庭師さんの作業2日目。
昨日、話していた隣町の取り壊しになった庭から出た由緒正しき御影石とやらが、
トラックに積まれてやってきた。
今回依頼した庭木の伐採とは全く関係ないのだが、
庭師さんの計らいで、和室のたたき窓から出入りできるようにするのに好都合と、
わざわざトラックを出して、取りに行き、運んできてくれたものである。
その石はさほど大きいわけではないが、
それでも男の人ふたりがかりで持ちあげられるような代物ではなく、
材木の大きな三脚を、
我が家の小庭と隣の引き込み延長の地所とにまたがって立て、
チェーンでつり上げ、少しずつ移動させるという手法で、
窓の下に設置された。
てこの原理と滑車の力を利用したその手法はみていてとても面白く、
ピラミッドの石を運んだり積み上げたりする方法と同じとか。
たったひとつの御影石をトラックから降ろして移動させ、
所定の位置に動かすのに、こんなに大変となると、
熊本城の石垣が元通りになるなんて、気の遠くなるような話だ。
作業の途中で出掛けてしまった私が帰宅したときには、
ごろりとした御影石はちゃんと和室からの踏み石に姿を変え、
もう1段低い石とでステップ状にしつらえられ、
脇には赤紫の花まで植えられ、
すっかり和風の小庭の風情になっていた。
同じ町内会のご近所さんだからか、元々の庭師さんのお人柄か、
金銭度外視で、手がけた庭、ご縁のあった庭は
長い時間かけて育てていきたいということのようだ。
花が咲くだけ咲いて、すっかり花の時期を終えたジャスミンは、
「どうしたらいいのかしら」とひと言尋ねたせいで、
帰宅したらすっかり剪定され、
元の木とわずかな枝だけになっていた。
よく見ると玄関アプローチのタイルも高圧洗浄してくれたようで、
白くなって垢抜けている。
なんだか建物の周囲がスカスカになって、
長年延ばしたロングヘアを一気にショートカットにした気分。
家の中に差す光の量まで増え、明るくなった。
自分の洋服や本、食器など、
主婦目線の断捨離は心がけてきたが、
庭木の伐採と物置の撤去。
これぞ家の断捨離だと感じ入る。
家の思いがけない大きな変化に、気分も変わり、
今日もまた清々しい気持ちになったのである。
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