朝起きて、階下におりてテレビをつけたら、
体操の団体が金メダルをとったと大騒ぎになっていた。
予選で内村が鉄棒から落下したりして、4位発進だと聞いていたので、
「団体の金を目指して頑張ります」とか目標に掲げていたけど大丈夫かなと
不安に思っていた私はにわかに活気づいた。
実はオリンピックの競技の中でも男子の体操はもっとも好きな種目で、
内村航平はもちろん絶対王者だし、
白井健三君も物怖じせずきっと凄いことをやらかしてくれると期待していたし、
加藤凌平君もハンサムでもの静かだけど、やるときはやってくれると思っていた。
そうしたら、決勝では本当にそのとおりの結果になったようで、
今日一日はテレビのザッピングをしながら、
彼らの活躍ぶりをしっかり見届けなければと、方向性が決まった。
なにしろ気温は朝の段階で30度を超しているし、
予想では横浜の最高気温は37度だというから、
これはたとえ買い出し程度でも外に行かない方がいい。
そう決めて、ペットボトルの水を抱きかかえ、アトリエに入り
彫り台の前に座り込んで版木に向かった。
8月に入ってから、新作の彫りに着手し、12面ある内の4面は彫り終えた。
1面クリアするとカレンダーに「1面クリア」と書き込み、
それなりの達成感と共に1日の仕事を終えるのだが、
12面クリアまでにはまだまだ時間がかかる。
木版画の作業工程の中で、彫りの作業は寡黙だし、
絵の具とかも出てこないから、目に見える華やかさもないし、
単に途中の作業にすぎない職人仕事だ。
テレビで内村航平が金メダルを手にして、
「すっごく重たいです。今までに手にしたメダルの中でも、みんなの頑張りみたいな
よくわけの分からないものも入っているから、2倍重たい」みたいな
コメントをしていたが、
版画の彫りのパートも日々の努力・下支えという点では同じかもと思った。
私達は最後のパフォーマンスしか知らないけど、
オリンピックに出ている選手達が、期待を背に、
毎日、積み重ねた練習はいかばかりだろう。
スランプやプレッシャーや怪我など、
計り知れない努力と苦悩のはてにつかんだオリンピックの出場権に違いない。
そんなことに思いを馳せながら、
クーラーを効かせたアトリエで、
テレビから流れる体操ニッポンの快挙のニュースをBGMに、
(もちろん柔道の金、ジョコビッチの初戦敗退の涙などのニュースもあった)
(もちろん柔道の金、ジョコビッチの初戦敗退の涙などのニュースもあった)
1日中、版画を彫っていた。
誰しもひとり黙々と目標に向かって、日々頑張っているんだ。
その血のにじむ努力の果てにつかんだ栄光なんだという、
美しい話に酔いながら、
「私も頑張ろう!」と独り言をつぶやいて・・・。
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