温かな晴天に恵まれた今日、横浜のロイヤルパークホテル「鳳翔」の間で
私が非常勤講師をしているパティシエ学校の卒業式が行われた。
そこのパティシエ学校は蒲田に調理師専門学校が兄弟校としてあるので、
合同の卒業式と謝恩会である。
ここの非常勤講師をするようになって10年以上経つが、
今回初めてキモノを着て出席することにした。
非常勤講師と言っても、年に10回ほど、それも前期にしか授業がないので、
卒業式の時期には、授業から離れて半年もの年月が流れており、
年間通して教えている先生に比べたらお客様的な存在だ。
しかし、今回の学生は名前も顔もよく覚えている率が高く、
就職の結果も気にしていたので、
キモノを着て気合いをいれていっても大丈夫かなという感触をもっていた。
それは今回から記述式のテストを実施し、成績をつけるようになったからで、
単に一方通行で授業をしていた今までの学生より、
密な交流があったからだと思われる。
予想通り、謝恩会の席で、「先生のお陰でちゃんと就職できました」との報告や
「あの授業、すごく役立ちましたよ」との声をたくさん聴け、
記述式のテストの採点に苦慮した甲斐があったと感じた次第だ。
卒業式は延々2時間、成績優秀者の表彰に時間が費やされるので、
講師陣はひな壇の上でくっつきそうになる両のまぶたを開けておくのに必死だった。
しかし、読み上げられる名前に覚えがある学生が、袴姿に身を包み、
壇上で表彰状を受け取っている姿は凛々しくて、
これから社会人として巣立つ気概に溢れていた。
そして、最後に合唱する校歌は、半ば歌詞を見なくても歌えるほど、
なじみ深いものになっていることに自分でも驚いた。
1時間の休憩を挟んで、同じ会場を謝恩会式場にセッティングし直し、
学生と先生が入り交じり、料理や飲み物を手に歓談するとき、
半年前に別れて以来の久しぶりの面々が、正装し大人びて見えるが嬉しかった。
最後は学生達の作るアーチをくぐり抜けながら、
講師陣があちこちで学生と手を取りあったり、ハイタッチしたりしながら、
これからの門出を祝福しつつ、エールを送るのだが、
今年は今までで一番手を取った学生の数も多く、印象に残る学年だった気がする。
パティシエや和菓子職人、パン職人、
いずれも厳しい職場だと聞いているし、
その割にお給料が少なく、3年以内にやめてしまう子も多いと聞く。
今日が晴れやかさのピークで、4月からの現実に押しつぶされたりしないよう、
幸多かれと母親のような気持ちで送りだしたのだった。
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