今日は楽しみにしていた歌舞伎鑑賞の日だった。
演目は鶴屋南北の通し狂言『心謎解色糸』(こころのなぞとけたいろいと)
運命の糸に操られた男女の想い 恋と野望が絡み合う大南北の傑作
とある。
午前11時に始まって、午後3時5分に終わるまで、
全編この作品だけの世話物のお話なので
歌舞音曲系の華やかさがまるでない芝居で
途中で寝てしまったりするとわけが分からなくなるので、けっこうきつかった。
一緒に行ったのは母代わりの古い友人というかおばあさまで
時々ご飯にいったり、おばあさまのコネで歌舞伎や新派などのチケットをとってもらい
観劇に出掛ける仲である。
久々の歌舞伎座だったので、私もキモノで出掛けた。
岩下志麻プロデュースの江戸紫の訪問着に金糸の波文様の二重太鼓という
けっこう気合いの入った格好で行ったのだが
岩下志麻プロデュースの江戸紫の訪問着に金糸の波文様の二重太鼓という
けっこう気合いの入った格好で行ったのだが
さすが歌舞伎座、会場には案外キモノ姿のお客さんが大勢入っており
中には半玉さんかなと思うような新日本髪に結った若い女性がいたりして
なかなか華やかだった。
しかし、役者が染五郎と菊之助がメインで、演目が地味な世話物なせいかどうか
1階のS席にはやや空席が目立ち、9割ぐらいの入りというあたりか・・・。
この内容で18000円の席を全部埋めるのはちと難しいのかもしれない。
10時半会場11時開演で、おばあさまとは席で落ち合うことになっていた。
お昼のお弁当は私が買っていく約束だったので、
東銀座の駅から銀座4丁目まで歩いて、まずは三越の10時半の開店を待ち
地下2階にダッシュして観劇弁当とお茶と和菓子を5分で買い求め、
また、東銀座の歌舞伎座まで駆けつけるという作戦を決行した。
同じことを考える人が大勢いるとみえ、
三越の地下1階入り口は10時25分には黒山の人だかりができ
何かのセールでもあるのかという騒ぎになってビックリ。
そのちょっと豪華なお弁当を35分もある幕間に広げ
自分の席でいただくのが、いつもの歌舞伎鑑賞のパターンだ。
お弁当を食べ終わる頃になると、
鯨幕の前に、隠れていた色とりどりの緞帳が降りてきて1枚1枚紹介される。
川島織物だの龍村だのの、日本刺繍や織物の贅をつくした美しい緞帳をながめながら
季節の野菜の炊き合わせや、穴子寿司などほおばるのは
歌舞伎鑑賞における楽しみのとひとつだ。
歌舞伎鑑賞における楽しみのとひとつだ。
長丁場の演目の途中で、ゆらり舟を漕いだりしながらも
歌舞伎座という特別な空間に身を置き、
非日常の時を過ごすのは
私にとって豊かで贅沢なひととき。
先週から続く個展のための作品創り、
昨日の子育て支援のベビーシッター、
明日のなでしこの会のケーキ作り、
その狭間にすっぽりはまった歌舞伎という異空間。
それはやっぱり日本人の心の栄養として、極上の異空間だと実感した。
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