今日は家で「おうち作陶」
先週の陶芸の作陶日に
2つ(1.6㎏)粘土を買って持ち帰った。
これを使って「くり抜き」という技法で
何か作品を作りたかったのだ。
陶芸工房に行く日は月に2回しかないし、
しかも、掃除含めて3時間半の時間内では
作れる点数も限られる。
最近、私は電動ろくろに挑戦するにあたり、
何人かの陶芸家のYouTubeを見ているのだが
その中で橋本忍さんという札幌の陶芸家が
紹介している器におもしろいものを見つけた。
動画は電動ろくろに必要な
「芯出し」と「鬼殺し」というやり方が
知りたくて見始めたのだが、
今はそれ以外にもたくさんの動画がアップされて
いることを知り、
次から次へと見比べているところだ。
電動ろくろでは思った以上に力が必要で
確かに巨大な器を創るような陶芸家に
女性はいない。
現に電動ろくろの動画を上げている人も
ものの見事に男性ばかりの男社会なのだ。
とはいえ、女性で陶芸家を名乗って
作品を発表したり売ったりしている人は
いるわけで、
私も11年も趣味とはいえ作陶してきたので、
こうなると女性にしかできない作陶を
してやろうじゃないかと
半ば、けんか腰だ。
札幌の橋本忍さんは忍さんという名前だが
男性で、
他のマッチョな男性陶芸家に比べると
細身で元ロックをやっていたらしく
壁にエレキギターが飾ってあり、
腕には刺青がはいっている
ロン毛で茶髪のやんちゃな陶芸家だ。
だからというわけでもないが、
多分にアーティスト肌で
時折、個展もしているらしいが
作品もオシャレで都会的なテイストだ。
その人が動画でたまに手びねりで出来る
器や花瓶などの作り方を紹介している。
その中のひとつが
「くり抜き技法の小箱」だった。
くり抜き技法とは
まず、まるまる粘土で外観の箱の形の塊を作り、
少し乾かして扱いやすくなったところで
ワイヤーで蓋と身に分ける。
そして、それぞれ大量の粘土をくり抜いて
蓋と身を削りだす。
蓋の方にひと廻りヘリのリボンをつけて
蓋と身がズレ落ちないようにする。
というシンプルな技法。
私は今まで蓋は蓋、身は身で作っていたので
合わせ目をきれいに合わせるのが
非常に難しかったが、
この方法だとひとつの粘土の塊を
ワイヤーで切り離すので
切り口がガタガタしようが、斜めになろうが
その切り口をそのまま生かすことができるので
ピタッと合う蓋と身が出来上がるしかけだ。
とにかくこの方法を動画で見つけた時は
思わず膝を叩き(ベッドから起き上がった)
「なるほど!」と思った。
私が通っている工房は先生がひとりで
体験の人を教えたり、その人たちの作品を
削ったり、釉薬をかけて焼いたり、
私たち会員の器の焼成をしたりで、
てんてこ舞いなので、
誰も私達古株に教えてくれる人がいない。
以前は先輩会員のおじさんたちが
教えてくれていたが、皆、辞めてしまい、
同じ曜日のメンバーの中では
私が一番の古株なので、
むしろ新人教育を任されている始末だ。
なので、新しい何かを試みたければ
自分で見つけてくるか開発するしかない。
そこで見つけたのがこの「くり抜き技法」だ。
やってみると
出来上がった本体より
くり抜いた粘土の量の方が多いぐらい
面白いように削りカスが出る。
(くり抜く作業自体はとても楽しい)
削りカスは
これを練り直し、まだまだ何か作れる量だ。
この時点ではノーアイデアだったが、
水を打ち、練り直している内に
徐々に粘土が舟の形のようになったので、
そのまま、ヘリの片方が
ベネチアの舟のように、
とんがった器にしたくなった。
そして、もう片方には
渦巻の飾りを組み込んで
アシンメトリーな大鉢にしよう。
そう決めたら、あとは手が勝手に動いた。
これこそ、電動ろくろには絶対できない形だ。
電動ろくろは基本「円」のものしかできない。
皿だろうが茶碗だろうが花瓶だろうが
同心円のものしかできないのが道理だ。
楕円も四角もアシンメトリーも
手びねりでしかできない。
私は元々、オーバル(楕円)の器が好きだし
並べた時にたくさん効率よく並ぶので、
好みではあったが、
いよいよ自分らしい作品として
円のものではない形でいこうと
方向性がハッキリしたようで
すごく吹っ切れた気がする。
陶芸も作陶歴が長くなってきたので、
趣味なのでと言い訳がきかない域になり、
これからはもっと精度を高めて
商品価値のある手びねりの作品を
極めていければと思った次第である。
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