2017年11月14日火曜日

第六十九回 湘南同好会茶会

 
 
 
今にも空から雨粒が落ちてきそうな今朝9時前、
人気のない鎌倉の鶴岡八幡宮の茶室前に到着。
 
今日は表千家千家茶道の神奈川支部、湘南同好会のお茶会である。
 
お社中の中でウィークデイでも動けるということで、先生からお誘いを受け、
ふたりで参加させていただくことになった。
 
他に1番弟子の方のご実家のお母さんが福島から総勢12名で見えるとか。
いずれも着物着用、お客さんの所作は出来て当たり前の特別な空間だ。
 
お茶席4席と点心席があり、
中でも定刻より早めに始められる先生のお席を狙って、集合。
効を奏して、1回目のお席に入ることが出来たので、その後も万事順調に進み、
午後1時半には全てのお席に入ることが出来、
合計4服のお茶と5種類のお菓子をいただくことが出来た。
 
しかし、半生菓子を3つもいただくというのは、実はかなりハードで、
席入りの際はバッグを手放すので、
出されたお菓子はお腹の中に収めることになるのだが、なかなかにしんどい。
 
以前もこのようなお茶会に伺ったことはあるが、そんなにはお茶も飲めないし、
お菓子も食べられないと、2席かせいぜい3席回って、
後は点心を食べておしまいということが多かったが、
今回の先生は非常に熱心な先生なので、全席制覇が当たり前らしい。
 
いずれのお席も現在の家元や先代の家元の箱書き付きの蒼々たるお道具が
きら星のごとくに並び、目もお腹もいっぱいいっぱい。
 
世の中にはこんな凄い世界があるんだなと今更ながらに驚嘆のひと言だ。
 
しかし、どのお席も写真をパチパチ撮ることは暗黙の了解で許されていないらしく、
ブログにアップできないのが残念無念。
 
どのお席も目玉のお道具(おご馳走という)はあるのだが、
印章深かったのは、常陸席という男性の席主、男性ばかりのお点前と半東のお席で、
煤竹の茶筅3千本を燃やして作ったというたばこ盆の灰だった。
(30本でも300本でもなく、3000本の茶筅だ)
 
たばこ盆なんて現代で見るとしたら、時代劇か歌舞伎ぐらいだろうが、
昔は四角い持ち手のついた箱に火入れとタバコ入れとパイプ2本をセットにして、
お正客(1番偉いお客)の脇に置いておく。
 
今は実際にタバコに火を点けて飲むなんてことはないのだが、
それが置かれていないと茶席の恰好が取れない。
 
その直径12センチぐらいの陶器の火入れ、
大ぶりの湯呑みのような形で中に灰を入れ、山型形を整え、
真ん中に小さな炭を置き、火種にする。
 
その灰。
通常、灰は灰色、つまり、ベージュのようなグレーのような・・・。
しかし、煤竹の茶筅を3千本燃やして作ったという灰は青みがかった灰色だった。
 
陶器製の火入れの内側が薄いブルーだったので、
何とも不思議な趣で、亭主のこだわりを感じるひと品だった。
 
他の例えば、桐の白木の楚々としたお茶入れに鳳凰の絵柄が描かれており、
蓋を開けると中はすべて金貼りとか、
絽縁と結界は共に聚光院本堂の古材を使って造られただの、
先代の家元の覚入作の赤楽の茶碗だの、
家元直々に77歳のお祝いの時に書いてもらって『寿』のお軸だの・・・。
 
もはや、覚えきれない。
 
この湘南同好会のお席はいいお道具が出るからと、お誘いいただいたのだが、
猫に小判というか、豚に真珠というか、
何だかいいものをたくさん見すぎたせいと、
正座のし過ぎと、着物で肩が凝ったのとで、帰ったらドッと疲れが出てしまった。
 
深くて遠いはお茶の世界。
 
30数年、お茶のお稽古には通っているはずだが、
まあ、不思議ワンダーランドだと本日も思った次第である。
 
 
 
 
 
 
 

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