2022年7月10日日曜日

ホリデーは彫りデー

 










私のホリデー(日曜日)は
版画の彫りデーになることが多い。

最近はウィークデーと土曜日に
カウンセリングが入っていることが多く、
他にもパティシエ学校の非常勤講師や
シポリンワークやお茶や陶芸などに
忙殺され、
なかなかじっくり彫り台の前に
座り込むことが出来ずにいる。

彫りという作業は
転写された下図に沿って
木版の版木を彫る作業なので、
とても職人的なパートになる。

何十年も彫っているので、
間違えて彫るとか、
真っすぐ彫れないとか、
くねくねしたところが難しいなど、
彫る作業自体に苦労するところはなく、
手は忙しいが頭は開いているので、
私にとって彫っている時間は
考え事をしている時間ともいえる。

ここ数日で、
お目にかかったクライアントさんとの
やり取りを思い出したり、
お茶の講演会の講師の話や
お茶のメンバーとのおしゃべりを思い出したり、
パティシエ学校の学生とのやり取りを
思い出したりしている。

そこで思い出したのが、
金曜日のあの衝撃的な事件のことだ。

7月8日の金曜日は
パティシエ学校の夏休み前、最後の授業だった。

1コマ終えて、ランチタイムに講師室で
お弁当を食べている時だった。
遅くに講師室に戻ってきた女性講師が
スマホを見ながら
「えっ、安倍さんが銃で撃たれて心肺停止だって」
と、言ったのだ。

お弁当を食べていた私を含む4人の女性講師が
即座にそれに反応した。
「日本も遂にそういう事件が起きる
国になったのね」
「長期政権だったから
相当、恨みをかっていたんじゃない」
「もりかけ問題では自殺者もでているしね」
「個人の犯行?それともバックに何かの
団体とかがいるのかしら」
「もしかして、反社?」などなど…。

講師陣の反応は
押しなべて安倍さん本人に対する是非ではなく
銃で撃たれて倒れたことへの驚きだった。

安倍晋三さんは1954年生まれの67歳。

実は私も同じ年生まれだ。

同じ年生まれの有名人は
先ごろ、日大の理事長になった林真理子や
松任谷由実、片岡鶴太郎、古館伊知郎、
シェフの三國清三らが思い浮かぶ。

かなりの多士済々ぶりだ。

各界でまだ精力的に仕事をこなし、
いずれも影響力の大きさを発揮しているさ中だが、
彼らは自分が
いきなり後ろから銃で撃たれて死ぬなんて、
考えたことがあるだろうか。

ちょっと話が飛躍しているが、
同じ年だというだけで、
我が身に引き換えて考えてしまった。

私は人の死はある程度、予兆があって、
徐々に覚悟をして受け入れるのがいいと
思っているのだが、
一方で、ピンピンコロリではないが、
あまりに長患いで、いい加減死にたいと思うほど、
闘病したりするのは嫌だというのが
一般的な意見だろうか。

しかし、いくらピンピンコロリがいいと言っても、
いきなり後ろから銃で撃たれて死ぬなんて、
誰も受け入れられない死にざまなのでは
ないだろうか。

犯人は母親がのめり込んだ宗教団体のせいで
家が破産に追い込まれ、
成敗してやると思ったと供述しているらしいが、
個人的な思想信条に恨みをかったのなら
ともかく、
その理由で標的にされ、命が絶たれるなんて
許されることではないだろう。

「矢面に立つ」「筋違い」という言葉が
脳裏に張り付いて、
人の命の唐突な終わり方に胸が痛んだ。

投票日の今日、家では家人が
「これで自民党に同情票が集まるんじゃないか」と
日本人のウェットな感情を憂いているが、
私はそれとは一線を画して、
慎重に1票を投じよう。

個人的には誰かの恨みをかって、
いきなり刺されたり撃たれたりするようなことは
していないと思うが、
世の中、何が起こるか分からない。

今日1日を粛々と
悔いなく生きていこうと思う。











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