お盆の休みはおとなしく家にいるのが常だが、
今年のお盆休みのお楽しみとして
唯一『石田組のコンサート』に出かけた。
『石田組』といえば
私より断然、石田様に思い入れの強い友人が
とってくれたサントリーホールのチケット。
その彼女がとても楽しみにしていたくせに
お盆にご家族と過ごす予定が入って
行けなくなってしまった。
空席にするにはあまりにも惜しい
4列25番と26番という願ってもない良席だ。
そこで私は次女を誘って
こちらも先約があったのをずらしてもらい
急遽、母娘で出かけることになった。
次女はクラシック通でも何でもないが
石田組に関しては、昨年大みそかの
石田組コンサートに一緒に行って以来、
ファンになってくれたので
今回の急な誘いにのってくれたというわけだ。
なにしろサントリーホールの前から4列目、
25番は中央から少し右にずれた席。
座ってみれば、ステージ上の石田様の立つ位置が
中央より少し左なので、
譜面台を挟んで真向かいになる。
つまり、石田様がななめっている譜面台に向かうと、
その向こう側にちょうど見える位置にいて
真ん前で私と目と目が合うという具合だ。
まあ、それは勝手な私の思い込みというもので
石田様は譜面のみを見ているのかもしれないが、
とにかく石田様のお顔は目と鼻の先にある。
今回のコンサートは
CDとDVDの発売記念と銘うたれ、
そのCDの音源は昨年夏のミューザ川崎の
石田組コンサートにある。
その時、私と件の友人は会場にいたわけので
生の演奏を聴いた生き証人だ。
その日、
私は石田様お肝いりのSOUSOUのお洋服みたいな
派手な白黒の格子柄の紬を着ていた。
それがなんとDVDにばっちり写り込んでいた。
その着物姿が
石田様の目に留まったかどうかわからないが
そんなわけで今回も着物を着用し
石田様の視界の端っこに引っかかればというのが
密かな目論見である。
そのぐらい、今回はいいお席だということだ。
さて、今日のコンサート、
演目は1部が
ヴィヴァルディの『四季』全曲。
2部がヴァン・ヘイレンやクイーンなど
クラッシックから一転、
ロックやヘビメタなどのアレンジ曲。
ヴォルテージはいやがうえにも上がる一方。
中でも圧巻だったのは初出しの
『レ・ミゼラブル』メドレーだ。
そして、アンコールも4曲も弾くという
大サービス。
石田組のコンサートは
石田様が声をかけた団員が流動的に集まる.
今回は14人編成なのはわかっていたが
友人から送られてきたチケットと
フライヤーをしげしげ見ていなかったので
メンバーの詳細までは当日まで知らずにいた。
(フライヤーの裏に小さな顔写真付きで
今回のメンバーが載っていたのに…)
会場に入り、椅子に着席し、
プログラムにあるメンバーの写真と紹介文を
ようやくまじまじと見た。
いつもの顔ぶれが何人か。
私が好きなヴァイオリンの塩田脩さんや
チェロの西谷牧人さんもいる。
しかし、今回の目玉は何と言っても
ヴィオラに紅1点、女性の団員が入っていることだ。
(男ばかりの硬派弦楽アンサンブルが触れ込み
なので、かつて女性団員はひとりもいない)
第1ヴィオラに須田祥子さんが起用された。
私はクラシック通ではない
単なるミーハーに石田様が好きなだけの
1ファンなので、
その人がどれだけ有名人か知らなかったが、
ヴィオラ界では姉御と恐れられている
実力者らしい。
顔立ちはえらが張っていて片桐はいりに
そっくりな気の強そうな感じ。
その人が舞台中央で石田様と対峙している。
『四季』の演奏中に、その気配は十分にあったが
2部に入ると
それはもうエキサイティングなセッションになった。
石田様が煽れば、
負けじと須田さんも演奏でやり返す。
たたみかけるようなヴィオラに呼応して
今度は石田様のヴァイオリンも美音を響かせる。
他の男性メンバーももちろん煽られれば
応えるのだが
彼女ほどオーバーアクションではなく
案外、ポーカーフェイスなので、
観ている方は女ボスと男組長との戦いの方が
断然、面白い。
今まで観てきた石田組は
メンバー全員が組長を慕い、尊敬しているせいで
組員に多少の気おくれが感じられた。
しかし、今日の対決は
ヴァイオリンとヴィオラの決戦という構図に
アレンジが効いていて、
音楽の豊かさと面白さを味わえ
とても愉快だった。
メンバー紹介の後にも
須田祥子さんの口から石田評が飛び出し
「日本中のどこのオケのコンマスより
美音を持っている」と言っていたから、
ヴィオラ界のドンをして
石田様は一目置く存在なのだろう。
長年、ファンでいる私まで誇らしい
気持ちになった。
そんなわけで台風7号の怪しい動きにも負けず
着物で出かけ
目の前で息遣いさえ聞こえる迫力ある生音を聴き、
充実のひと時を堪能した。
最後は会場中のお客さんが全員立ち上がり、
(約2000人)
万雷の拍手とヒューヒューと声援を送った。
まだ、今夜6時からの夜公演もあるというのに
力の限りの演奏を見せてくれ
本当にありがとう!!
石田泰尚、今年、満50歳。
一番脂ののった時期に
生の美音を聴くことの幸せを噛みしめ、
雨風が強くなってきた中、家路についた。
ブラボー!石田様!!
ブラボー!石田組!!
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