かつて月に2~3度は銀座でランチをしていた時代がある。
子ども達が中高一貫の私立の学校に通っていた頃。
広尾にある会社で
コミュニケーションスキルの専任講師をしていた時期とも重なり、
何かと外で贅沢なランチをいただくことが多かった。
しかし、そんな時代は遙か昔。
今はママ友ランチの機会や
仕事仲間との会合ランチやディナー、
趣味友との食事会など、
ぱったりなくなった。
そんな交友関係の中、
年に数回だけ会うママ友のグループがある。
娘同士の交友は、今や皆無に近いのに、
当時、同じクラスの役員ママだったグループだけが、
卒業から16年もの年月が経ったにも関わらず、
続いている。
今日はその内のひとりが
銀座で日本刺繍のグループ展を開催しているのに合わせ、
4名が集合した。
もちろん刺繍の作品を先ず拝見し、
その後、銀座1丁目まで移動し、
レストラン オザミという
フレンチレストランでコースランチをいただくことになった。
毎回、どこで食事するかは
その年の幹事さんが選定してくれるのだが、
今回は肝心の幹事さんは出席できず、
レストランだけを予約してくれていた。
なので、私達4人の中で
このレストランを知っている人は誰もおらず、
どんな所か、どんなお味か、
全く知らずに行ったのだが・・・。
そこは期待以上に美味しく、オシャレで、
ストーリー性があって、凝っていて、
しかも、
リーズナブルなお値段だった。
コースには
花・鳥・水面・大地・雪崩などとタイトルが記され、
それぞれメインに使われている食材だけが、
ラディッシュ・サーモンとトマト
フォアグラと栗・洋梨とキャラメル
マスカルポーネとカシス
などと書かれている。
メインのお皿は
巻物=吉田豚のフィレ肉
艶美=仏産バルバリー鴨の胸肉
十人十色=本日の海の幸(真鯛のポワレ)
私達は全員なぜか吉田豚のフィレ肉を注文したので、
他のメイン料理を見ることが出来なかったが、
1頭飼いの豚のフィレ肉に
その豚で作ったベーコンが巻かれていて、
実に弾力のある肉質をもち、肉の旨みを上手に閉じ込めた
美味しいひと皿だった。
最後のデザートもラップされていたセロファンを取ると
ホイップされたマスカルポーネのクリームが崩れ、
カシスのムースに雪崩のようにかかるという
演出がなされていて、
見るものを驚かせた。
その上、お味も
カシスの酸味、マスカルポーネの濃厚なクリーム、
隠れて出てくるチョコレートなど、
いろいろな味のハーモニーが楽しいひと品だった。
今まで何十年も銀座ランチをしてきたのに、
なぜか私を含め、ママ友達も
このレストランを知らずにいたが、
これからまた来てみたいと思わせる
美味しいお店発見という感じだ。
ぐっと減った有閑マダムの銀座ランチ。
みんな暇じゃないし、
歳と共に、遠くまで出歩くのがめんどくさくなってるし、
フレンチなんて胃がもたれると感じているが、
そのどの理由も蹴散らして、
たまにはこういう時間もいいもんだと、
マダムのおしゃべりと飽食は夕暮れまで続いたのである。