2026年2月26日木曜日

『亀』新作の本摺り

 




















今週は雨が毎日のように降るというので
俄然、本摺りをしたい欲望にかられた。

3枚同時に立ち上げたうちの2枚の
試し摺りと本摺りをするのが
2月のミッションでそれはすでに
クリアしていた。

しかし、この冬晴れ続きの中、
雨が降るとあっては黙っていられない。
何しろ、本摺りは湿度が命。

和紙の湿り気を保ちつつ
摺らなければならない本摺りにあって
外が雨降りなのは
願ってもないチャンスなのだ。

残念なことに日程的に一番大雨の水曜日は
お茶のお稽古で
家に籠って本摺りという訳にはいかない。
しかし、木曜日の午前中までは雨の予報。

私は取るものもとりあえず
水曜日の午前中に和紙の湿しと
絵具の調合をして、木曜日に備えた。

昨日の水曜日は叩きつけるような大雨で
外に出歩くのをためらうほどだったが、
何とかお茶のお稽古には行って
早めに失礼して帰ってきた。

完全に気分は『摺り師』モードで
一刻も早く摺りたいという気持ちがはやる。

たぶんこういう時はアドレナリンが出ている。
夜も全く寝付けなかったので
朝早く起きることにして
まだ、夜明け前の画室に籠った。

今回の摺りは『亀さん』が主役。
蓮の葉に乗ったら重みで少し沈んで
半身浴状態になった。

そんな亀を去年の夏に取材したので
作品化したものだ。

本摺りとは別に、
目下、制作している新しいHPに
制作風景の写真が必要で
木版ならではの「見当」の画像を
撮らなければならない。

他にも黒い蓮の葉の版か
水紋の濃紺の画像も必要なので、
本摺りをしながらも要所要所で
撮影にも気を回さなければならない。

幸いダンナはこの雨の中、
早朝からゴルフに出かけたので
ひとり静かに作業ができた。

しかし、ダンナは
案の定、10時過ぎには帰ってきて
「雨で中止になった」という。
別に摺りの邪魔立てするわけではないが
いないに越したことは無いというのが
正直なところ。

本日の摺りもノーミスで午後2時過ぎに終了。

ランチタイムにテレビをつけると、
凱旋帰国したオリンピックの
金メダリストのりくりゅうペアが
あっちの局にもこっちの局にも
出ている。

毎日毎日、SNSもりくりゅうペアばかり。
33歳の龍一君がわんわん泣いているのを
抱きしめてなぐさめる24歳のりくちゃん。

坂本花織の最後のオリンピックは
どこかに霞んでしまって
日本中、
りくりゅうペアの話題で持ちきりだ。

木原運送の場面も何度見たことか。
それにしても美しいフリーの演技。
信頼し合っているからこそのリフト。

そんなこんなをおばちゃんも観て
うっとりしつつも現実に戻る。

8枚の本摺りを仕上げて水張りをする。
みるみる色が明るくなり、
ちょっと亀が水の白に沈んで弱々しくなる。

そのことは織り込み済みだったが、
乾いてみて初めて
やっぱり亀が少し弱いかも…と思う。

絵具の濡れている時と乾いた時の明度差は
何十年摺っていても
その時々の水分量や重ねの色の染み込み具合
色による乾湿の明度さの違いなど
毎回、違うので本当に悩ましい。

とにかく新作の本摺りが終わった。

さあ、ダンナも帰ってきちゃったし、
晩ご飯は何にしようかな~。
ちゃんとキッチンに立とうとする自分に
ご褒美をあげたい気分だ。









































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