今にも雪が降ってきそうなどんよりした空模様。
1年で一番寒い季節。
行動も鈍るが、心も寒々しい。
しかし、いつまでも布団の中にいるわけにもいかず、
もそもそ起きだし、もそもそ朝ご飯と昼ご飯の間ぐらいのご飯を食べ・・・。
重い腰をどっこらしょと持ちあげ、何とか出掛ける準備をした。
そんな1日を過ごした人はきっと大勢いるだろう。
紛れもなく私もそのひとりだったわけだが、
今日は2ヶ月に1度の釉薬をかける日だったので、
陶芸工房に行かないわけにはいかなかった。
ここをパスすると次に釉薬をかけられるのが3月下旬になって、
4ヶ月分の作品がたまってしまうからだ。
午後イチ、完全防備の防寒態勢で鶴見市場の工房に行くと、
先生の他2名の男性会員の人達が黙々と作業していた。
火力の強いストーブの火の燃えさかる音と、
電動ロクロの低いモーター音だけが工房に響いていて、
何となく沈鬱な空気。
先生が4月に陶芸の個展を予定しているのに、作陶が全く進んでいないとかで、
その焦りやお疲れが、こちらにも伝わってくる。
去年のちょうど同じ頃、私も個展を4月下旬に控えて、
オブジェ作品の制作に目をしょぼつかせていたし、
首から左腕に走る神経を痛めて苦しんでいたのを思い出した。
個展というのはどんなジャンルの発表にせよ、
作者はまるで裸で会場に立っているようなもので、
全責任を一身に負う一大イベントなのだ。
陶芸の作品展の場合は売れなければ次がないということらしく、
「創りたいものを創って並べればいいというわけじゃないから」とも嘆いていた。
展覧会を観に来る人は作品の個性を期待するだろうけど、
買う人は「家で使い勝手がいい」とか、「こんな器が欲しかった」という理由で
買っていく。
そのあたりの折り合いをどうつけるのか、悩んでいるらしい。
私にとって陶芸は単なる趣味だから、
あくまで自分が使いたいもの、世の中に売っていないものという自分の基準で
好きに創ればいい。
でも、陶芸家という肩書きがつくとそうもいっていられない。
「大変そうだなぁ・・・」と他人事のように(他人事なんだけど)
先生を横目で見ながら、
自分の器には失透という白い釉薬と織部という渋いグリーンの釉薬をかけ、
本焼きに出す棚に並べた。
とにかく寒いせいか、
思考が凍えて、広がらないし、温まらない。
私は無難な釉薬を選択して、釉がけを終え、家路についたが、
今頃、先生はひとり工房に残って、作陶しているのだろうか。
まだまだ当分続くこの寒さ、
春を待つこの時期に人は内省し、成長するのかも。
人生、冬は修行やねぇ・・・。
ほんまに。
ほんまに。
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