2018年3月16日金曜日

対の作品 本摺り

 
 
先週、試し摺りと本摺りをした『雅』という作品と、
対になる作品の摺りを、今週は行った。
 
私の中では、2月初めに、2点同時に原画を起こしているので、
対の作品という気持ちではいるが、
もちろん独立した作品で、特別な関連性はない。
 
観た方は勝手に「私はこっちよりそっちが好き」みたいなことをいい、
「我が家にはそっちよりこっちの方が合う」みたいな感想を述べて、
大抵は1点だけお求めになる。
 
それで全然構わないのだが、
内心は「対でお嫁にいってくれると嬉しいんだけど・・・」と思っている。
 
さて、先週の『雅』は最後の最後まで、タイトルが決まらなかったという話を
先日のブログに書いた。
 
しかし、今回の作品タイトルは試し摺りをとっている最中に早くも決まった。
 
『麗』に決定。
 
『雅』に対抗できる漢字で、意味合いも美しく、字画も多めのものというと、
私の中では『麗』の一文字がピタッときた。
 
当然、試し摺りの段階から、頭の片隅に『麗』のイメージを膨らませて、
色を選択していくことになる。
 
麗という漢字は、中国では美人の象徴ともいうべき漢字で、
女の子が生まれたとき、「美しくあれ」と願う親が、好んで名前に使うらしい。
 
日本でも麗子さんとか麗美さんとかいう名前は、
可愛いというイメージより、美人という印象をもっているがどうだろう。
 
この作品は『雅』が本来の時計草にある牡丹色や紫を使用しているのに対し、
実際には時計草にはない色を使用している。
 
品種改良などなされて、実際にはあるかもしれないが、
我が家の庭には牡丹色と紫系の2種類しか咲いていないので、
こちらの作品の時計草は想像上の花色ということになる。
 
なので、一層、「『麗』って感じってどうよ?」と自分に問いかけながら、
色をチョイスしていかなければならなかった。
 
結果的には、少し緑みがかった黄色と紫という補色をぶつけ、
ひとつだけみかん色のようなオレンジの花をポイントに使うことにした。
 
背景の色にはレモン色と浅葱というブルーを使っているので、
全体にはクールな感じになっただろうか。
 
「美人はクールな方がかっこいいわ」などと、
例によって、アトリエで独り言をつぶやきながら、
昨夜から、今日にかけて、本摺りも済ませた。
 
花が上から下がっている構図なので、
いわゆる「上から目線」とも言える。
 
「美人は時に上から目線よねえ・・・」と、またまた、ひとり物語の中に没入しながら、
また1点、新作が完成した。
 
この作品の発表は6月初めの紫陽花展になるだろう。
 
これで2月3月に自分に課していたミッションはクリア。
 
せっかちな性分なので、
余裕でクリアできると気分がいい。
4月初めの旅行に勇んで出掛けられるというものだ。
 
しかし、昔から、こんな感じで余裕かましてテストに臨んで、大した点が取れない私、
詰めが甘いのは一生治らないに違いない。
 
さて、この作品、詰めは甘くないか、
今から厳重チェックである。
(といっても、今更、手直しなどできないのが版画の本摺りだけどね・・・)

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