シルバーウィーク最終日の今日、
さわやかな晴天に恵まれたが、その恩恵は受けることなく、
私は上野の都美術館の地下3階に長時間、雪隠詰めにされて、
私は上野の都美術館の地下3階に長時間、雪隠詰めにされて、
作品の審査に携わっていた。
日本版画協会の会期は10月6日(火)に始まるが、
その前に、一般の入選者を選び、
その中から今年の賞候補を選び、さらに受賞者を選ばなければならない。
何百という応募作品から入選作品と賞候補作品の選出は、
会の正会員の中の抜粋メンバー20名ほどで行われるのだが、
そこから先、受賞作品は全員の正会員の中から、出席に手を挙げたメンバーが
一堂に集まって、投票によって選出される。
少し前まではすべての工程を出席した正会員全員で、3日間もかけ
選出していたが、あまりに大変なので、粗よりする段階までは
毎年選ばれたメンバーだけで行うことになった。
そのメンバーにならなかった人は審査及び総会だけ参加して、
最後のいくつかの受賞者と準会員推挙・会員推挙の重要な決めごとだけ
自らの票を投じて参加することになる。
今日集まった正会員は70数名。
理事とかの役付でない平の会員にとっては、年に1度の集会なので、
まずは「おひさしぶりです」の挨拶から始まる。
絵描きという人種は本来ひとりで生きていることが多いが、
出身大学関係・職場関係・グループ展関係・別の団体展つながりなど、
それぞれ何となく派閥みたいなもので括られている。
朝の集合時間に挨拶を交わしつつも、何となく今日1日
長い長い審査時間を隣どおしで過ごす相手を見繕って、
ひな壇に並べられた審査用の椅子に着席する。
毎年思うが、この時の大人の駆け引きみたいな空気は緊張する。
今回はすんなり版17というグループ展の女性メンバーと隣同志で座れたので、
集団の中の孤独に陥ることなく1日を過ごすことが出来た。
反対側の左隣にも気さくに話せる女性がきてくれ、
3人で審査の感想を述べたり、四方山話をしたりして
長い1日を乗り切った。
10数年前、まだ準会員だった私はこの席に連なることは許されず、
まな板の上の鯉よろしく、正会員の人達が投じる1票やO×カードの挙手の数に
一喜一憂しながら結果を待ったものだ。
蒸し暑くて、空気がよどんだ地下3階の審査室には
集中して作品を見続けた血走った会員の目と、
昼のお弁当の後に一挙に襲ってくる睡魔とが渦巻いている。
でも、この清き1票こそが、
目の前にある作品と作者の運命を握っているのだから、
うつらうつら船を漕いでいる場合じゃない。
国会議員の誰かさんのように寝ていたり、つかみかかったり、引きずり下ろしたり
することなく、スマートかつ公正な審査員を務めなければ・・・。
今年も若い力みなぎる作品群を前にして、
私も頑張らねばと襟を正したのである。
0 件のコメント:
コメントを投稿