何がよく分からないといって、家に関わる金額ほどよく分からないものはない。
毎日必要な食品や衣類、交通費とか光熱費、趣味のお稽古代とかは分かっている。
時折、清水の舞台から飛び降りるキモノ代や車代、
保険料とかも分かって使っている。
しかし、こと家に関する何かのリフォーム代や庭仕事の職人代など、
滅多に使うことのない費用はとんと分からずにこれまで生きてきた。
それが、昨年末、ダンナに頼らず自力でお風呂のリフォームをしたことで、
家に関する工事費用がいかに高額かを思い知った。
事の顛末をブログに書かせてもらったから、ご存じの方も多いと思うが、
当初、120万円の見積もりで始まった工事にいろいろトラブルが生じたため、
最後は遅延迷惑料として値引きしてもらい、90万円で手打ちとなった。
それから約5ヶ月。
今度は
突然、4年前に行った屋根の葺き替えと外壁の塗り替えを施工した業者が
たずねて来た。
何かその後の不具合でも見つけて、新たな工事を受注しようという魂胆か。
幸い、屋根にも外壁にも難癖をつける要因はなかったようだったが、
玄関脇の塗装がベラベラ剥がれてきているのをみつけて、
70がらみの人のよさそうなおじさんはこう言った。
「奥さん、玄関は家の顔なのに、これはちょっと見苦しくなってますね。
今、セラミックの塗装で決して剥がれないいいものがありますよ」と。
確かに日焼けした肌がポロポロむけてきているみたいな様子は
気になっていないこともない。
直射日光が当たっているところからニスが劣化して剥がれだしているらしい。
しかし、それよりもっと気になっているのが、経年劣化の激しい網戸だったので、
試しに「網戸の張り替えと、新しい網戸への交換はおいくらぐらい?」と
訊いてみた。
網戸の張り替えは1枚2000円。新規取り替えは1枚1万円だという。
意外な安さだった。
数年前、網戸は材料を買ってきて、ダンナと張り替えたことがあるが、
3枚張り替えたところで疲れて力尽きた記憶がある。
あの労力を考えると1枚2000円で材料費込みはとても安く感じる。
生協の網戸張り替えサービスでさえ、小降りのもので3000円だ。
ついでに玄関脇の塗装工事の見積もりを出してもらうと、
最初は値引きしても10万円だというので、高くてできないとごねてみた。
すると、最終的に網戸の新規2枚と張り替え3枚、そして塗装工事を税込みで
9万円ポッキリでという値段を出してきた。
「まあ、そんなものか」と漠然と納得して、工事をお願いすることにした。
最初にふたり組のおじさん達がやってきて、新規の網戸交換と張り替えをしていった。
障子に隠れていて頼み忘れていた和室の小窓の網戸も張り替えてくれ、
それは無料サービスだという。
『何だ、意外と良心的な業者じゃない』
そして、次の日、塗装工事担当の陽気なおじさんと
日本語がほとんどわからないアジア系のお兄ちゃんとのコンビがやってきた。
アジア系のお兄ちゃんはほんとに助手しかできないらしく、
ワイヤーブラシで古い塗装を剥がすぐらいの仕事しかしていない。
その後は剥がれ止めの液を塗って、セラミックの塗装を施す。
所要時間約2時間。
思った以上に短時間だ。
この作業に一体いくらが計上されているのか見積書をしげしげ見直した。
64000円とある。
そりゃ、高すぎるだろ!
網戸の張り替えで儲けるつもりはないとおじさんは言っていたが、
こっちでふっかけて稼ぐつもりだったのかと、ムラムラ怒りが湧いてきた。
翌朝、担当のおじさんが電話してきて
「いかがですか。網戸と塗装はお気に召しましたか」と訊いてきたので、
「どんなに材料費が高かろうとも、塗装の2時間の作業時間でこの値段は高すぎる」と
出来上がりに不満があるわけではないのに一応、文句を言ってみた。
すると
「じゃあ、私の独断で1万円のお値引きというのではいかがでしょう」
「いや、私としては半額でもいいぐらいと思っているのよ」というと
「そんな無茶な」と電話の向こうで困った様子。
「じゃあ、2万円引きというのはできますか」ともう一押ししてみると、
遂にはおじさんが根負けして、税込みの7万円に落ちついた。
持ってきた領収書は9万円のままだったから、2万円はどう経理処理されたのか、
おじさんがかぶったのかどうか、そこまではわからないが、
何とか値引き交渉は落ちつくところに落ちついた。
この歳になると、不明瞭な請求に屈しないという強固な態度が
板についてくる。
泣き寝入りとオレオレ詐欺にだけは気をつけよう!
そう、気持ちを引き締め、
財布のヒモも引き締めなおしたのであった。
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