2022年11月5日土曜日

洋食器シリーズ焼き上がり

 















10月半ばに釉薬をかけて、
本焼きに回していた器たちが焼きあがってきた。

今回は蓋のつく器が4種類もあった。
それらは釉薬をかける時に
かなりのテクニックを要したので、
ちゃんと焼きあがるか心配していた。

蓋のついた器は身と蓋を合わせた状態で
焼きに回すので、
電気釜の中で溶けた釉薬がたれて
冷えて固まった時にくっついて
蓋が開かないということになりかねないのだ。

今日の午後、まずは工房に到着してすぐに
所定の籠に入れられた器たちを取り出した。

なんと4つの蓋物すべてがすぐには蓋が開かない。
「えっ、どれもみんな失敗?もしかして」と
一瞬、目の前が暗くなる。

しかし、以前にもこういうことはあったので、
あわてず騒がず、
粘土を切る時に使う道具を
身と蓋の間に差し込み、
てこの原理でちょっと力を込めた。

するとほんの少しくっついていた身と蓋が
あっけなくはがれ、
蓋は4つとも無事に開けることができた。
まずは一安心。

今回は陶芸、つまり陶器で作る洋食器ばかり。
通常、洋食器は磁器で作られており、
こうした土ものの器ではない。

しかし、自らが決めた次のテーマが
「アフタヌーンティセット」だったので、
ティーポットやシュガー&クリーマー。
カップ&ソーサーにクッキープレート、
ボンボニエールやチョコレートプレート。

いずれも洋食器ばかりなので、
10年間の作陶期間で初挑戦のものばかり。

更に、「壁飾り」という課題も出ていたので、
そこのところはひいらぎのリースを
作ってみた。

こちらはちゃんと焼きあがってはきたが、
なんだか和風の渋いリースだ。

周囲のメンバーは褒めてくれたり、
「私、これ好き」などと言ってくれたが、
本人評価は「イマイチ」で
今のところ予想外の感じに出来上がった
とだけ言っておく。

予想外だったけど、
不思議な表情ではあるので、
じわじわと好きになるのかもしれない。

そんな風に
作り手自身の想像もしなかった風に
本焼きが焼きあがることは
よくあることで、
それが陶芸の面白みともいえる。

とにかく、蓋の付いた器が
使える状態に焼きあがっただけで
今回の焼成に関する心配が杞憂に終わり、
まずはホッとしたことだけは間違いない。

しかし、作ったものすべてが
使うに値するかというとそうでもなく、
実はカップ&ソーサー2組と
小さなチョコレートプレートは
デザインがダサすぎて写真にも撮ってもらえず
自宅のゴミ箱に直行した。

版画と同じで、世の中に出せないような
駄作を産み出してしまうこともあり、
そういう時はドラマで見る陶芸家のように
器を割ったりはしないが、
私の場合、見なかったことにして
即効、この世から抹殺する。

手間暇かけてもったいないとは思うが、
「ものつくり」としてのプライドは
守らなければいけない。

本日の出来高は
100点満点の70点あたりか。

抹殺決定で、本日、仕切り直して作陶した
カップ&ソーサーとチョコレートプレートの
素焼きが出来てくるのは
次回の作陶日。
釉薬をかけて本焼きが焼きあがるのは
2023年の1月。

版画も陶芸も工程はいろいろあって
出来上がるには日にちがかかる。

そこには「ものつくり」にしか
わからない喜びと苦悩があり、
時にはしょーもない駄作を
産み出してしまうこともあるのだ。
やれやれ。



























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