最近のブログは志帆関連のものが多く、
版画は創っていないのではと思われているかもしれないが、
何とか、2枚接ぎの大きな作品の後も、2月に新作を立ち上げ、彫っていた。
大きな作品が出来てしまうと、ホッとして気が抜けるのは否めないのだが、
6月のグループ展までに、もう2点は最低でも創らなければならない。
今週の火曜日に、2枚接ぎの案件に、無事、めどが立ち、
作品を額縁屋さんに渡してしまったので、
気分も上々、週の後半は新作の試し摺りと本摺りを一気に進めることにした。
時計草をモチーフに使っているので、
ある程度は時計草のリアルな色を使用することにしたのだが、
意外と背景に使うつもりの色としっくりこなくて、
試し摺りをやり直した。
色は大きく言って2つのグループに分かれる。
ブルーアンダートーンとイエローアンダートーンのふたつで、
白と黒と、白と黒だけで出来る無数のグレーを除いては、
どんな色も青を隠し持っているか、黄色を隠し持っているかで、
どちらかのグループに分かれる。
例えば、黄色とひとくちにいっても、
レモンイエローはブルーアンダートーンで、
卵色はイエローアンダートーンだ。
青み群はクールでさめざめとしているし、
黄み群は温かみがある。
お洋服も、スカートとブラウス、スーツとインナーなど、
組み合わせる色は同じアンダートーンの方がなじみがいいし、センスよく見える。
絵画に使う色も大きな面積を占める色はアンダートーンを整えた方が、
配色センスのいい、まとまった作品になる。
今回の作品でいえば、時計草の牡丹色や青紫系の色はブルーアンダートーンだ。
従って、背景にもブルーを隠し持った茶を使いたいところだが、
茶はそもそも黄色を隠し持っているので、青みに倒すのが難しい。
結局、小豆色という正に小豆のような赤ワイン色のような色に白を足し、
背景の1色目にした。
井村屋のあずきバーみたいな色だ。
その上に無彩色の黒を重ねている。
先日、木版画家はひとりではなく、たくさんの人やモノに支えられて、
作品が生まれていると書いたが、
試し摺りと本摺りの作業に関しては、本当に孤独な戦いだ。
色には正解がないし、
どんな色を使うかは、作者しか決められないのだから、
ひたすら、ひとりごとをつぶやきつつ、
粛々と色を決め、黙々とばれんを動かし、摺り続けるしかない。
目と手と頭はめまぐるしく動いて、
作品は徐々に最後の1色に向かって、少しずつ出来上がっていく。
その間にもうひとつ決めなければならないことがある。
作品タイトルである。
作品タイトルは彫っている内から決まるような時もあれば、
本摺りが終わっても、浮かばないこともある。
今回はどちらかというと後者で、
なかなかピタッとくるタイトルが思いつかずにいた。
漢字一文字系のタイトルにしようと思うのだが、
この作品を表す漢字とは・・・。
年末の「今年の漢字一文字」をひねり出すような気分で、
昨夜も寝ながら考えたが、なんだかこれっというような漢字が出てこない。
作品は華やかな印象だけど、「華」と「凛」は以前に使ってしまったし、
昨年の「明」と「快」というほど、明るくポップでもない。
悶々としながら、とうとう最後の1色を摺るところまでいって、ようやく閃いた。
「雅」(みやび)はどうだい。
「そだね~」とは誰も応えてはくれなかったが、
なかなかいいのではないか。
色使いが日本的な感じもするし、黒い背景で、画面が重たいから、
漢字自体も字画が多い方がいいので、
「雅」はしっくりくるタイトルだと思う。
タイトルが決まると、これまた、ホッと一安心なので、
この新作も気持ちよく仕上げの水張りすることが出来た。
大体、一安心すると甘いものが欲しくなるのが常で、
額縁屋さんの帰りには「和栗モンブラン」を買って帰ったが、
今日は日本画的な作品なので「今川焼き」にしようと思う。
(小品だからね、贅沢は出来ないしね~)
(そだね~と、独りごち・・・)
あんこ、最高!
今川焼き、コスパ最高!
お疲れ!本摺り。
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