2023年3月27日月曜日

WBCロスが止まらない

 









先週の21日火曜日、
第5回のWBCは3大会ぶりの日本の優勝で
幕を閉じた。

日本は宣言通りの優勝に輝いたけど、
そこまでの道のりはもちろん
一筋縄ではいかずに
数々のドラマが生まれた。

それはまるで漫画のようだとか
ハリウッド映画のようだとか称され、
未だ興奮冷めやらずの状態で
TVの報道番組やネットでも
名シーンが繰り返し放送され、
解説されて、余韻に浸っている。

にわかファンの私は
いつもの野球中継は放送時間が延長されると
観たいドラマも後ろに倒れるので
「チッ」と思っていたクチだが、
今回のWBCは最初の1次ラウンドから
全試合、ほぼオンタイムで観てしまった。

それはなぜかというと
正に漫画というか、映画というか
登場するキャラクター
つまり、選手の個性がはっきり
色分けされていて
見ていてとても面白かったからだと思う。

日本の選手でいえば、
打順の1番は、明るくてクラスの人気者、
ペッパーミル・パフォーマンスのような
キャッチーなしぐさでみんなを一体化させ、
お客さんをも動員していったヌートバー。

2番は一見、魚屋のお兄ちゃんみたいだが
(そう長嶋一茂が評して、
羽鳥慎一に叱られていたが…)
優れた選球眼をもち、出塁率を誇る近藤健介。

3番は「よっ、待ってました!」の
掛け声と共に、投打に活躍、
非の打ち所のないエース大谷翔平。
今回のMVPはもちろんのこと、
今後の野球史にも2度と出てこないだろうと
誰もが認める逸材。

4番は日本の最年少三冠王なのに
今大会の中盤まで不振にあえぐ
「村神様」こと村上宗隆。
しかし、最後の2試合で覚醒。
強打を放ち、世界を驚嘆させた。

最初は5番打者だったが
途中から4番打者に繰り上がり、
「やってくれる男」吉田正尚。
歯はセラミックで真っ白だし、
眉は細くカット、髪は金髪だが、
正統派のイケメンで奥さんは美しい。

他にも右手小指の骨折をおして
出場し、きっちり仕事をこなした
源田壮亮。

大リーガーで最年長なのに、
キャンプ初日からチームに参加し
まとめ役と指南役を請け負った
ダルビッシュ有。

佐々木朗希、山本由伸、今永昇太、
高橋宏斗、大勢、伊藤大海など
キラ星のごとく並ぶ実力派の
20代前半の若き投手陣。

ここという場面で代走で走り抜けた
韋駄天の周東佑京。

冷静沈着、穏やかだが理論派
「信じる」ことを信条とする
栗山監督。

こんな具合で
素人の私でも入り込める
分かりやすいキャラクター(失礼)の面々。

そして、お約束通りに
期待の4番が、当初、不振にあえぎ、
苦悩するも周囲はその覚醒を信じている。

毎回、村上の覚醒はまだかと思っていた
東京で行われた1次ラウンドは
「次週につづく」でじらされた
漫画のようだったし、
場所をマイアミに移してからの
劇的幕切れに歓喜した準決勝と決勝は
完全に出来過ぎたストーリー展開の
ハリウッド映画だった。

準決勝、対メキシコ戦の最後に
大谷翔平が2ランを打って2塁に出塁し、
続く吉田が四球を選んで1塁にいき、
そこで代走の周東に代わり、
遂にその後に村上が強打を放って覚醒。

大谷はヘルメットを投げ捨てて走り、
2塁で眉を吊り上げて
何度も何度も雄叫びをあげた。
会場中が大盛り上がりで
歓声が怒号のように渦巻いた。

そんな大谷を見たことなかった解説陣は
こぞってそれを口にし、
直後の村上の一打を褒めたたえた。
大谷が同点の打者としてホームを踏み、
韋駄天・周東が勝ち越しの走者として
ホームを踏み、
日本はメキシコに勝利した。

そして、決勝は対アメリカ戦。
これまた絵に描いたような筋書きで
しかも最後は同じエンゼルスに所属する
トラウトと大谷の一騎打ち。

トラウトはアメリカチームのリーダーだし、
大谷もまた同じ。
ふたりはそれぞれの国旗を持って入場した。

そんなふたりが
最後の最後9回表で激突した。

投手の登板には制限があるにも関わらず、
8回にはダルビッシュ、
9回には大谷と
日本の2本柱が1イニングだけならという
アメリカ側の所属球団の許しを得て、
マウンドに立った。

そこに至るまでの7回までも
日本の若き投手陣は完璧に継投して
アメリカに大量得点を許さず、
最後は日本の1点リードで9回表を迎えた。

途中、先発を任された今永昇太が
2回表にホームランを打たれ
アメリカに1点先行を許したが、
返す刀で2回ウラ、
即座に村上が特大ホームランを打ち、
世界を驚かせた。
更に日本は点をとり3対2で1点のリード。

アメリカの攻撃を9回表でしのげば、
日本の優勝という場面で
投打に出場していた大谷が自ら買って出て、
クローザーとしてマウンドへ。

そのためにはいきなり投げられるわけではなく
ブルペンにいって
肩をつくらなければならない。

自分の打順もこなし
更に9回にも投げるなんて、
それを同時にやるということは
プロにしてみれば考えられないことらしい。

公認サポーターの中居正広をして
「泥だらけのクローザー」という
類を見ない状況に
解説者たちは一様に驚き、
こんな場面を誰が想像したかと喜んだ。

そして、あと3つアウトをとれば
日本が勝つという場面。
1番バッターを四球で歩かせ、
2番打者を併殺で打ち取り、残りはあとひとつ。

相手はアメリカ代表のトラウト。
大谷はまるでスローモーションのように
1球1球、少し間を開け
大谷自らが配球を考えたという6球で
トラウトを三振に仕留めた。

どこを切り取っても
漫画になった時の画面が思い浮かぶし、
映像になった時の絵ヅラも見えるようだ。

こうして、決勝が始まる前の「声出し」で
大谷がみんなに円陣で言ったように
「今日ばかりは憧れを捨てて、
勝ちにいきましょう」という言葉を
彼らは有言実行で実現させた。

終わってみれば、
最初から最後まで、野球少年・大谷翔平が
高校時代に書いた
「人生目標達成シート」のとおりになった。

そのチャートの
ど真ん中には
「WBC日本代表MVP」とある。

まさに夢は見るものではなく
夢は実現させるもの。

この出来過ぎた人間ドラマに
ずっぽりハマり、
私は本日もまだ抜け出せずにいる。


















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