
お目当ての映画「あちらにいる鬼」の
チケットを入手し、
13時50分開始のその時間まで
ランチをとったり、ショッピングしたり
することにした。
ランチを外でとることは多いのだが、
大体はカウンセリングとカウンセリングの
合間だったりするので、
1000円が限度と決めている。
しかし、今日は仕事がらみではないので、
少し贅沢をしようと決めて、
牛タンの「利久」に行ってみることにした。
実は「利久」は最寄り駅のデパ地下にも
入っていて、
行こうと思えばいつでも行けるのだが、
やはり牛タンはそこそこの値段するので、
いままで暖簾をくぐらずにいた。
しかし、初めて食べた「利久」の牛タンは
とても柔らかくて弾力もあり、美味だった。
とりわけ、テールスープの味が秀逸で
気にいっている汐留の牛タン屋さんに
負けずとも劣らずのお味だ。
さて、肝心の本日の映画「あちらにいる鬼」だが
R15指定がかかっている大人向けの映画だ。
瀬戸内寂聴と井上光晴とその妻の間にあった
本当の話を元に、
井上夫妻の長女・井上荒野が書いた小説
「あちらにいる鬼」を映画化したものだ。
瀬戸内寂聴も物書きで
井上光晴も物書きで
その妻も実は少しはものを書く、
更にその娘・井上荒野も物書きなわけで、
そんな人間たちの実際にあった
現実のドロドロした男女の様を
つぶさに観察して書いた本なわけだから
面白くないはずがない。
映画では瀬戸内寂聴を寺島しのぶ
井上光晴を豊川悦司
その妻笙子を広末涼子が演じている。
監督・脚本は廣木隆一と新井晴彦だが、
寺島しのぶは「ヴァイブレータ」や
「やわらかい生活」などですでに組んでおり、
その映画作りへの姿勢は織り込み済みという
覚悟のほどがうかがい知れる。
つい昨年まで生きていた瀬戸内寂聴が
出家までして99歳で亡くなるまで
どんな風に生きていたのか
世間は皆、知っているだけに
役を通しても実際の出来事を生々しく
見せられているようで
想像をたくましくしてしまう。
映画のネタバレになるので
詳細は控えたいが、
映像としてはみはるが出家を決意し、
最後に篤郎と一緒にお風呂に入るシーンが
秀逸だった。
「髪を洗ってやろう」と篤郎が言い、
ふたりは向かい合い、数日後には剃髪される
肩の下まであるみはるの髪を
シャンプーのついた大きな手で
いとおしむように撫でている。
その後、剃髪のシーンでは
本当に寺島しのぶの髪にバリカンが入れられ
剃刀できれいに剃り上げられていく。
生きながらにして死んだはずのみはるだったが、
そんな僧侶になった後も
井上光晴とその妻との三角関係は続いたのだから
物書きというのは
おかしな人種だというしかない。
平成や令和にもそうした物書きがいるのか
私は知らないが、
いかにも昭和の物書き達の
常識を逸脱したドロドロさ加減と
破天荒さと達観と…、
そんな実在したお話の映画化である。
映画館は100名しか入らない小ぶりの会場だったが
ほぼ満席に近く、
多くのおじいさんとおばあさんが
観に来ていていささか驚いた。
70代80代の人にとっての
瀬戸内寂聴や井上光晴も気になるが
R15指定で濡れ場が満載のこんな映画を
どんな顔をして観ているのか
覗いてみたいような気持ちにかられた。
終映後、午後4時半のみなとみらいは
本日もほんのり夕焼けで
とても美しかった。
映画の中の蒸れたような空気を一掃する
清々しい風が海を渡り、
現実の自分はちっともドロドロしていなくて
もっとドラマティックだったらいいのにと
ふと思った。