2024年4月6日土曜日

「卓」展直前の本焼き

 



















陶芸工房の展示会『卓』展が迫ってきた。

会期は5月半ばだが、
器に釉薬をかけて本焼きをするチャンスは
ほぼこれが最後の機会。

どうしてもまだもう1回かけたい人には
4月後半の作陶日に釉がけができるが
私はそのつもりがないので、
今日できてきた器で
すべて焼き終わったことになる。

今年の自分の『卓』のテーマは
クリスマスのテーブルなので、
ひいらぎのモチーフを多用した
物語性の強い器が多い。

今日、焼きあがってきたものも
ひいらぎのついたティーカップ&ソーサー
細長い飾り皿(何をのせるかは不明)
ひいらぎがモチーフの箸置きと
ひいらぎ尽くしだ。

他に煙突のついたおうち型の
クッキー入れには
屋根が蓋としてついている。
おまけに小さなクリスマス・ツリーの
オーナメントまであるので、
私の作品とも思えないほどガーリーだ。

この苫屋のような形のいびつなおうちは
出品するか、悩ましい。
屋根がぴったり壁と合っているかといえば、
設計がぬるく、ずり落ちそうなので、
作陶歴13年の人が作ったにしては
稚拙な印象かもしれない。

他には内側が白く、
外側が紺のような緑のような色の湯飲みと
先生の作った小鉢がある。

新しい試みとやらで、
先生が作陶し素焼きまで終えた器を
くじで引き当てた何人かが
好きな釉薬をかけて、コラボ作品を作った。

その作品に、私は湯飲みと同じ釉薬をかけた。

先生が使う釉薬とはまったく違う色合いの
器が出来あがったので、
もはや、その小鉢を先生が作陶したとは
誰も思わないだろう。

つまり、陶芸の器は
釉薬にこそ個性が出るということになる。

それは木版でいえば、
絵師と彫り師と摺り師がいるが
誰が彫ったかよりも
誰が摺ったかの方がその作品を決めると
いうのと同じことだなと思った。

せっかく先生が作った器に
かけた釉薬がたれて事故にならないよう
気配りはしたので、
無事に焼き上がり一安心はしたのだが、
その色合いそのものを先生がどう思ったのか
そこまではうかがい知れない。

このコラボ作品も『卓』に出品するかといえば
しないような気がする。

今回の出来上がりを見て、
なかなかいいのが出来たと思えたのは
細長いお皿と黒い花器と
モノトーンの縞模様柄の角皿だ。

細長いお皿は
その時の余った粘土で適当に作ったものだが、
ひいらぎの部分に先に織部という緑を
筆でのせ、
上から全体に白い釉薬をかけたせいで、
ひいらぎが柔らかい表情になった。

逆の手順にしていたら、
ひいらぎの緑が強すぎて
当たり前の葉っぱ色になっていただろう。

このお皿には高級なチョコレートを
4~5粒のせたら素敵かもしれない。

それともう1点、
高さがあるものが展示に必要だと考え、
作ったのが黒い花瓶である。

花材を安定させるため
上部中央をすぼめ、
外側にボタンのような飾りをつけた。

全体に黒い釉薬をかけた上に
筆で白い釉薬をボタンのところにだけ
塗ったところ、
なかなか表情豊かなワンポイントになった。

白と緑の器が多いので、
そういう意味でも黒くて高さのある器は
テーブル全体に動きをつけることができるので
この花器はきっと私の『卓』で
個性派の名脇役になるだろう。

角皿は2点あり、仕切りのある正方形のものは
講習会に出て作ったお題にそった形。
長方形のもう一回り大きい角皿は
仕切りがあると使いづらいと思って
自分の好きな大きさに作ったもの。

釉薬の出来上がり具合は
後者の角皿の方が気に入ったので、
これは展示会にも出したいと考えている。

こうして2年間に作陶したあまたの器たち。
今回、焼きあがった以外にも
相当数、カップボードの中に眠っている。

もう少ししたら、実際にどのように
配置するのか、
テーブルクロスは何色にするのか
決めなければならない。
なにしろひとり1テーブル、
60×100㎝とサイズも決まっている。

その時、晴れの舞台に出演できる役者と
今回はお蔵入りになる役者が出る。

舞台に上がれたとしても、
ヒロインを射止めるものもいれば、
端役でセリフのないものもいる。

私の器は大きいものが多いので
大きいからといって採用されるとは限らない。

そんな熾烈なオーディションを経て、
展示会の作品が出揃うわけだが、
どの子も我が子、
舞台に出してやりたい親心と
全部は無理だと思う演出家の考えと。

そんな葛藤が、近日、始まる。
そして、その葛藤は楽しくもある。


































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