2017年11月21日火曜日

顔見世大歌舞伎 鑑賞

 
 


 
11月に着物を着てお出掛けするのは4回目。
本日は歌舞伎鑑賞。
 
例によって2列目ど真ん中のお席をとってくれる有能な助っ人とともに、
11月の歌舞伎座『吉例 顔見世大歌舞伎』の昼の部を観に行った。
 
幸いお天気もよく、秋の突き抜けるような青い空に映える
乱菊の柄のブルーの着物。
 
個性の強い着物にすべては合わせて、帯も帯揚げも帯締めも色味を抑え、
黒地の道中着を着用。
自分でいうのもはばかられるが、ちょっと普通じゃないよね感ハンパなし。
 
今日はテレビ収録が入っていて、何台もカメラやマイクが置かれている他、
会場のお客さんも評論家っぽい人や声をかける人も多く、
なんとなくいつもとは違う雰囲気だった。
 
着物を着ている人はさほど多くはなく、
そのせいか、ジロジロ見られているという印象だ。
まあ、もちろん私の単なる自意識過剰なんだとは思うが・・・。
 
演目は染五郎の『鯉つかみ』
吉右衛門の『奥州安達原』
菊五郎の『雪暮夜入谷畦道』
 
もちろん主役の役者の他にもたくさんの役者が出てはいるのだが、
この3人の個性にぴったりはまる役どころの演目という意味。
 
『鯉つかみ』は先代の猿之助が得意とした中吊りあり、大立ち回りあり、
早変わりありで、
本物の水が大量に使われる、これぞ正に歌舞伎というような
ケレンみたっぷりのダイナミックで楽しい作品。
 
前列3列目まではビニールシートが配られ、
まるで八景島シーパラダイスのイルカショーだ。
 
しかし、肝心の染五郎は立役者として少し小柄な上に表情が乏しく、
凄みみたいなものが足りないので、ちょっと物足りない。
 
舞台の演出自体は大仕掛けで素晴らしいので、
尚のこと、残念だ。
 
来年早々、幸四郎、染五郎は親子三代の襲名披露公演が予定されているから、
これからの歌舞伎界をしょってたっていく役者なんだけど、
持って生まれたオーラや存在感みたいなものは
出せといって出せるものでもなく、いかんともし難い。
 
2番目の演目『奥州安達原』は吉右衛門の十八番の役どころとかで、
たしかにはまり役とはこういうことかと思わせる安定感だ。
 
出ずっぱりの子役金太郎君(染五郎の子)がいい仕事をしていて、
まるで女の子のような容姿と健気な感じが役にピッタリ。
1月2月の襲名公演も楽しみだ。
 
3番目の演目『雪暮夜入谷畦道』は
菊五郎の片岡直次郎、時蔵の三千歳が
これ以上の配役はないと思わせるはまり役。
 
江戸の粋でいなせなちょい悪オヤジをやらせたら菊五郎に勝る人はいない。
同じく粋で色っぽくて少しはすっぱな芸者や女将をやらせたら時蔵はピカイチだ。
 
先ず、最初の場面が蕎麦屋の店先なのだが、
そこでは客が本物の蕎麦をすすり、キセルでタバコを吸うシーンが出てくる。
 
蕎麦を茹でる湯気や香り、タバコの煙や匂いまでもが会場に漂い、
江戸の入谷の庶民の暮らしを彷彿とさせる。
 
蕎麦と燗酒を注文した直次郎(菊五郎)が、おちょこの中の虫を箸でつまみ出す
そんな小芝居も定型のものらしく、
そのしぐさの直前に大向こうから「待ってました!」の声がかかった。
 
江戸時代からそうやって芝居を受け継ぎ、
型を作り、お家の芸を高めてきたんだということを、ふと感じることが出来た。
 
11月の『顔見世大歌舞伎』というのはそういうこと。
 
歌舞伎界の大御所達がそれぞれのはまり役を演じ、
連綿と続く家の芸を披露する場なのである。
 
 
 
 
 
 

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