2015年9月23日水曜日

団体展の審査

 
シルバーウィーク最終日の今日、
さわやかな晴天に恵まれたが、その恩恵は受けることなく、
私は上野の都美術館の地下3階に長時間、雪隠詰めにされて、
作品の審査に携わっていた。
 
日本版画協会の会期は10月6日(火)に始まるが、
その前に、一般の入選者を選び、
その中から今年の賞候補を選び、さらに受賞者を選ばなければならない。
 
何百という応募作品から入選作品と賞候補作品の選出は、
会の正会員の中の抜粋メンバー20名ほどで行われるのだが、
そこから先、受賞作品は全員の正会員の中から、出席に手を挙げたメンバーが
一堂に集まって、投票によって選出される。
 
少し前まではすべての工程を出席した正会員全員で、3日間もかけ
選出していたが、あまりに大変なので、粗よりする段階までは
毎年選ばれたメンバーだけで行うことになった。
 
そのメンバーにならなかった人は審査及び総会だけ参加して、
最後のいくつかの受賞者と準会員推挙・会員推挙の重要な決めごとだけ
自らの票を投じて参加することになる。
 
今日集まった正会員は70数名。
理事とかの役付でない平の会員にとっては、年に1度の集会なので、
まずは「おひさしぶりです」の挨拶から始まる。
 
絵描きという人種は本来ひとりで生きていることが多いが、
出身大学関係・職場関係・グループ展関係・別の団体展つながりなど、
それぞれ何となく派閥みたいなもので括られている。
 
朝の集合時間に挨拶を交わしつつも、何となく今日1日
長い長い審査時間を隣どおしで過ごす相手を見繕って、
ひな壇に並べられた審査用の椅子に着席する。
 
毎年思うが、この時の大人の駆け引きみたいな空気は緊張する。
 
今回はすんなり版17というグループ展の女性メンバーと隣同志で座れたので、
集団の中の孤独に陥ることなく1日を過ごすことが出来た。
反対側の左隣にも気さくに話せる女性がきてくれ、
3人で審査の感想を述べたり、四方山話をしたりして
長い1日を乗り切った。
 
10数年前、まだ準会員だった私はこの席に連なることは許されず、
まな板の上の鯉よろしく、正会員の人達が投じる1票やO×カードの挙手の数に
一喜一憂しながら結果を待ったものだ。
 
蒸し暑くて、空気がよどんだ地下3階の審査室には
集中して作品を見続けた血走った会員の目と、
昼のお弁当の後に一挙に襲ってくる睡魔とが渦巻いている。
 
でも、この清き1票こそが、
目の前にある作品と作者の運命を握っているのだから、
うつらうつら船を漕いでいる場合じゃない。
 
国会議員の誰かさんのように寝ていたり、つかみかかったり、引きずり下ろしたり
することなく、スマートかつ公正な審査員を務めなければ・・・。
 
今年も若い力みなぎる作品群を前にして、
私も頑張らねばと襟を正したのである。
 


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