2024年4月5日金曜日

渋い作品の出来上がり

 

















6月のグループ展までに
あと小品3点を仕上げなければと思って、
先月、3点分の彫りを終えた。

今月はその内2点は少なくとも
試し摺りと本摺りを終えようと考えて
カレンダーを眺めている。

4月はいつもの予定の他に
孫の入学式や自分の誕生会、
友人の娘さんの出産祝いなど、
イベントごとが多く、
なかなかじっくり版画に向かう時間がない。

しかも、12日には
プロのフォトグラファーに
作品の撮影をお願いしてしまったので、
それまでに3点中1点は何とかせねばと
ちょっと焦る。

そこで、やや無理くりだが、昨日の朝から、
1点目の試し摺りを開始した。

昨日は
夕方6時からカウンセリングの仕事があったので、
5時半には家を出なければならない。
しかし、
小さい作品で色数が少ないせいもあって、
午前中でなんとか試し摺りが終わった。

試し摺りが終わるというのは
本摺りのイメージが固まったという意味で
試しにひと通り摺ってみたけど
色合わせがピンとこないこともある。

そういう時は部分的、もしく全体的に
色合わせを、微調整、もしくは全面変更する。

それが、思い描いたままに
試しに摺ってみたら
そのままいけそうな感じに出来たので、
試し摺りができたと思ったのである。

さあ、順調にここまでは来たが、
本摺りをどうするか。
普段なら全く別の日に摺るのが常だが、
このまま、本摺りの準備にはいるのか。

私は少し迷ったが、
お昼ご飯の前に
本摺り用の11枚の和紙を湿すことにした。

和紙を湿すと
水分が紙に浸透し、均一にしっとりするまで
数時間かかる。
それからでないと摺り始めることはできない。

水分が和紙の表面に残っていると
絵具が泣き出すといって
滲んでしまうのだ。

しかし、今回はかなり小さめの作品なので、
水の量を加減して湿せば、
2時間ぐらいおけばいけるとふんだ私は
午前中に湿して午後には摺り出すという
決断をした。

先に和紙を湿してから
次は絵具の調合だ。
本摺りに必要な絵具の分量はもちろん、
混ぜ色の具合など、
絵具を作って、試し摺りした作品の余白に
ちょっとだけつけて色の濃淡の具合をみる。

木版画作品の絵具は
乾いた状態で丁度いい色合いにならなければ
ならないので、
濡れた絵具が乾いた状態で欲しい色合いか
混ぜ具合を調節する。

そして、いよいよ午後2時、
本摺り開始。
同じ日に試し摺りから本摺りへと移行するのは
初めてのことだったが、
なんとか今日中に行けるところまで行くと
いうのが、昨日の私の気持ちだった。

結局、4時15分まで摺って
6割方終えたところで、
一度、筆を置いた。

そこから、出かける準備をし、
夕飯の支度をし、
5時半に家を出るまでは
2倍速か3倍速の早回しだったと思うが、
何食わぬ顔で6時にはカウンセラーとして
クライエントさんをお迎えすることができた。

今日は今日とて
朝イチに美容室の予約が入っており、
ヘアカラーをしてもらい、
その後、スーパーで買い出しをして
デリバリーを頼んだので、
最寄り駅の周辺を倍速で駆け巡った。

そして、またまた、何食わぬ顔で帰宅し
昨日の続きの本摺りを始め、
無事に11枚の作品が仕上がった。

せっかくきれいにブロウしてもらった髪は
ゴムバンドでくくり上げられ、
見る影もないけど、
そんなバタバタの中で摺ったとは思えない
私にしては地味で渋い作品が出来上がった。

ベニヤ板に水張りして、
少し離れて眺めていると
作品タイトルが思い浮かんだ。

この作品は
「遠雷」にしようと思う。

紫陽花が咲いて、もうすぐ夏という頃、
遠くに聞こえる雷の音がする。
季節が移ろう音。

何かとせわしない毎日の中で、
季節の気配を味わうような
そんなゆとりを持てたらという
願いを込めてみた。




























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